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ブロックチェーンで「製品開発のデータ共有」三菱電機など国内メーカー100社が連携


三菱電機・安川電機などをはじめとする日本国内の主要メーカー100社が連携し、ブロックチェーン(分散型台帳)を活用して設備の稼働状況や品質検査などといった「製造データ」をお互いに取引できる仕組みを構築していくことが日本経済新聞の報道で明らかになりました。

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「開発期間の短縮」や「ものづくりの効率化」図る

ブロックチェーン技術を活用したデータ共有プロジェクトには、三菱電機・安川電機・DMG森精機などといった世界で競争力の高い工作機械メーカーなどが多数参加する予定であり、運営の母体となるのは”日本でIoT(モノのインターネット)の活用を推進するために2015年に発足した製造業の業界団体「インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)」だと報じられています。

製造業におけるデータを工場内で共有する取り組みはそれぞれの企業内で行われることが一般的でしたが、今回のプロジェクトによってこのような「製造業のデータ共有」が多数の企業間で行われていくことになります。

生産・加工などに関する情報を取引先と共有できる仕組みを構築することによって「開発期間の短縮」や「ものづくりの効率化」を図る狙いがあるとされています。製造データは”品質や生産性の鍵”を握るものでもあるため、それらの情報は外部に出さないというのが一般的でしたが、ブロックチェーン技術を応用して安全性の高い環境で他社とデータを共有し、競争力の向上に繋げると説明されています。

「設計・稼働状況・品質検査」などのデータを共有

具体的な取り組みの内容としては、
・製品の設計データ
・生産設備の稼働状況
・品質検査のデータ
などを共有できるようにするとされています。

「製品の設計データ」を部品メーカーと共有した場合にはより早く量産体制に入ることができるようになり、「生産設備の稼働状況」を共有すれば部品の摩耗状況を把握でき、設備を安全に効率良く保てると期待されています。なお「共有・開示するデータの内容」や「データにアクセスできる企業」などは参加企業が自由に決定できるようになるとのことです。

報道によると、ブロックチェーン技術を活用することによって特定のサーバーで情報を管理するのと比べると「情報漏えいのリスクを抑えることができる」他、「運営コストも低減できる」見込みだとされています。また、データ共有の価格は個別に設定することができ、無料で共有することもできるとのことです。

来年春には稼働、2023年には「500社参加」目指す

製造データの取引システムは「2020年春頃には稼働する予定」とのことで、生産用ロボットなど高度な製造技術を持つ企業だけでなく、デジタル技術関連への投資が難しい中小企業の参加も促すことによって、製造業界全体の底上げを狙うと説明されています。

2023年までには参加する企業数を500社にまで増加させ、ドイツ政府が2011年に打ち出した”IoTを使って製造業の革新を目指す取り組み”である「インダストリー4.0」を主導する団体との連携も検討するとのことです。

日本国内の大手企業がデータをスムーズに共有できるようになれば、国内の製造業界が飛躍的に成長する可能性もあると予想されます。プロジェクトに参加する企業の詳細は明らかにされていませんが、これらの企業の今後の発展にはさらに期待が高まります。