マイニングマシンの70%が停止する危険性もThe Antbleed Backdoor問題

by BITTIMES   

4月27日、マイニングマシン販売最大手のBITMAIN社が製造するハードウェア、ANTMINER S9・L3・T9・R4シリーズのコードに虚弱性が発見された。正確にはBITMAIN社によって故意に作られた「バックドア」のコーディング問題である。このバックドア機能を使用すれば、マイニングハッシュパワーの最大 70%とも言われているBITMAIN社製のマイニングマシン全てを"一括で止める事が可能"となり、事実上、BITMAINはビットコインのマイニング市場をコントロールすることも可能である。このバックドアは 2016年7月11日以降にフォームウェアがアップデートされたハードウェアすべてに書き込まれていると考えられている。現在、アメリカなど英語圏ではこのスキャンダルとも言えるバックドア問題で騒然となっている。
※バックドアとは、ハッカーやクラッカーが他人のコンピューターに無許可で、かつ知られることなくコンピューター内に侵入する通信接続機能のことである。

The Antbleed Backdoor

今回の BITMAIN社製のマイニングマシンに搭載されていることが発覚したバックドアの問題を
「The Antbleed Backdoor(ザ・アントブリード・バックドア)」と読んでいる。
※「バックドアで血を流すアリの意。」BITMAIN社が運営する最大のマイニングプールが Antpool のため。
さて、このThe Antbleed Backdoor問題のどこが問題なのだろうか。

The Antbleed Backdoorの仕組み

このThe Antbleed Backdoorで問題視されているのは、ANTMINER S9などのマイニングマシンが定期的にBITMAINが所有するサーバー(auth.minerlink.com)に定期的に情報を送受信することだ。
このサーバーには、現在何も設定されていないが、設定が「ON」になった場合、すべてのマイニングマシンはマシンのシリアルナンバー、MACアドレス、IPアドレスをサーバーに定期的に送信し続ける。それと同時にサーバーからの情報もマシンが受信し続ける。このシンプルな機能には 2つの大きな問題がある。
1つは「マシンを所有者の情報が BITMAIN に筒抜けになる」こと。
そしてもう1つは、「BITMAINサーバーから『マシンを停止しろ!』という信号を受診した場合、マイニングが強制的に停止される」ことだ。

The Antbleed Backdoorの問題点と最悪の事態

「マシンの強制停止」に関していえば、BITMAIN がマシンを止める権限を持っているということであり、例えば、ライバルのマイニングプールの運営を故意に止めることもできる。このバックドア機能を使用すれば“独裁的に”マイニング市場をコントロールできる。
また、このThe Antbleed Backdoor 仕組み自体はシンプルな構造になっているので、ハッキング、なりすまし、乗っ取りなどの悪意のある第三者の攻撃の可能性もある。当然、彼らはマイナー企業の情報を全て抜き取ることもできる。例えば、力のあるハッカーであれば、一時的にビットコインのマイニング市場を牛耳ることも可能だ。

BITMAIN社の思惑

今回の The Antbleed Backdoor 機能に関して、BITMAIN社は、「スマートフォンから遠隔操作で特定の機械をコントロールするのと同じで、マイニングマシン所有者が遠隔でマシンをコントロールするための機能である。私たちは許可なくこの機能を使用する意思は無い。」と表明しているが、彼らの思惑は別のところにある。
The Antbleed Backdoor問題と先日問題になった ASIC Booost、そして BITMAIN が後押している Bitcoin Unlimited を繋げると、ある 1つのシナリオが浮かび上がる。まず BITMAIN はハードフォーク問題で話題になっている Bitcoin Unlimited を後押ししている。
これは Segwit などのソフトフォークが行われた場合、BITMAIN社マイニングマシンチップ機能として搭載されている ASIC Booost 機能が使用不可になるためである。つまり BITMAIN は、自社のマイニングマシンの優位性を保つために Bitcoin Unlimited を後押ししているのだ。そして、今回の The Antbleed Backdoor を使用すれば、Segwit などの Bitcoin Core側のマイニングマシンを停止させハッシュパワーをゼロに、そのまま Bitcoin Unlimited でハードフォークを起こすことが可能となる。

BITMAINの思惑をまとめると、
・マイニング業界を自社のマシンで独占したい。
・独占のために Core側のマシンを強制停止
・Bitcoin Unlimited にて強制フォーク
以上の 3点である。

これが実現した場合、「マイニングマシン業界のシェア」「ビットコインのハッシュパワーコントロール」は全てBITMAIN が独占することになり、この状態になればビットコインは、BITMAIN社によってコントロールされる暗号通貨となってしまう。まさにビットコインの存在価値そのものを揺るがしかねないほどのスキャンダラスな問題である。
ビットコインコミュニティは、BITMAIN に厳格な対応をする必要があるはずだが、マイナー企業トップの会社が相手ということもあり、現在コミュニティから公式メッセージなどは出ていない。しばらくは、この問題はコミュニティ内の議題として話し合われ続けるだろう。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

