フランスの「バルドワーズ県経済開発委員会(CEEVO)」、株式会社電通国際情報サービス(ISID)の「オープンイノベーションラボ(イノラボ)」、ブロックチェーン・スタートアップ企業「シビラ株式会社」の3者は、ブロックチェーン技術で管理された国産有機ワインをパリに空輸し、”エシカル消費(*1)”を可視化してトークンエコノミーの実現する実証実験を行いました。
(*1)エシカル消費:倫理的消費とも呼ばれ「地域/社会/人/環境」に配慮したモノやサービスを選択し購入する消費活動の事。大量生産などによる地球の環境破壊防や発展途上国の生産者に貢献できる様な商品を購入する事で社会的問題を解決を促そうとする働きであり、特に欧州で広がりを見せている。
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「地球環境や地域に優しい消費活動」を促進
・バルドワーズ県経済開発委員会(CEEVO)
・オープンイノベーションラボ(イノラボ)
・シビラ株式会社
の3者が実施した実証実験は、2019年5月8日〜10日までの3日間にかけて、フランス・パリのレストラン「ゼブラ」で行われました。
実証実験の内容としては、ブロックチェーンで生産情報が管理されている日本の有機ワインをパリに空輸してレストランで販売し、ワイン注文者が受け取ることができるトークンや、注文履歴などを可視化する分散型アプリケーション(DApps)をなど活用することによって、レストランの来店者がゲーム感覚で”地球環境や地域に優しい消費活動”を行えるようにするといったものになっています。
この実証実験には、完全無農薬・植物性堆肥にこだわった宮崎県綾町の「香月ワインズ」が全面的に協力しています。実験に参加している「イノラボ」と「シビラ」はこれまでにも宮崎県綾町と共同で、ブロックチェーンを活用して有機農産物の生産・流通履歴を記録・可視化するトレーサビリティ・システムの構築に取り組んできており、今回の実証実験にも「土づくり/ブドウの作付け/収穫/醸造/加工/出荷輸送」の全工程の履歴がブロックチェーン上に記録された「香月ワインズ」の有機ワイン50本が使用されています。
なお、この実証実験で得られた売り上げは、全額がパリの「ノートルダム大聖堂」再建用に寄付されています。
エシカル消費をゲーム感覚で確認できる「DApps」も提供
この実証実験には国連が採択したSDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)で掲げられている
「17のゴール」も関連付けられており、レストランに訪れた客に対してSDGsの「17のゴール」を擬人化したハードウェアウォレットと”エシカル消費”が確認できるDAppsを用いたゲームによる演出なども提供されています。
このDAppsは「香月ワイン」を注文することによって、SDGsの目標として掲げられている「気候変動(ゴール13)」や「陸の生物多様性(ゴール15)」といった目標の中の”どの目標に貢献できているか”をひと目で確認することができるようになっており、実際にワインを注文して目標に貢献した人には、そのことを証明するトークンが付与される仕組みとなっています。
これによって、ワインの購入者はワインの味を楽しむだけでなく、これまでになかった新しい体験を同時に得ることができ、トークンをコレクションする楽しみも増えることになります。このDAppsに新しい機能が搭載されるのであれば、そのような楽しみの幅はさらに広がっていくことになるとも予想されるため、さらなる開発にも注目です。
なお、以前よりイノラボとシビラは「トークンエコノミープロトコル」を共同開発しており、今回の実証実験に実装する事で汎用プロトコルからトークンを配布する仕組みが世界で初めて実現した事になります。またエシカル消費に関するブロックチェーンの実装においても世界初となっています。
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