グローバルオンライン決済システムである「PayPal(ペイパル)」は、ブロックチェーンをベースとした従業員向けの革新的な報酬制度を開始しました。独創的なアイデアの持ち主に”トークン“を付与しつつ、会社内でのコミュニケーションを促進することができるこの新しい仕組みはその他多くの企業でも導入することができる魅力的なものとなっています。
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アイデア提案報酬は100種類以上の「体験」
PayPal(ペイパル)が現在導入しているとされるブロックチェーンベースの報酬システムは、アメリカ・カリフォルニア州サンノゼに本拠地を置くPayPalのチームが6ヶ月間にわたって準備を行い、11月中旬に開始されたと伝えられています。
このシステムはイノベーション関連プログラムに参加している従業員が魅力的なアイデアを提案した際にトークンが付与される仕組みとなっています。これらのトークンはPayPalの社内で利用することができるようになっており、公開されている元帳を介してプロジェクトの参加者同士で交換することもできるようになっています。
従業員が獲得したトークンはプラットフォーム上で提供されている100種類以上の「体験」と交換することができます。その内容は非常に独創的かつ魅力的なものとなっており、
・副社長を迎えたポーカートーナメント
・CFO:John Rainey氏とトレイルランニングやコーヒー
・CEO:Dan Schulman氏との武道の練習
・トップマネージャーの愛犬を一日借りる
などといった豊富な対価が提案されています。
このトークンを利用することによって、素晴らしいアイデアをより多く生み出しつつ、アイデアを生み出した従業員がPayPalの幹部とのコミュニケーションを深め、より良い関係を築いていくことができるようになります。このシステムは社会全体を改革するような大規模なものではありませんが、会社という一つの社会に新たなイノベーションを創出し、より良い人間関係を構築していくための革新的な基盤になると予想されます。
トークンを活用した「報酬制度」導入事例
報酬制度へのブロックチェーン活用は、そのメリットを生かすことができる代表的な活用事例の一つであると言えます。ブロックチェーンを取り入れることによって、従来のロイヤリティポイントのようなシステムに透明性をもたらしつつ、人々の交流を深めて活動をより活発化させることができます。
アメリカの家庭用清掃用品メーカーである「SC Johnson」と環境組織である「Plastic Bank」は最近、廃棄物収集を促進するためにインドネシアの地元住民にトークンを付与するリサイクルキャンペーンを開始したと伝えられています。
また、スペインの大手銀行であるBBVAは、スペインやアルゼンチンの支店での取り組みにトークン配布制度の導入を進めており、他の従業員の訓練や新しいスキルの習得に貢献する人々に報酬を与えています。
フィリピンでは”死んだ川”とも言われる「パッシグ川」を浄化するためのプロジェクトにブロックチェーン技術を取り入れており、活動に貢献した人々に仮想通貨報酬を与えるプロジェクトが発足しています。
PayPalが今回導入した新しい報酬制度は、小規模な企業などでも比較的簡単にブロックチェーン技術の導入を開始することができる有力な選択肢の例であると言えるでしょう。
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