合計13の容疑でBINANCE・CZ氏を提訴
米国証券取引委員会(SEC)は2023年6月5日に、Binance.comを運営している「Binance Holdings Ltd.」、Binance USを運営している「BAM Trading Services Inc.」、BINANCEのCEOであるチャンポン・ジャオ(CZ)氏を提訴したことを発表しました。
SECは、未登録証券の提供などを含めた合計13の容疑でBINANCEやCZ氏を提訴しており、具体的には以下のような複数の問題点が指摘されています。
- 未登録で暗号資産取引所を運営していた
- BNB・BUSDなどの未登録有価証券を販売していた
- 暗号資産貸付やステーキングなどのサービスを提供していた
- 取引管理や監督について虚偽の説明を行っていた
- 米国居住者の取引所利用を秘密裏に許可していた
- Binance USは独立した取引所と主張しつつ、実際にはBinanceとCZ氏が運営に関与していた
- 顧客資産を分別管理せずに混同し、自由に転用できるようにしていた
- 顧客資産をSigma Chainと呼ばれる事業体で利用できるようにしていた
- Sigma Chainはプラットフォームの取引量を人為的につり上げている
- 数十億ドルの顧客資産を混合し、CZ氏が所有する「Merit Peak Limited」に送っていたという事実を隠蔽した
公式発表の中では、有価証券に該当する銘柄として以下のような暗号資産が挙げられていますが、SECは”有価証券に該当する銘柄はこれらの暗号資産に限定されない”ということも説明しており、これらの暗号資産をまとめて「暗号資産証券」と呼んでいます。
・バイナンスコイン(BNB)
・バイナンスUSD(BUSD)
・ソラナ(SOL)
・カルダノ・エイダ(ADA)
・ポリゴン(MATIC)
・ファイルコイン(FIL)
・コスモス(ATOM)
・ザ・サンドボックス(SAND)
・ディセントラランド(MANA)
・アルゴランド(ALGO)
・アクシーインフィニティ(AXS)
・コティ(COTI)
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バイナンスは米SECの主張に反論
BINANCE(バイナンス)は今回の提訴を受けて2023年6月6日に声明を発表し、『米SECが訴状を提出する選択をとったことに失望している』とコメントしています。
バイナンスは今回の声明の中で『私たちは当初からSECの調査に積極的に協力し、彼らの質問に答え、彼らの懸念に対処するために懸命に取り組んできており、直近では問題を解決して和解するために広範かつ誠意ある話し合いを行ってきたが、SECは今回の訴状でそのプロセスを放棄し、一方的に訴訟を起こすことを選択した』と語っています。
BINANCEは『SECの申し立てを真剣に受け止めているが、緊急時ならともかく、SECの強制措置の対象にはならないはずだ』ともコメントしており、BINANCEのプラットフォームを守るために争う方針を示しています。
さらにバイナンスは『Binance.USのユーザー資産が危険に晒されてきたという主張は間違っている』とも指摘、『Binance.USを含むBINANCE関連プラットフォーム上の全てのユーザー資産は安全である』と強調しています。
また、これに続いて『今回のSECの行動は、他の規制当局に対して管轄権を主張するためのもので、SECの優先事項は投資家ではないように見える』ともコメントされており、BINANCEは世界的に有名な大手取引所であるため、米国の規制闘争に巻き込まれやすいターゲットとなっているとも述べられています。
今年3月には「米商品先物取引委員会(CFTC)がバイナンスやCZ氏を提訴したこと」も発表されているため、”他の規制当局に対して管轄権を主張するためのもの”というのはこのことを指していると考えられます。
今回の米SECの発表は仮想通貨価格にも大きな影響を及ぼしており、SECの発表後には多くの仮想通貨で10%近い価格下落が観測されています。
BINANCE利用者は早めの対応を