サークルCEO「ステーブルコインはiPhone登場前夜」|革新迫る決済市場

サークルCEO「ステーブルコインはiPhone登場前夜」|革新迫る決済市場(Circle CEO says stablecoins are on the eve of an iPhone-like revolution in payments)
目次

ステーブルコインに歴史的な転機到来か

米Circle(サークル)社のCEOであるジェレミー・アレール氏は2025年6月15日、ステーブルコインは近く「iPhone時代」を迎える可能性があるとの見解を示しました。

この「iPhone時代」とは、2007年に初代iPhoneがもたらしたような飛躍的な技術革新の瞬間を指しており、アレール氏は自身のX(旧Twitter)の投稿で「すべての開発者が認識するようなiPhone時代にはまだ達していない。しかしまもなく訪れる」と述べています。

また、同氏はステーブルコインを「これまでで最も実用性の高いデジタル通貨」と表現し、開発者コミュニティによる活用がこれから本格化すると強調しました。

史上最も実用性の高い「お金」が誕生しました。

しかし、開発者たちがインターネット上で使える「プログラム可能なデジタルドル」の持つ力と可能性に気づき、その活用が一気に広がる、いわゆる“iPhoneの登場”のような瞬間は、まだ訪れていません。

ですが、その時はもうすぐやってくるでしょう。

この投稿は、プログラム可能なデジタル通貨であるステーブルコインの将来性に対するアレール氏の期待の高さを表しており、ステーブルコイン市場が近い将来、急速に成長する可能性を示唆しています。

ステーブルコインは「iPhone登場の前夜」

アレール氏の発言の背景には、業界内でステーブルコインの利点に対する認識が高まっていることが挙げられます。

米ベンチャーキャピタルa16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)のパートナーであるサム・ブロナー氏が「ステーブルコインは誰もがマネーをプログラムできるようにし、競争を促進する」と投稿しており、今回のアレール氏のコメントはこの投稿に応える形で発信されました。

アレール氏はステーブルコインが持つ競争力について、アップルのApp Storeが開発者にもたらした革新に例えて、開発者たちがステーブルコインの可能性に気付き始めている現状を指摘しています。

アレール氏によれば、ステーブルコインは「プログラム可能なデジタルドル」を実現するものであり、その実用性は極めて高いものの、現在はiPhone登場前夜に似た状況にあります。

必要な開発ツールやインフラが整備されることで、ステーブルコイン技術は金融サービス分野で急速に普及する可能性があります。

米投資家のチャマス・パリハピティヤ氏も、ステーブルコインを「金融サービスを根本的に変える技術」と表現し、高い手数料を徴収する既存の金融業者を市場から退場させる可能性がある革新的な技術と評価しています。

パリハピティヤ氏は、ステーブルコインがもたらす効率化によって「世界のGDPが1~2%(約1~3兆ドル相当)増加する」との試算も示しました。

ステーブルコインは、金融サービスにおける“グランド・ユニファイング・セオリー(統一理論)”とも言える存在です。

あらゆるプレイヤーが競争相手となり、最終的な勝者は消費者と企業です。一方で大きな影響を受けるのは、高額な手数料に見合わない価値しか提供していない「レントシーキング型」の企業でしょう。

ステーブルコインの導入によって、2025年だけでも世界のGDPに100〜200%もの押し上げ効果が期待されます。

世界的に加速するステーブルコイン普及の動き

AmazonとWalmartが独自ステーブルコイン検討

米国では小売大手のAmazonとウォルマートが独自の米ドル連動型ステーブルコイン発行を検討していることが、6月14日の報道で明らかになりました。

米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、両社はクレジットカード決済で発生する高額な手数料負担を削減し、決済処理の迅速化を図る目的でステーブルコイン導入を模索していると報じられています。

米国におけるカード手数料の総額は2021年だけで約320億ドル(約4.6兆円)に上り、自社発行のデジタル通貨を使えば銀行を介さずに取引できることから、こうしたコストを大幅に削減できると期待されています。

両社の計画はまだ初期段階ながら、安価で高速な決済インフラ構築という観点から金融業界に与える影響は大きく、規制当局や業界関係者からも大きな注目を集めています。

各国で進むステーブルコインの法整備

ステーブルコイン普及を巡る制度整備も各国で進み始めています。

米国ではステーブルコイン規制法案「GENIUS法」が上院で可決に向けた手続き段階に入り、ステーブルコインの裏付け資産や発行者に関する明確なルール作りが進展しています。

同法案は大企業によるステーブルコイン発行の道を開く鍵と位置付けられており、法整備の進捗がAmazonやウォルマートによるプロジェクトの行方を左右する可能性があります。

一方、アジアでも動きがあり、韓国では6月10日、新政権が企業によるステーブルコイン発行を解禁する法案を国会に提出しました。

この法案が成立すれば、一定の要件を満たす企業は当局の承認の下で自社発行ステーブルコインを提供できるようになり、規制面での追い風が市場拡大につながると期待されています。

ただし、各国中央銀行は民間発行のデジタル通貨が金融政策に及ぼす影響に慎重な姿勢を見せています。そのため、普及拡大には投資家保護とイノベーション促進を両立させるバランスの取れたルール作りが求められています。

市場規模でVisa・Mastercard超え

このようにステーブルコインを取り巻く環境は急速に整備されつつあり、利用者数が拡大し、多くの企業の参入が相次いでいます。

大手仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)の最新レポートでも、ステーブルコインのグローバル利用者数は1億6,100万人を超え、2024年の年間送金総額が27.6兆ドル(約4,000兆円)に達してVisaとMastercardの合計取引額を上回ったと報告されています。

Coinbaseは「2025年はステーブルコイン飛躍の年になる」と分析しており、業界では「未来のマネー」と称されるステーブルコインが実際の決済手段として広く普及し始めているとの見方が強まっています。

これらのことから、アレール氏が予見するiPhone時代に向け、ステーブルコイン関連の開発競争や実証がさらに加速していくと見られています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=144.38 円)

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Source:ジェレミー・アレール氏X投稿
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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