PayPal、Coinbaseと提携拡大で「PYUSD手数料免除」ステーブルコインの普及を図る
PYUSDの利便性が大幅に向上
決済大手PayPal(ペイパル)は2025年4月24日に、同社が発行する米ドル連動型ステーブルコイン「PayPal USD(PYUSD)」の普及促進を目的に、米大手仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)との提携拡大を発表しました。
今回の提携拡大により、Coinbaseの個人および機関投資家ユーザーは、PYUSDの売買・送金時の取引手数料が免除され、PYUSDを米ドルと1対1で直接交換(償還)できるようになります。
また、PayPalの幅広い加盟店ネットワークとCoinbaseの仮想通貨(暗号資産)インフラを結びつけることで、PayPal加盟店は従来の銀行システムを通さずにPYUSDで直接決済できるようになり、日常的な商取引における利便性向上が期待されています。
両社は今後、手数料を抑えた速い決済の実現に向けて協力し、PYUSDを使った新しい決済方法や分散型金融(DeFi)サービスでの活用法の開発も計画しています。
独自ステーブルコイン「PYUSD」を発表
PayPal・Coinbase CEOが語る提携拡大の狙い
今回の提携拡大について、関係者も公式にコメントを発表しています。
PayPalの社長兼CEOであるアレックス・クリス氏は「Coinbaseや仮想通貨業界全体と協力して、PYUSDを中心とした新しい革新的な使い方を生み出していくことに期待している」と述べ、利用者がPYUSDをもっと簡単に使えるよう、サービス改善に取り組むとしています。
またCoinbaseの共同創業者兼CEOブライアン・アームストロング氏も「PayPalが持つ4億3,000万以上の利用者と加盟店は、ステーブルコインを世界中に広める絶好の機会となる」と強調し、今回の協力で市場が大きく広がることへの期待を示しています。
さらにPayPalのブロックチェーン・仮想通貨部門責任者ホセ・フェルナンデス・ダ・ポンテ氏は「PayPalとCoinbaseの大きな顧客基盤をつなげることで、とても強力な相乗効果が生まれます。これによってPYUSDを世界的な決済の未来へと進められるでしょう」とコメントし、両社の協力がこれからのデジタル決済の仕組みを大きく変える可能性を示しました。
SOLとLINKの売買・保有・送金が可能
PYUSD保有者に報酬を提供へ
PayPalは今回のCoinbaseとの提携拡大に加えて、自社ステーブルコイン戦略を強化する新施策も発表しています。
ブルームバーグの報道によると、PayPalはPYUSD保有者に対して残高に応じて年率3.7%の特典を提供する会員プログラムを2025年夏から開始する計画であることが明らかになりました。
対象は米国のPayPalと関連アプリVenmo(ヴェンモ)の利用者で、特典はPYUSDで受け取れます。特典は毎日計算され月ごとに支払われる仕組みで、PayPal担当者は「この取り組みはもっと多くの人に当社のステーブルコインを使ってもらうことが目的」と説明しています。
PYUSDの流通量は2024年夏に約10億ドル(約1,430億円)まで増えた後、いったん減少し、現在は約8億7,300万ドル(約1,250億円)になっています。PayPalは手数料を無料にしたり特典を付けたりする取り組みを通じて、PYUSDの利用を広げ、安定して成長させる方針です。
PayPalが仕掛けるステーブルコイン革命
またPayPalは最近、仮想通貨事業全般の拡大にも努めています。
2025年4月には米国の利用者向けにソラナ(SOL)とチェーンリンク(LINK)の取り扱いを始めたほか、これまで提供してきた仮想通貨の売買・保管サービスを企業向けにも広げ、さまざまな種類のブロックチェーンに対応したり、外部の電子財布との連携を強めたりする取り組みを進めてきました。
これらの取り組みは、従来の金融サービスに仮想通貨とブロックチェーン技術を組み込み、利用者に安全で便利なデジタルマネー環境を提供するというPayPalの長期的な戦略の一環です。
今回のCoinbaseとの提携強化とPYUSDインセンティブ制度の導入により、ステーブルコインが実社会の決済手段として普及する可能性に期待が高まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=143.52円)
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Source:PayPal公式発表
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:AIによる生成画像