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三井住友信託銀行「国内初のデジタル証券」月内発行の可能性=日経報道


三井住友信託銀行がブロックチェーン技術を用いて「クレジットカードの債券を裏付けとしたデジタル証券(セキュリティトークン)」を近い将来に発行する可能性があることが「日本経済新聞」の報道で明らかになりました。このデジタル証券は月内にも発行される見通しだとされており、個人投資家への販売も今後検討すると伝えられています。

こちらから読む:日本銀行、中央銀行デジタル通貨の連絡協議会を設置「国内ニュース」

個人投資家への販売も検討

三井住友信託銀行はクレジットカードの債券を担保にしたデジタル証券(セキュリティートークン)を月内にも発行する見通しだと伝えられています。

三井住友信託銀行は格付投資情報センター(R&I)から最上位の短期格付けを取得して、最初は特定の投資家にデジタル証券を販売し、今後は個人投資家への販売も検討することを計画しているとされています。

上場株ほど流動性が高くない証券化商品は管理に手間がかかるため、証券化商品の購入は大口顧客のみに限られていましたが、ブロックチェーン技術を活用すれば、小規模な債券をまとめた上で所有権を分割しやすくなり、小口売買が可能になるとされています。

また今回の報道では「デジタル証券を発行すれば券面でのやりとりもなくすことができるため、取引コストを抑えることができ、企業の資金調達を多様化できる」という利点も説明されています。

セキュリティトークン(デジタル証券)は世界的に注目を集めていますが、ここ最近では日本国内でもデジタル証券関連の動きが活発化してきており、今年1月末には「SBIホールディングス」と「三井住友フィナンシャルグループ」が株式とデジタル証券を取り扱う私設取引システムの運営を目指す『大阪デジタルエクスチェンジ株式会社(ODX)』を2021年3月に共同設立することを発表しているほか、先日は「SBI証券」がSTOの取扱いを可能にする変更登録を完了したことを報告しています。

>>「日本経済新聞」の報道はこちら

デジタル証券には「Securitize」のサービスを活用

(追記:2021年3月29日18:00)
デジタル証券の発行・ライフサイクル管理プラットフォームを提供している「Securitize Japan株式会社」は2021年3月29日に『三井住友信託銀行がSecuritizeのプラットフォームを利用した、国内初の証券化商品を裏付けとするセキュリティトークンを発行する試験的取り組みを行なったこと』を発表しました。

Securitize Japanの発表によると『今回の取組みは三井住友信託銀行が証券化商品を裏付けとする受益証券発行信託(*1)を設定し、Securitizeのプラットフォームを通じて、受益証券をセキュリティトークンの形態に転換した上で、自己私募により発行したもの』だとされています。
(*1)受益証券発行信託:受益権を表示する有価証券(受益証券)を発行する信託の類型。委託者から拠出された信託財産を信託受託者が管理し、信託財産からの収益や信託財産を受領する権利等(受益権)を、受益証券という形にして発行する。

三井住友信託銀行のデジタル証券は、Securitizeが提供するセキュリティトークンの所有権や権利移転を制御するプロトコルである「DSプロトコル」を用いて発行されたとのことで、投資家はSecuritizeが提供する投資家ダッシュボードを使用して各種資料の閲覧や投資申込みを電子的に行い、ダッシュボードを通じてポートフォリオの確認を行うことができ、三井住友信託銀行は、管理者コントロールパネルを使って、投資家や受益権原簿、発行したセキュリティトークンを管理すると説明されています。

「三井住友信託銀行株式会社」の資産金融部長である尼寺啓人氏と、「Securitize Japan株式会社」のカントリーヘッドである小林英至氏は、公式発表の中で次のようにコメントしています。

【三井住友信託銀行:尼寺啓人氏】
今回、受益証券発行信託の特徴を活用し、証券化商品を裏付けとするセキュリティトークンを発行出来たことは、専業信託銀行ならではの新たな取組が出来たものと考えております。最新のデジタル技術と伝統的な信託機能を融合させることによる新商品の開発を積極的に推進し、変容するお客様のニーズに応えていきたいと思います。

【Securitize Japan:小林英至氏】
今回、電子記録移転有価証券表示権利等該当、格付け付きの証券化商品STOという、日本のSTOにおけるマイルストーンとなる案件をお手伝いできたことに大きな意義を感じております。今後これを第一歩として、日本のSTO市場発展に向けた、更なる協業関係を進めていければ嬉しく思います。

>>「Securitize Japan」の発表はこちら