G7(日本・アメリカ・イギリス・カナダ・フランス・ドイツ・イタリアの主要7ヵ国)は2021年10月13日に、財務大臣・中央銀行総裁会議で中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する共通原則を発表しました。今回発表された共通原則では中央銀行がCBDCを発行する際に検討すべき項目などがまとめられています。
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「金融安定・利用者保護・透明性などが重要」と強調
日本・アメリカ・イギリス・カナダ・フランス・ドイツ・イタリアの主要7ヵ国からなる「G7」は2021年10月13日に、財務大臣・中央銀行総裁会議で中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する共通原則を発表しました。
G7諸国は数年前から中央銀行デジタル通貨が与える影響やリスクなどについての調査・研究を行なっていましたが、今回発表された共通原則では中央銀行がCBDCを発行する際に検討すべき項目などがまとめられています。
具体的には以下のようなことが説明されており「通貨や金融の安定を尊重すること」や「利用者保護に向けた説明責任・透明性が重要であること」などが重要であると強調されています。
- いかなるCBDCも、透明性・法の支配・健全な経済ガバナンスに対する公的部門の長年のコミットメントに基づくべきである
- いかなるCBDCも、通貨と金融の安定に関して中央銀行がマンデートを満たすための能力を支えなければならず、侵害してはならない
- 利用者の信頼と信認を得る上での厳格なプライバシー基準、ユーザーデータの保護に対する説明責任、情報の保護・使
用方法に関する透明性が重要である - いかなるCBDCエコシステムも、サイバーリスク、不正リスク、その他のオペレーショナルリスクに対して安全かつ強靱でなくてはならず、不正な資金に関する懸念に対処し、エネルギー効率が高いものでなければならない
- CBDCは決済の選択肢・包摂性・多様性を促進する、オープンで透明性のある競争的な環境で運営されなければならない
- CBDCがクロスボーダー決済の改善に役立つ可能性があることを踏まえた上で、クロスボーダーでの相互運用性を考慮することが重要である
- 国際通貨金融システムへの有害な波及効果を最小化する共通責任がある
また、G7は『公共政策上の検討事項に関する分析をさらに深めるために、関連する国際機関・基準設定主体・中央銀行・関係当局などとも引き続き連携してCBDCの潜在的な影響を分析する』とも説明しており、『CBDCの導入が国際的な金融システムにもたらす潜在的な影響についてのIMF(国際通貨基金)のさらなる取組みも歓迎する』ともコメントされています。
G7諸国はまだ中央銀行デジタル通貨を発行していないものの、中国では「デジタル人民元」の準備が着々と進められているため、CBDCの共通原則を定めることによって中国を牽制し、G7としての主導的な立場を示す狙いがあるとみられています。