世界4大会計事務所の一社として知られる大手コンサルティング会社「プライスウォーターハウスクーパース(PriceWaterhouseCoopers/PwC)」は、従業員の資格情報の整合性を保証するためのブロックチェーンプラットフォーム「Smart Credentials(スマート・クレデンシャル)」のテストを行なっています。
こちらから読む:資格情報の整合性を保証する「ブロックチェーン技術」とは
PriceWaterhouseCoopers(PwC)がテストを行なっている「Smart Credentials(スマート・クレデンシャル)」は、従業員の「資格証明書」を安全に発行・保存・共有できるようにブロックチェーン技術を活用して設計されています。
このプラットフォームのテストは「スコットランド勅許会計士協会(ICAS)」との提携を通じて行われており、過去2年以内にICASで「公認会計士」として認定されたPwCの従業員にはICASから「ブロックチェーンベースの資格証明書」が発行されています。
PwCは、ブロックチェーン技術を活用することによって「資格所有者は自分の情報を自分で管理することができるようになり、詐欺などの被害に晒される危険性を抑えることができる」と説明しており「資格を審査する際のリスクとコストを削減し、規制当局や各種機関に対して証明書を発行する際のプロセスも簡素化することができる」とも語っています。
証明書の発行者側は、ブロックチェーンプラットフォームを採用することによって「社内システムに資格情報を保存する必要がなくなり、インフラの負担を軽減することができる」とされています。
証明書が所有者のデジタルウォレットに保存されると、専門家は個人の開発に従ってそれらを更新することができるようになっているため、評価対象者に自分の証明書を提供したり、反対にそれらの証明書の提供を取り消すこともできると説明されています。
「Smart Credentials」は、複数の分野で「検証済みで信頼できる反論できないデジタルID」を提供できるとされており、PwCのグローバルブロックチェーンリーダーであるSteve Davies(スティーブ・デイビス)氏は、このプラットフォームについて次のように説明しています。
ブロックチェーンは仲介者を必要とせずに参加者同士でデータを共有できるように設計されています。誰も中心的な所有権を持ってないため、個人は自分のデータをより細かく管理することができます。
医療専門家、パイロット、安全技術者など、資格を取得して以降も継続的に更新を行う必要がある場合にも活用できる可能性があります。
ブロックチェーンで個人の資格情報を管理する試みはその他の大手企業でも進められており、最近ではSONY(ソニー)と富士通(FUJITSU)が外国人留学生の「日本語講座の受講履歴」や「成績証明書」を安全に管理するためのブロックチェーンプラットフォームを開発し、実証実験を行なっています。
過去には、大学の卒業証明書の管理などもブロックチェーン上で管理されるようになってきているため、資格情報の管理は今後ブロックチェーンで行うのが一般的になっていくとも考えられます。
ブロックチェーンに関するその他のニュースはこちら