SAB121に対する見解は変わらず
米国SEC(米国証券取引委員会)の幹部が、2024年9月9日に行われた銀行のカンファレンスで、銀行の仮想通貨保管を厳しく制限する方針を表明しました。
今回の発言は、SECの主任会計官ポール・マンター氏が行いました。今回焦点になっているのは、SECが発行した仮想通貨保管に関する会計ガイドラインの「SAB121」です。
SAB121は、金融機関などが顧客の仮想通貨を保管する際に、バランスシート(貸借対照表)上で「負債」として計上することを求めるものです。SAB121の存在は、企業にとって仮想通貨を保管するコストを大きくする要因になっています。
ポール・マンター氏は「SAB121に対する見解は基本的に変わっていない。なにか、特段の事情や状況がない場合は、今後も仮想通貨を保管する企業はバランスシートに負債を記録するべきだ」と述べました。
一方、SAB121で想定されていないケースが存在していることも認識しており、その場合は別途異なる対応が必要になる可能性についても述べています。
主任会計官ポール・マンター氏の今回の発言は、SAB121が今後も原則として適用されていくことを強調するものになりました。
SAB121に対する反対意見
SAB121は賛否両論のある存在
SAB121については、2024年上半期でさまざまな動向を見せています。SAB121は、仮想通貨を保管する金融機関や企業のコストを膨大にすることから、米国内で賛否両論のある存在になっています。
2024年5月8日には、米国の下院においてSAB121を覆す決議案が可決されました。民主党議員を含む超党派が支持し、仮想通貨業界からはポジティブな意見が見られました。
一方、バイデン大統領はこの動向に対して従来より拒否権を発動する可能性について述べていました。同月31日、拒否権を実際に発動したと発表しています。
このような動向に対して、仮想通貨業界からは批判の声が見られました。仮想通貨に精通する米国の弁護士ジェイク・チャービンスキー氏は2024年5月上旬に「ホワイトハウスは関わるべきではない」とする意見を述べています。
SAB121は、非論理的かつ違法です。SECは仮想通貨業界に障害を与えるためだけに、SAB121を発行しました。ホワイトハウスはこの混乱に関わるべきではないです。
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Souce:SEC公式発表
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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