ブロックチェーン業界を牽引する大手企業として知られる「IBM」は2019年1月8日、ビットコイン(Bitcoin/BTC)最大の脅威になり得るとも言われる「量子コンピュータ」を世界で初めて”商用化”したことを発表しました。「Q System One」と呼ばれるこの新製品には注目が集まっています。
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商用量子コンピュータ「IBM Q System One」
アメリカ・ニューヨークに本社を構え、民間法人や公的機関向けに「コンピュータ関連製品」や「様々なサービス」を提供している大手企業「IBM」は、2019年1月8日に世界初となる”商用”量子コンピュータ「IBM Q System One」を発表しました。
量子コンピュータとは、近年開発が進められている新しい種類のコンピュータであり、従来の一般的なコンピュータとは根本的に異なる仕組みを採用することによって「計算能力を大幅に向上させた新しいコンピュータ」として注目を集めています。
非常に高い性能を備えている「量子コンピュータ」は、一部の企業では以前から使用されていましたが、商用版として販売されるのは「IBM Q System One」が初となります。
仮想通貨業界の今後に影響大?
高い計算能力を持つ量子コンピューターは「仮想通貨の今後にも大きな影響を与える可能性がある」ことでも知られています。ビットコイン(Bitcoin/BTC)のような仮想通貨のマイニングには、高い計算能力が必要となるため、マイナーの人々は「高価なマイニングマシン」を購入して競争に勝ち残ってきました。
量子コンピュータは圧倒的に高い「計算能力」を誇っているため、本格的に量子コンピュータが導入され始めることによって、仮想通貨マイニングにも大きな影響が出る可能性があります。複数の仮想通貨はすでに「量子コンピューターへの耐性」を備えていますが、そのような耐性をもつ仮想通貨の数は非常に限られているため、実際に製品が普及した際には非常に多くの銘柄が影響を受けることにもなりかねません。
今回発表された「IBM Q System One」は”商業用途向け”に設計されており、実際に購入することもできるため、一部の人々は『この製品がビットコインに何かしらの影響を与えるのではないか?』と考えています。
「IBM Q System One」は革命を起こすのか?
「IBM Q System One」の詳細については、『購入することはできるものの”量子コンピューター”は非常に繊細で操作が難しいため、クラウド経由でアクセスする仕組みとなっている』と伝えられている他、『新しいコンピュータには「20量子ビット」のチップが搭載されているが、「50量子ビット」のチップの方が企業に大きなプラス効果を与える』といったことなども報告されています。
以前までは、驚異的な性能を持つ「量子コンピュータ」が登場した場合、「暗号化技術」は使い物にならなくなるため、『仮想通貨の技術的な信頼が崩れる』と共に『仮想通貨市場も終焉に向かう』と言われていましたが、今回の話題に関しては「ビットコインの脅威にはならない」といった意見が多く見られます。
量子コンピューターに詳しい「メリーランド大学」のAndrew Childs(アンドリュー・チャイルド)氏は、「IBM Q System One」はそれほど大きな変化をもたらす製品ではないと強調しており、どちらかといえば「将来のためのテスト用マシン」であると説明しています。
「IBM Q System One」は”実用的な量子コンピュータ”というよりも”最初のステップ”のようなものです。この製品を”全ての問題を解決できる量子コンピューター”だとは考えないでください。
この製品は、将来に役立つ可能性のあるプログラムのテストを行い、開発することもできる「プロトタイプマシン」であると考えるべきです。
「量子コンピュータ」の普及が進むにつれて「ビットコインの崩壊」や「仮想通貨革命」が始まるとの憶測も出ていましたが、今回発表された「IBM Q System One」に関しては仮想通貨市場への影響は低いと考えられています。
しかしながら、量子コンピューター製品の販売はこれから本格化していくと考えられるため、いずれは仮想通貨への影響なども強まってくることが予想されます。
IBMは今後の計画として、2019年にニューヨークで商用クライアント向けの量子コンピューティングデータセンター「IBM Q Quantum Computation Center」を開設する計画を進めていることも発表しているため、今後もこのような動きは活発化していくと予想されます。