アメリカのドナルド・トランプ大統領は、ベネズエラ政府の発行する独自の仮想通貨ペトロの取引を禁止するとの大統領令を発表しました。
今回の規制は、ニコラス・マドゥロ大統領のベネズエラ政府へのさらなる圧力となります。この大統領令により、米国民は原油価格と連動する仮想通貨ペトロを使った取引に関与することが禁じられます。
マドゥロ氏はこのトークンの事前販売を通じてすでに50億ドルを獲得していると主張していますが、この主張を裏付ける証拠はまだ提示されていません。
マドゥロ政府による外貨備蓄を増やす試みは、この禁止措置によって妨げられることとなります。トークンの売出しで受け入れが認められるのは、米ドルとユーロだけです。ベネズエラでは外国通貨の購入が禁止されているため、ベネズエラ国民は合法的に参加することができません。
またトランプ大統領は、大統領令の施行に必要な規則を発動する権限を、スティーヴン・マヌーチン財務長官に与えるとしています。財務省は今年、ベネズエラ政府高官4人に対して、制裁措置を発表しています。
マヌーチン氏によると「マドゥロ大統領はベネズエラの経済を破壊し、人道的危機に拍車をかけた。マドゥロ政権は軌道修正する代わりに、デジタル通貨ペトロを通して制裁回避を企てている」とのことです。
さらに財務省は1月、投資家に対してペトロとの関与を避けるよう警告しており、ペトロについて「マドゥロ政権強化を狙ったものであり、ベネズエラ国民の財産をさらに奪うことになる」と語っています。
ペトロは外国政府からの承認や関心が得られずに苦慮しています。ベネズエラ政府は今年始めに、ポーランドがペトロによる食料や医薬品の貿易に興味を示していると主張していましたが、後日ポーランドの金融庁と外務省により否定されています。