ユーザー名を付けて仮想通貨を簡単送金
Mastercard(マスターカード)は2024年5月29日に、仮想通貨(暗号資産)の送受信をより簡単・安全にする新サービス「Mastercard Crypto Credential」の試験運用を開始したことを発表しました。
Mastercard Crypto Credentialは、2023年4月に発表されていた仮想通貨関連の新サービスであり、仮想通貨取引の信頼性を高めて、より便利なものにすることなどを目的としています。
このサービスを利用すると、複雑な英数字のウォレットアドレスをシンプルなユーザー名に置き換えて仮想通貨を送受信できるとのことで、仮想通貨の誤送金を防止する機能も搭載されている他、国際的な規制要件であるトラベルルールにも対応していると説明されています。
具体的には「alice.px.mastercard」のような簡単な名前をつけることが可能で、仮想通貨の送金時にメモを添付できることなども報告されています。
Mastercard Crypto Credentialが初のP2P取引を開始しました!このソリューションは複雑なウォレットアドレスをユーザーフレンドリーなエイリアス(あだ名)に置き換えるだけでなく、ブロックチェーン取引の安全性・透明性・利便性を向上させます。
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仮想通貨の誤送金を防止する機能も搭載
Mastercard Crypto Credentialには「取引相手のウォレットが送信する仮想通貨をサポートしているかどうかを確認できる機能」も搭載されています。
もしも相手のウォレットがこれから送金する仮想通貨に対応していなかった場合には、その仮想通貨の送金が実行されない仕組みになっているため、仮想通貨の誤送金などを防止することができます。
また、仮想通貨の送受金・入出金に関する国際的なルールである「トラベルルール」に基づく情報交換にも対応しているため、資金洗浄やテロ資金供与などといった違法行為・不正取引などにも対処できるようになっています。
P2P取引(直接取引)は、Mastercard Crypto Credentialがサポートする最初の活用方法の1つで、今後は市場動向や規制要件に応じてNFT・チケット・その他支払いソリューションにも拡張される可能性があるとも報告されているため、将来的にはさらに利便性が向上すると期待されます。
Crypto Credentialの提供地域と今後の予定
Mastercard Crypto Credentialは「Bit2Me、Lirium、Mercado」という3つのビットコイン取引所でサポートされているとのことで、ヨーロッパとラテンアメリカで簡単かつ安全に仮想通貨を送金できると説明されています。
記事執筆時点の対象地域としては「アルゼンチン、ブラジル、チリ、フランス、グアテマラ、メキシコ、パナマ、パラグアイ、ペルー、ポルトガル、スペイン、スイス、ウルグアイ」が挙げられています。
また、今回の発表では、仮想通貨ウォレットプロバイダーである「Foxbit」がMastercard Crypto Credentialの試験運用に参加したことも報告されており、Lulubitのユーザーもアクセスできるようになるとも説明されています。
Mastercard Crypto Credentialは、一部の仮想通貨ウォレット利用者向けに先着順で提供されるとのことですが、今後数ヶ月以内には参加する取引所全体で700万人以上のユーザーが利用可能になるとも報告されています。
ウォレットアドレスの複雑さやそれに伴う誤送金などの問題は、仮想通貨の普及を妨げる重要な要因の1つとなっていたため、Mastercard Crypto Credentialのようなサービスが広く利用されるようになれば、仮想通貨全体の普及・成長にもつながると期待されます。
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