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福利厚生にもブロックチェーン技術を活用|オーストラリア

オーストラリア政府のDigital Transformation Agency(DTA)は、福利厚生支払いのためのブロックチェーンの使用を調査する意向を明らかにしました。

Digital Transformation Agency(DTA)とは

Digital Transformation Agency(DTA)は、2015年に設立されオーストラリアの政府機関と代理店のデジタル化への取り組みを支援しています。

現在DTAの役割はさらに拡大しており、オーストラリア政府全体の変革を導くための情報通信技術に関連する幅広い計画の中央監督を行っています。

具体的な取り組みとしては、政府機関と提携してデジタルサービスの購入方法と提供方法の​改善を行なっている他、再利用可能な政府機関向けの製品とプラットフォームの開発、デジタルサービスの提供と共有プラットフォームについての政府への助言、情報通信技術プロジェクト・コスト・リスク・機会について政府により透明性を提供するなどといった、さまざまな活動を行なっています。

ブロックチェーンサービスの開始は?

Digital Transformation Agency(DTA)のCEOであるRandall Brugeaud氏は、シドニーで開催されたCeBITオーストラリア会議の中で、最初のブロックチェーンサービスが2019年中頃に発表される可能性があると述べています。

「私たちは福利厚生のデリバリーシステムに焦点を当てて連邦のユースケースを探し、デジタルサービス標準を使って次の財務年度末までにプロトタイプを作成するという視点でユーザー調査を行う予定です。」

社会保障福祉をブロックチェーンを通じて提供することは、透明性、不変性、自動支払いによる効率性の向上などといった大きな利点をオーストラリア市民にもたらします。

DTAは人工知能(AI)と機械学習も検討していますが、Brugeaud氏は特に、政府機関がそのような技術が政府のサービス提供をより良くする方法を検討していると指摘しています。

オーストラリア政府は、ブロックチェーン技術を研究するための2018〜19年の予算の一部として、70万豪ドル(約5,825万円)の資金をDTAに与えています。

Brugeaud氏は「来年度の会計年度の終わりには、政府サービスのユーザー数が約50万人になるようパイロットを導入する予定である」と語り、「取引を安全に記録するためのブロックチェーンの潜在的可能性を調査し、他の公共部門および民間部門の組織の経験を活用する」と述べています。

2018年10月には試験的な導入が開始された後、グラント管理、ビジネス登録、学生サービス、Centrelinkのサービスなど、徐々に他のサービスをオンラインで提供していく予定であるとのことで、DTAはこの結果として約280万件の取引がオンラインに移行すると予想しています。

Brugeaud氏は、「この交換はプライバシーを守る上で非常に重要な役割を果たすだろう。サービスプロバイダーはユーザーのID情報を見ず、逆にIDプロバイダーは各ユーザーがどのサービスにアクセスしているのか分からない」とも述べています。

ブロックチェーンの研究を指示|オーストラリア首相

オーストラリアのMalcolm Turnbull(マルコム・ターンブル)首相は、DTAに対して政府間のブロックチェーン技術の潜在的応用を研究するように指示したことも明らかになっています。

地元メディアであるitnews.com.auの報道によると、DTAの最高デジタル責任者であるPeter Alexander(ピーター・アレクサンダー)氏は、ブロックチェーン技術の探査と、最近の連邦予算での資金調達が要求されていることを明らかにしたとのことです。

首相は事実、私たちの大臣(DTAの副大臣マイケル・キーン氏)に手紙を書いて、ブロックチェーンの進歩を見てほしいと頼んだ。

オーストラリア当局は、同機関がすでに4大銀行であるコモンウェルス銀行やその他の金融機関にブロックチェーンが金融サービス分野でどのように機能するかを調査する作業を開始したことを明らかにしています。

オーストラリアの中央銀行は、ブロックチェーンソリューションを研究し開発するために複数の取り組みを行なっており、オーストラリアの最大の証券取引所は2020年までにブロックチェーン技術を導入する世界で最初の大手証券取引会社になる予定です。

キャッシュレス化の進むオーストラリア

オーストラリアでは近年キャッシュレス化への取り組みがさらに加速しています。

オーストラリアのブロックチェーン企業であるGladAgeは、世界各地の人口の高齢化問題に取り組んでいます。

GladAgeは、退職後の高齢者の方々のニーズに応じた介護方法を選択するオプションや、GladAgeプロパティの賃貸物件または所有建造物のいずれかに独立して滞在するために必要な機器やサービスを購入できるようにするオプションを提供しています。

今月の初めには、2019年7月1日から1万豪ドル(約83万円)を超える現金での支払いを法律違反とする方針が明らかにされています。

またオーストラリアは仮想通貨の導入も進んでおり、小学校で暗号通貨の授業を行なっているほか、オーストラリア公立研究大学であるRMITは「ブロックチェーン技術に関する専用オンライン短期コース」を開始しています。

またオーストラリアのブリズベン空港内のショップでは、ビットコイン決済などの仮想通貨での支払いも可能になっており、空港内のコーヒーショップ、レストラン、お土産ショップなどの店舗で、ビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)ダッシュ(DASH)ライトコイン(LTC)など仮想通貨決済に対応していくとも発表されています。

世界で始めて仮想通貨決済を導入したブリスベン空港

観光地としても有名なオーストラリアは仮想通貨などを活用することで、今後さらにグローバルでスマートな観光地として栄えていくことになるのかもしれません。