仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

金融庁:仮想通貨ICO規制さらに明確化|2019年には「金融商品取引法」など改正へ


金融庁は、仮想通貨を発行して資金調達を行う「イニシャル・コイン・オファリング(ICO)」の規制をより明確にするために、2019年の通常国会で金融商品取引法、資金決済法の改正案を提出することを目指します。近年暗号通貨が広く普及したことによって詐欺の被害報告なども増加しているため、独自通貨を販売する事業者に対して金融庁への登録を義務付け、個人投資家への勧誘を制限することによって投資家を保護すると報じられています。

こちらから読む:イギリスの調査機関から最高評価を獲得「金融庁」関連ニュース

ICO規制の「明確化」で投資家保護

イニシャル・コイン・オファリング(ICO)は、新しいプロジェクトを立ち上げる企業がそのプロジェクトの内容をインターネット上で公開して、独自の仮想通貨(トークン)を販売し、世界中の投資家からドルや円の代わりにイーサリアム(Ethereum/ETH)などの仮想通貨で資金調達を行う方法です。

ICO分類別に「2つの法律」を適用

主にICOには、
・トークンに基づいた配当を得ることができる「投資型」
・サービス内で利用することができる「決済型」
という2種類に分類されています。

より詳しい分類としては、
・発行者が存在する仮想通貨
・発行者が存在しない仮想通貨
・発行者が存在し、将来的に事業収益などを分配する債務を負っているもの
の3つに分類され、前者2つは「資金決済法」で、3つめは有価証券と同様に「金融商品取引法」に基づいた”登録制”を採用することが検討されています。

「金融商品取引法」は、専門的な知識を持っていない一般の投資家を保護することを目的としており、仮想通貨だけでなく、株式や債券などの幅広い金融商品を対象に販売方法や勧誘を行う際の詳しいルールを定めることによって、市場に透明性をもたらすための法律です。

投資型ICOの参加者は「機関投資家」に限定

新しく定められる規制では、一連の流れが”株式の発行”に似ている「投資型」のICOに参加できるのは、投資に伴うリスクを判断するすることができる投資ファンドなどのプロの機関投資家に限定され、発行されるトークンの性質から”クーポン券”などに似ている「決済型」のICOなどには個人投資家も参加できるようになる予定です。

なお、仮想通貨交換業者がICOを取り扱う場合には、交換業者自身が審査した上で問題がないと判断したもののみが、販売されるようになる予定です。

投資型のトークンに対しては、以前から「事業計画」や「財務情報」の開示が不十分であるといった批判が相次いでおり、有識者からは「有価証券としての開示規制を目指すべき」との意見が出ていました。

ICO詐欺への対処

日本国内でICOを行う事例はあまり見られないものの、海外では頻繁にICOが行われており、低コストに資金を調達することができる方法の一つとして期待されています。しかしその一方では、明確な規制が定められていないことなどによって、実際には達成することができない”非現実的”な事業計画を元にしたICOなども増えており、お金を集めることだけを目的とした「詐欺まがい」のICOも増加していました。

このような「ICO詐欺」は世界的にも大きな問題となっており、米国の企業が行なった調査では、これまでに実施されたICO全体の約8割が詐欺に近いものであったとも報告されています。この他にも”偽”の情報を流すことによって、仮想仮想通貨の価格を意図的に変動させるといった行為や、インサイダー取引、相場操縦などの行為も見られていたため、これらの詐欺行為にも「金融商品取引法」を改正することによって対処し、不正な取引を防止することを予定しています。

金融庁は、2018年内には現在議論されている一連の内容をまとめ、2019年には関連する法律の改正も視野に入れた上で具体的な手続きに取り掛かるとされています。

国税庁は仮想通貨取引の「所得税申告漏れ」を初公表

日経新聞によると、国税庁は11月29日に2018年6月までの1年間に実施した所得税の税務調査の結果を発表し、仮想通貨取引で得た利益を適切に申告していなかった不正事案を初めて公表したと伝えています。

仮想通貨取引をめぐる事案としては、会社員男性が複数の仮想通貨取引所に自分や婚約者名義の口座を開設していたものの、婚約者名義の利益を申告していなかったため、国税局は男性に約5,000万円の申告漏れを指摘し、重加算税を含めた約2,400万円を追徴課税したと報告されています。

仮想通貨関連の規制が明確化とともに、今後は税金関連の問題への対処もより厳しく行われていくことになるでしょう。