FRB副議長「銀行が仮想通貨取引を恐れる時代は終わった」罰則リスク排除を明言

FRB副議長「銀行が仮想通貨取引を恐れる時代は終わった」罰則リスク排除を明言(FRB Vice Chair declares end of fear over crypto trading for banks and removal of punitive risks)
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ボウマン副議長「銀行の仮想通貨取引に罰則なし」

2025年8月19日、FRB(米連邦準備制度理事会)のミシェル・ボウマン副議長は、米ワイオミング州で開催されたブロックチェーンサミットにおいて「銀行が合法的な範囲で仮想通貨関連サービスを提供しても、監督上の罰則や評判リスクを恐れる必要はない」と表明しました。

この発言は従来の規制当局の姿勢から大きな転換点となり、金融機関が仮想通貨ビジネスに参入する際の障壁となっていた「評判リスク」に関する懸念を解消する動きとして業界で注目を集めています。

ボウマン氏は「銀行が提供するサービスや取引先の選択は各銀行の経営判断に委ねられるべきであり、安全性と健全性、さらに顧客の合法性を満たす限り、規制当局が特定業種を理由に罰則を科すことはない」と述べ、規制当局の新たな姿勢を明確に示しました。

この方針転換により、仮想通貨企業が銀行口座を失う「デバンキング」問題への対処が進み、銀行が仮想通貨関連ビジネスを取り扱いやすい環境が徐々に形成されつつあります。

FRBが示した仮想通貨監督の新たなアプローチ

銀行と仮想通貨を巡る「罰則排除」の意義

ボウマン副議長の発言は、FRBが仮想通貨分野に対して前向きな監督姿勢へ転じつつあることを示すものです。

FRB理事会は今年6月23日、「評判リスク」を銀行検査の考慮事項から除外する方針を発表しており、現在はこの新方針を恒久化するため、監査マニュアルやガイダンス文書の改訂作業が進められています。

ボウマン氏は「合法的な活動を行う顧客を銀行が扱うことを、規制当局が罰したり禁止したりすべきではない」と述べ、銀行が合法ビジネス全般にサービスを提供できるよう、規制当局に特定業種を不当に忌避しない姿勢を求める考えを示しました。

過度な慎重姿勢からの脱却とイノベーション促進

加えてボウマン氏は、規制当局の過度に用心深い考え方がイノベーションを阻害してきた可能性に言及し、今後は新技術の利点にも目を向ける必要性を訴えました。

FRBは8月15日、新しい金融活動を通常の監督プロセスで扱う方針を打ち出し、銀行のブロックチェーン活用や仮想通貨サービスを特別視せず、平常業務の延長として監督するとしています。

ボウマン氏は、規制当局の理解を深める方策として、FRBスタッフが少額の仮想通貨を保有する案に言及しました。あわせて「実際に触れてみることで初めて技術の仕組みを真に理解できる」と述べ、現場での知見蓄積の重要性を強調しました。

米政府と歩調を合わせたFRBの政策転換

これら一連の発言は、米国の銀行監督当局が仮想通貨やブロックチェーン技術に対して建設的かつ協調的なアプローチへと舵を切ったことを示しています。

米国政府全体でも同様の動きが見られ、8月7日付の大統領令では「評判リスク」など政治的判断に基づく銀行サービスの制限を排除する方針が明示されました。こうした政府方針により、すべての合法ビジネスに対する公正な銀行サービスの提供が求められています。

ボウマン氏の表明は、こうした連邦政府の政策方針とも軌を一にするものと位置付けられ、金融当局と政府が一体となって仮想通貨分野の環境整備を進めている構図が明確になっています。

大手銀行の仮想通貨サービス採用拡大がもたらす影響

米上位25行の半数以上が仮想通貨市場へ参入

2025年8月現在、米国の大手銀行による仮想通貨サービス参入は急速に進んでいます。

仮想通貨企業RIVER社の調査では、米国のトップ25行のうち過半数が、顧客向けのビットコイン(BTC)など仮想通貨サービス提供に向けた準備を進めていることが明らかになりました。

RIVER社はX(旧Twitter)上で「最初は無視し、次に対抗し、そして今、銀行はビットコインを受け入れ始めている」と指摘しており、大手銀行の姿勢が転換期にあることを示唆しています。

具体的な動きとしては、最大手のJPモルガン・チェースが米大手仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)と提携し、自社クレジットカードによるウォレット入金やポイントを用いた仮想通貨購入を2025年秋から可能にする計画を発表しました。

また、同行は2026年にも銀行口座とコインベース口座を直接連携させるサービスの開始を予定しており、銀行顧客がより安全かつ簡便に仮想通貨取引を行えるようになる見通しです。

大手銀行による独自ステーブルコイン計画

バンク・オブ・アメリカ(BofA)は、米ドル連動型の独自ステーブルコイン発行を視野に入れ、仮想通貨決済インフラの整備計画を進めていることを明らかにしました。

シティグループもデジタル決済向けに独自ステーブルコイン発行を検討中であるほか、PNC銀行はコインベースと組んで顧客向け仮想通貨取引サービス提供を準備していることが報じられています。

かつてビットコインに懐疑的だったJPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOも、現在は同行がステーブルコイン事業に関与していく意向を示しており、大手行トップの認識にも変化が生じています。

トランプ政権の推進姿勢と規制明確化への期待

こうした動きの背景には、トランプ政権の仮想通貨推進方針と、規制の明確化に対する期待感があるとみられています。

トランプ大統領は自ら「仮想通貨の味方」を宣言し、規制面の不確実性が後退しつつあることで、大手銀行は新たな収益機会として仮想通貨事業への参入を本格化させています。

実際、市場面でも仮想通貨への信頼性は向上しており、仮想通貨市場全体の時価総額は直近で4兆ドル(約590兆円)に達する規模となりました。

金融当局の方針転換と市場の成熟が重なり、銀行業界と仮想通貨業界の距離は急速に縮小しています。今後は、各銀行が法令遵守とリスク管理を徹底しつつ、ブロックチェーンや仮想通貨を活用した新サービスを創出していくことが期待されています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.74 円)

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Source:FRB公式声明
サムネイル:AIによる生成画像

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Written by

BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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