関連のある仮想通貨ニュース

ファイルコイン:暗号資産FILが貰える「テストネットインセンティブプログラム」を発表

ファイルコイン:暗号資産FILが貰える「テストネットインセンティブプログラム」を発表

SBI VCトレード:貸暗号資産「VCTRADE LENDING」サービス開始

SBI VCトレード:貸暗号資産「VCTRADE LENDING」サービス開始

日本円ステーブルコイン「JPYC(JPYCoin)」販売開始:日本暗号資産市場株式会社

日本円ステーブルコイン「JPYC(JPYCoin)」販売開始:日本暗号資産市場株式会社

ビットコイン手数料100倍問題解決へ、新技術で手数料が安くなる

ビットコイン手数料100倍問題解決へ、新技術で手数料が安くなる

bitFlyer・bitbank:Lightning Network普及促進に向け「Diamond Hands」を支援

bitFlyer・bitbank:Lightning Network普及促進に向け「Diamond Hands」を支援

SpaceXも「ビットコイン」を保有|TeslaでBTC決済再開の可能性も【The ₿ Word】

SpaceXも「ビットコイン」を保有|TeslaでBTC決済再開の可能性も【The ₿ Word】

注目度の高い仮想通貨ニュース

アナリストたちがLearn-To-Earnトークンである99BTCの今後に期待、プレセールはまもなく100万ドル突破へ

アナリストたちがLearn-To-Earnトークンである99BTCの今後に期待、プレセールはまもなく100万ドル突破へ

米検察:BINANCE創業者CZ氏に「懲役3年」を求刑

米検察:BINANCE創業者CZ氏に「懲役3年」を求刑

カルダノ基盤のSNS「VYRA」リリース|トークン報酬機能も追加予定

カルダノ基盤のSNS「VYRA」リリース|トークン報酬機能も追加予定

GMOコイン:最大10万円が当たる「暗号資産預入キャンペーン第2弾」開催へ【法人口座】

GMOコイン:最大10万円が当たる「暗号資産預入キャンペーン第2弾」開催へ【法人口座】

BlackRock「政府系ファンド・年金基金のビットコインETF参入」を予想=報道

BlackRock「政府系ファンド・年金基金のビットコインETF参入」を予想=報道

スクエニ出資のDMTP「トークン上場計画」を発表|プレゼントキャンペーンも開催

スクエニ出資のDMTP「トークン上場計画」を発表|プレゼントキャンペーンも開催

ビットコインの価格高騰は近い?「現在は2020年末と同じ成長段階」Bitfinexレポート

ビットコインの価格高騰は近い?「現在は2020年末と同じ成長段階」Bitfinexレポート

カルダノ(ADA)のエコシステムをさらに強化|EMURGOが「GSR」と提携

カルダノ(ADA)のエコシステムをさらに強化|EMURGOが「GSR」と提携

無登録の仮想通貨サービス利用に「FBI」が警告|捜査の影響を受ける可能性も

無登録の仮想通貨サービス利用に「FBI」が警告|捜査の影響を受ける可能性も

仮想通貨ニュース週間まとめ「BTC・SHIB・ADA・WLD」などの注目記事

仮想通貨ニュース週間まとめ「BTC・SHIB・ADA・WLD」などの注目記事

シバイヌ(SHIB)プライバシー重視のL3開発に向け「1,200万ドル」の資金調達

シバイヌ(SHIB)プライバシー重視のL3開発に向け「1,200万ドル」の資金調達

テレグラムで「深刻な脆弱性」報告|利用者が行うべき対応は?

テレグラムで「深刻な脆弱性」報告|利用者が行うべき対応は?

仮想通貨ニュース | 新着記事一覧

仮想通貨まとめ一覧

DEX(分散型取引所)とは?特徴・使い方・注意点などをわかりやすく解説

DEX(分散型取引所)とは?特徴・使い方・注意点などをわかりやすく解説

Flare基盤のDeFi・DEX「BlazeSwap」とは?機能・使い方などを解説

Flare基盤のDeFi・DEX「BlazeSwap」とは?機能・使い方などを解説

ビットコイン「第4回目の半減期」完了|価格への影響や仕組みをわかりやすく解説

ビットコイン「第4回目の半減期」完了|価格への影響や仕組みをわかりやすく解説

WoofSwapとは?Shibarium基盤トークンを売買できる分散型取引所(DEX)を紹介

WoofSwapとは?Shibarium基盤トークンを売買できる分散型取引所(DEX)を紹介

K9 Finance(KNINE)とは?Shibarium基盤のDeFiプラットフォームを紹介

K9 Finance(KNINE)とは?Shibarium基盤のDeFiプラットフォームを紹介

Bad Idea AI(BAD)とは?特徴・価格チャート・取扱う暗号資産取引所など

Bad Idea AI(BAD)とは?特徴・価格チャート・取扱う暗号資産取引所など

人気のタグから探す