ハイパーリキッド、$JELLYの上場廃止を緊急決定
分散型取引所Hyperliquid(ハイパーリキッド)は2025年3月27日、ソラナ系ミームコイン「JELLYJELLY(JELLY)」の無期限先物取引の上場を突如廃止しました。
ハイパーリキッドは公式X(Twitter)で「不審な市場活動の証拠が確認されたため、バリデーター(検証者)による投票でJELLYの永久先物を上場廃止した」と発表しています。
同時に全てのポジションを0.0095ドルの価格で強制決済して損失拡大を防ぎ、ハイパー財団(Hyper Foundation)から不正なアドレスを除く全ユーザーに補償を行う方針も明らかにしました。
不審な市場活動が確認されたため、バリデーターセットが協議のうえ投票を行い、JELLYの永久先物を上場廃止することを決定しました。
不審な取引に関与しているとみなされたアドレスを除くすべてのユーザーには、Hyper Foundationから補償が行われます。これはオンチェーンデータに基づいて今後数日以内に自動的に処理されるため、サポートチケットを開く必要はありません。補償の詳細な方法については、後日あらためて発表いたします。
この強硬措置によってハイパーリキッドは潜在的な約2億3,000万ドル(約345億円)の損失を回避できたとされています。ハイパーリキッド側はJELLY関連の24時間損益が約70万ドル(約1億円)となったことも明かしており、技術面の改良で「ネットワークは教訓を得てより強固になる」と述べています。
今回のJELLY上場廃止決定により、ユーザー資産は保護され取引プラットフォームとしての安定性は維持されたものの、その手法を巡って仮想通貨コミュニティで賛否両論が巻き起こっています。
JELLY上場廃止の真相
ハイパーリキッドによる緊急措置の背景には、クジラによる価格操作疑惑や、それに伴う異常な価格変動があったと報告されています。
クジラ(大口投資家)による価格操作疑惑
ブロックチェーン分析企業LookonChainによると、ある匿名のクジラ(アドレス先頭0xde95)が約1億2,460万枚(485万ドル相当)のJELLYトークンを保有しており、このクジラが相場操作を仕掛けたと報告されています。
同クジラは、まずハイパーリキッド上で約4億枚(約1,530万ドル相当)という巨額のJELLYショートポジション(売りポジション)を構築した後、意図的に証拠金を引き下げ、自らのポジションを清算させたことが明らかにされています。これによりハイパーリキッドの清算システムがこの巨額ショートを引き受け、自動的に売却(ショート)ポジションを保有する形となります。
次にこのクジラは外部市場でJELLYトークンを大量購入し始め、価格を急騰させました。その結果、JELLY価格は短時間で約500%急騰し、時価総額は約1,000万ドルから4,300万ドル超へと跳ね上がりました。
ハイパーリキッドの流動性プロバイダ(HLP)ボールトは、先述のショートポジションにより1,200万ドル近い含み損を抱え、一時は取引所自体の財務に深刻な打撃を受ける恐れが生じていたことも報じられています。
さらに新規に作成された別のウォレット(先頭0x20e8)がハイパーリキッド上でJELLYのロングポジションを開設し、価格急騰に乗じて800万ドル超の利益を瞬時に得たことも確認されています。
バイナンス、OKXの参入で混乱加速
事態をさらに混乱させたのが、大手中央集権型取引所の動きです。
ハイパーリキッドがこのショートスクイーズ(売り方の踏み上げ)で苦境に陥っているとの情報が広まると、Binance(バイナンス)やOKXといった大手取引所に対し「JELLYの先物を上場させてハイパーリキッドに致命的な打撃を与えよう」と煽る声も一部ユーザーから上がりました。
ホー・イーさん(バイナンス共同創設者)
早くJELLYJELLYの現物を上場させてください!もしJELLYJELLYが上場すれば、ハイパーリキッドはおそらく終わりですね。
この一連の投稿にバイナンスの共同創業者ホー・イー氏は「検討する」と投稿し、その直後にバイナンスとOKXはJELLYのUSDT建て無期限先物契約の上場を発表します。この動きによってJELLYの強烈な買い圧力がさらに増幅し、ハイパーリキッドの含み損リスクは一層高まりました。
試算では、もしJELLYの時価総額が1.5億ドル(約225億円)規模に達した場合、ハイパーリキッドの清算用ボールトは全資金を失う可能性もあったとされています。
さらに攻撃に使われた資金の多くがバイナンスおよびOKXから引き出されたものであることも判明しており、こうした状況から「大手CEXが計画的にDeFiプラットフォームのハイパーリキッド潰しを図ったのではないか」との憶測も飛び交いました。
こうした一連の市場混乱を受け、ハイパーリキッドはJELLYの取引を一時停止した後、前述の通り緊急上場廃止という措置に踏み切りました。
賛否両論の声、問われるDEXの透明性
ハイパーリキッドはJELLYの上場廃止と同時に、健全なユーザー保護のための補填策を打ち出していますが、この前例のない強制清算と上場廃止措置に対して、仮想通貨コミュニティからは賛否両論の声が上がっています。
BitMEX創業者で著名トレーダーのアーサー・ヘイズ氏は、自身のXで「ハイパーリキッドの脆弱性と中央集権性」を次のように痛烈に批判しています。
$HYPE(ハイパーリキッドのネイティブトークン)は$JELLYに太刀打ちできなかった。
そもそも、Hyperliquidが分散型だなんて幻想はもうやめよう。
結局トレーダーはその取引所が中央集権か分散型かなど気にしない。
$HYPEトークンは近いうちに元の水準に戻ってしまうだろう。結局、Degen(ギャンブル好き)はDegenのままだから。
また、大手取引所BitgetのGracy Chen(グレイシー・チェン)氏も「ハイパーリキッドの今回の対応は未熟かつ非倫理的でプロフェッショナルさを欠いており、ユーザーに損失を負わせた。信頼性に重大な疑問を投げかけるもので、このままでは第二のFTXになりかねない」と厳しく非難しています。
Chen氏は特に「一度失われた信頼は回復不可能」であると強調し、ハイパーリキッドの仕組み上の欠陥を早急に是正しなければ、今回のJELLYの件のような危険な前例が今後も繰り返される恐れがあると警鐘を鳴らしました。
一方で、一部の支持者や市場参加者からは「ハイパーリキッドは迅速な対応でユーザー資産約2.4億ドルを守った」と評価する声や、中央集権・分散型を問わず取引所のリスク管理の難しさを指摘する見解も出ています。
ハイパーリキッド側は、今回の事態を受けて「今回の明白な悪意ある取引手法(エクスプロイト)への対処は、ネットワークをより強固にするための教訓となる」と述べており、今後はコードの改良やバリデーター運用の透明性向上など分散型取引所としての課題に取り組んでいくとみられます。
今回のJELLYJELLY上場廃止騒動は、新興DEXプラットフォームのリスク管理能力と中央集権性のバランスに関する議論を巻き起こしており、ハイパーリキッドが今後どのように信頼回復とシステム強化を図るかに業界の注目が集まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=150.22円)
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Source:Hyperliquid公式X
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:AIによる生成画像