スイス、仮想通貨保有率18%に上昇|投機から「銀行を通じて持つ資産」へ

スイス、仮想通貨保有率18%に上昇|投機から「銀行を通じて持つ資産」へ

この記事の要点

  • ルツェルン大学調査、スイス仮想通貨保有率が18%に上昇
  • 1年で約14万人が新規投資、FinIA改正で法整備も進展
目次

保有率18%へ、14万人が新規投資

ルツェルン応用科学大学の金融サービス研究所(IFZ)とルツェルン州立銀行(LUKB)は2026年6月29日、スイスの仮想通貨(暗号資産)投資の実態を調べた調査「Kryptoanlagen-Studie 2026」を公表しました。

同調査によると、回答者の18%が現在仮想通貨を保有しており、2025年の16%、2024年の11%から着実に上昇したほか、過去に保有していた層も8%を占めています。

スイス全体では、この1年間で約14万人が新たに投資を始めた計算となり、仮想通貨投資が一部の愛好家にとどまらず、一般投資家にも広がりつつある実態が示されました。

調査では保有率の推移に加え、投資判断や銀行への信頼度、参入時期なども調査対象となっており、投資家の特徴を多角的に分析しています。

信頼が価格に勝る、スイス投資家の実像

手数料2倍でも投資判断に影響薄

保有率の上昇だけでなく、今回の調査では投資判断の基準にも特徴がみられ、価格よりもサービス提供元への信頼が重視される傾向が確認されました。

研究チームは年間手数料やサービス提供元を変えた模擬ポートフォリオを用いた意思決定実験を通じて、その傾向を検証しています。

実験では、年間手数料を0.6%から1.2%へ引き上げても投資判断への影響は限定的だった一方、提供元による違いは資産配分に大きく反映され、価格競争力よりも安心して利用できる金融機関であることが重視される結果となりました。

模擬ポートフォリオで州立銀行(カントナルバンク)を提供元とする選択肢には、回答者中央値で31%の資産が配分され、Coinbaseへの21%を約10ポイント上回りました。

調査では、仮想通貨が投機対象から、信頼できる金融機関を通じて保有する資産として受け入れられつつあると分析しています。

仮想通貨助言、最大100万人が関心

提供元への信頼を重視する傾向は銀行による助言サービスにも表れており、調査では仮想通貨アドバイザリー(助言)サービスの利用意向についても検証しました。

その結果、回答者全体の15%が取引銀行による仮想通貨アドバイザリーを「利用する可能性が高い」または「非常に高い」と回答しており、スイス全体では数十万人から最大約100万人規模の潜在顧客に相当すると見積もられています。

利用意向は若年層ほど高く、Z世代は27%、ミレニアル世代は21%だった一方で、X世代は9%、ベビーブーマー世代は6%にとどまり、世代間で明確な差が確認されました。

また、仮想通貨への投資経験も利用意向に大きく影響しており、現在の保有者では34%が助言サービスの利用を検討すると回答した一方、過去の保有者は23%、未経験者は9%となっています。

決め手は投資経験、障壁は知識不足

銀行サービスへの利用意向に投資経験が影響していたことから、研究チームは将来の投資意欲との関係についても回帰分析を行い、年齢や性別、所得よりも投資経験そのものが強く影響していることを明らかにしました。

人口統計上の属性だけで説明できる投資意欲のばらつきは17%にとどまった一方、過去の投資経験とリスク許容度を加えた分析では説明力が42%まで高まり、投資経験が将来の投資意欲に大きく影響することが示されています。

投資意欲を7段階で評価した設問では、現在も保有している投資家は未経験者より約2段階高い水準を示し、この傾向は世代を超えて共通しています。

現在も保有しているベビーブーマー世代の方が、過去に保有していたミレニアル世代より再投資に前向きな結果となりました。

一方、一度も投資したことがない回答者では「知識不足」が最大の参入障壁となっており、51%がその理由として挙げたほか、価格変動の大きさや関心の低さが続いています。

相場循環が映す参入と成績

投資経験がどのように形成されたのかを探るため、調査では投資を始めた時期と運用成績についても分析が行われました。

初めての投資はビットコイン(BTC)価格が大きく上昇した2020〜2021年と2024〜2025年の強気相場に集中しており、この時期に参入した投資家が現在の保有者全体の26%を占めています。

運用成績では、現在も保有を続ける投資家の57%が利益を報告した一方、すでに売却した元投資家で利益を得たと回答した割合は43%にとどまりました。

調査では、この差について、利益を得た投資家が市場に残り、損失を被った投資家が市場から離れやすい「生存者バイアス」の影響によるものと説明しています。

スイス法改正、仮想通貨事業を制度化へ

投資家層の拡大が続くなか、スイスでは仮想通貨関連事業を対象とした法制度の見直しも進められており、連邦政府は金融機関法(FinIA)の改正を通じて、新たな規制枠組みの導入を図っています。

その一環として、連邦評議会は2025年10月22日、仮想通貨関連ビジネスの条件を定める金融機関法(FinIA)改正案の意見公募(コンサルテーション)を開始しました。

改正案では、ステーブルコインを発行できる「決済手段機関」と、暗号資産の保管や取引を担う「仮想通貨機関」という2種類のライセンス区分を新設し、仮想通貨関連事業を法制度の枠組みへ組み込むことが盛り込まれています。

意見公募は2026年2月6日まで実施されており、寄せられた意見を踏まえて法案化に向けた手続きが進められる予定です。

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Source:IFZレポート
サムネイル:AIによる生成画像

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BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

仮想通貨ニュースメディア「BITTIMES(ビットタイムズ)」編集長。2016年にBITTIMESを創業し、暗号資産・ブロックチェーン・Web3領域の取材・執筆を10年近く継続。ビットコイン・イーサリアムをはじめとする主要銘柄の動向から、国内外の規制・税制・DeFi・NFTまで幅広くカバー。

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