ビットコインに米国憲法全文を永久刻印「通貨か記録媒体か」論争再燃

ビットコインに米国憲法全文を永久刻印「通貨か記録媒体か」論争再燃

この記事の要点

  • 身元不明の人物がBTCに米国憲法全文を刻印
  • v30の上限緩和で44KB記録が約83ドルで実現
目次

身元不明の人物がBTCに米国憲法刻印

2026年5月29日、身元不明の人物がビットコイン(BTC)のブロックチェーン上に米国憲法の全文を書き込む取引を送信していたことが明らかになりました。

この取引は28日にネットワークへ送出され、ブロック951492に取り込まれて確定しています。

書き込まれたのは前文から修正条項までを含む米国憲法の全文で、送信者は身元を明かしておらず、この文書を残した理由についても語っていません。

データはOP_RETURN出力に記録されており、一度ブロックに取り込まれると改変や削除はできないため、ネットワーク上の全ノードで同一内容が共有・保持される状態となっています。

取引データの容量は約44.4キロバイトに達しながら、手数料は113,454サトシ(約83ドル/約1.3万円)にとどまり、1件の取引で米国憲法の全文がオンチェーンへ記録されました。

v30の仕様変更が大容量記録を可能に

v30で消えた80バイトの壁

米国憲法の全文が1件の取引に収められた背景には、OP_RETURNの容量制限緩和があります。

OP_RETURNは取引に追加情報を記録する機能として利用されてきましたが、長らく80バイト前後の容量制限が設けられていたため、保存できるのは短いハッシュ値やタイムスタンプなどに限られていました。

この状況が変わったのは2025年10月で、基盤ソフト「ビットコインコア(Bitcoin Core)」v30の公開にあわせて容量上限が約10万バイトへ引き上げられ、1取引あたり1つとされていた出力数の制限も解除されました。

この変更によって従来は難しかった大容量データの保存が現実的となり、OP_RETURNを利用できる範囲は大きく広がっています。

大容量テキストをオンチェーンに保存

実際に記録されたのは、前文・7つの条文・27の修正条項で構成される米国憲法の全文で、本文は「We the People of the United States」から始まっています。

書き込みにはセグウィット(SegWit)とタップルート(Taproot)が活用されており、大容量のテキストデータをオンチェーン上へ保存する構成が採用されました。

取引の処理を担当したのはマイニングプールのSpiderPoolで、ネットワークに送信された後、およそ14分でブロックへ取り込まれています。

項目 内容
確定ブロック 951492
データ量 約44.4KB
手数料 113,454サトシ(約83ドル)
利用機能 SegWit/Taproot

ハッシュから文書本体の保存へ

ビットコイン上にデータを残す試みは以前から続いており、OpenTimestampsやFactomでは文書のハッシュ値を記録する用途が広く利用されてきました。

2023年に登場したオーディナルズ(Ordinals)は画像や音声、プログラムコードなどを直接記録する用途を広げ、ビットコイン上で扱われるデータの種類を大きく増やしています。

これまでの事例ではハッシュ値や画像が主な記録対象でしたが、今回は米国憲法の全文がブロックチェーン上へ書き込まれました。

ただし、送信者は身元を明かしておらず、なぜ米国憲法を選んだのかについても説明していないため、その意図は現在も明らかになっていません。

再制限案「BIP-444」が浮上

今回の書き込みは、ビットコインを決済ネットワークとして維持すべきか、それともデータ保存用途まで認めるべきかを巡る議論が続くなかで実行されました。

2025年10月には、OP_RETURNの容量制限を再び設けることを目指す改善提案「BIP-444」が公開され、提案者は無秩序なデータ保存がビットコイン本来の役割を損なうと主張しています。

こうした制限案を巡る対立は今回に始まったものではなく、過去にも開発者コミュニティ内で賛否が繰り返し交わされてきました。

BIP-444は容量制限の復活を提案していますが、現在の仕様は維持されており、今回のような大容量データの記録も可能な状態が続いています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.32 円)

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Source:オンチェーン記録 / Bitcoin Core 30.0 リリースノート
サムネイル:AIによる生成画像

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