中南米の島国バハマの中央銀行(CBOB)が、同国で多発するハリケーンなどの自然災害が発生した際の経済回復力を確保するために、同国の法廷通貨と同様の価値を持つ”デジタル通貨”の発行を計画していることが「The Nassau Guardian」の報道で明らかになりました。
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自然災害発生時に「金融システムを早期回復」
バハマ中央銀行(CBOB)の総裁であるJohn Rolle(ジョン・ロール)氏は、2019年10月25日に開かれた「エグズーマ島Business Outlook」のスピーチの中で「Sand Dollar」と呼ばれるデジタル通貨を発行する計画について語りました。
このデジタル通貨は法廷通貨に基づいて発行されるものであり、デジタル通貨にはウォレットと身元確認情報を含めたカードが付与される予定だと伝えられています。
バハマは、ハリケーンなどの自然災害が多発している地域でもあり、今年9月には最大風速毎秒80メートルを記録したハリケーン「ドリアン」によって壊滅的な被害を受けたことが報告されています。このような自然災害が発生した場合には国の金融システムにも大きな影響を与えることになりますが、ロール総裁はデジタル通貨を発行することによって、そのような問題に迅速に対応することができると説明しています。
デジタル通貨を発行することによって、決済システムはワイヤレスで復元することができるようになり、現金輸送や現金処理につきまとう問題を回避することができます。
様々な援助を電子的に分散することを可能にすることによって、自然災害後に求められる対応を優先できるような柔軟性をもたらし、個人の尊厳を取り戻すことができるでしょう。
ロール総裁は「自然災害が発生した際に特に重要なのは”銀行や決済システムを早期に回復させること”である」と説明しており、保険契約などに関しては災害が発生した直後に支払いを処理することが求められるため、テクノロジーの力を用いてそのような問題に対処できるような回復力を持つ必要があると強調しています。
今回明らかになったデジタル通貨は、2019年末までに同国の「エグズーマ諸島」で試験運用が行われる予定だと伝えられています。