BMW・MINI・Rolls-Royce・BMW Motorradなどといった世界有数のブランドを擁する大手自動車メーカー「BMW Group」は2020年3月31日の発表で、ブロックチェーン技術を用いてサプラチェーンの透明性を確保することなどを目的とした「PartChain」と呼ばれるプロジェクトを拡大していく計画を明らかにしました。
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「PartChain」プロジェクトで参加企業を拡大
BMW・MINI・Rolls-Royce・BMW Motorradなどといった世界的に有名な自動車ブランドの親会社である「BMW Group」は2020年3月31日の発表で、ブロックチェーン技術を活用してサプライチェーン管理などに取り組む「PartChain」と呼ばれるプロジェクトを拡大していく計画を明らかにしました。
同社は自動車部品の原材料や製造過程などに関する情報を明確にし、製品の安全性を高めるためにブロックチェーン基盤のソリューションを活用したプロジェクトに取り組んでいますが、2020年は「PartChain」プロジェクトに参加するサプライヤーを拡大していくことを目指していると報告されています。
「PartChain」はブロックチェーン技術だけでなく「Amazon Web Services」や「Microsoft Azure」などといったクラウドテクノロジーも活用しているため、参加している全てのパートナー間でコンポーネントの起源を追跡することができ、データ改ざんのリスクも最小限に抑えることができるとのことです。
具体的には2020年に主要なサプライヤー10社を選出した上で、今後数年間をかけてさらに多くのサプライヤーを追加していく予定だとされています。
業界全体で利用できる「オープンプラットフォーム」構築へ
BMW Groupよると「自動車業界のサプライチェーンは非常に複雑であり、段階的なプロセスで多数の企業が製品に関わるだけでなく、その状況は頻繁に変化する」とされています。そのような企業の多くは各社のデータを個別に管理するのが一般的であり、”関連企業のITシステムが互いに通信できる”というわけでもなかったため、透明性を確保するための作業には多大な労力が必要だったとのことです。
「PartChain」はこのような問題を解決できるソリューションであり、PartChainを活用することによって、関連企業のデータを改ざん不可能なブロックチェーン上に記録することができるようになり、それらのデータを必要に応じて収集することができると説明されています。
「BMW AG」の購買およびサプライヤー・ネットワーク担当取締役であるAndreas Wendt(アンドレアス・ウェント)氏は『私たちのビジョンは”サプライチェーン内のデータを業界全体で安全に交換・共有し、匿名化できるオープンプラットフォーム”を作成することだ』と語っています。
2019年に実施されたテストプロジェクトは「パーツ追跡」のみに焦点を当てていたものの、将来的には鉱山から製錬所までを含めた”原材料の完全なトレーサビリティ”を実現することも期待しているとのことです。
「BMW Group」は、2018年に「Ford・Renault・General Motors」などの大手自動車メーカーと共に「モビリティ・オープン・ブロックチェーン・イニシアチブ(MOBI)」と呼ばれる業界団体を立ち上げていますが、ウェント氏は『PartChainソリューションをMOBIメンバーと共有し、関心のある企業をイニシアチブに参加させたい』と考えていることも明かしています。