ソラナ共同創設者、メタブロックチェーン構想を提案|複数チェーンでの取引データ確認を容易に

ソラナ共同創設者、メタブロックチェーン構想を提案|複数チェーンでの取引データ確認を容易に(Solana co-founder proposes meta-blockchain concept to simplify cross-chain transaction data verification)

この記事の要点

  • ソラナ共同創設者がメタブロックチェーン構想を提唱
  • 複数チェーン間のデータを統一、コスト削減を狙う
  • 中央集権型の取引管理に依存しない新たな技術
  • 実現性や運用の複雑さを巡り議論が活発化
目次

新たなソラナの技術構想「メタブロックチェーン」

ソラナ(SOL)共同創設者のアナトリー・ヤコヴェンコ氏は2025年5月12日、自身のX(旧Twitter)で、異なるブロックチェーン間のデータを統合する新技術「メタブロックチェーン」構想を提唱しました。

このメタブロックチェーンは、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、セレスティア(TIA)など複数の主要ブロックチェーンに分散して記録された取引データを、一つの統一された順序でまとめる新しい仕組みです。

ヤコヴェンコ氏は「このメタブロックチェーンによって、ユーザーはその時点で取引手数料や記録コストが最も安いブロックチェーンを自由に選択できるため、データ保存コストを大幅に削減できる」と述べています。

メタブロックチェーンのようなものが必要です。

データをイーサリアム、セレスティア、ソラナなど、どのチェーンにも投稿でき、特定のルールに従ってすべてのチェーンからデータを一つの順序に統合します。

こうすることで、メタブロックチェーンはその時点で最も安価なデータ可用性(DA)を選んで使えるようになります。

同氏がメタブロックチェーン構想を投稿後、この新技術は仮想通貨の技術者コミュニティで大きな注目を集め、実現可能性を巡る議論が活発化しています。

メタブロックチェーン構想の可能性と課題

高コストなクロスチェーン問題

ヤコヴェンコ氏が着目している課題は「ブロックチェーンのデータ保存コスト」と「異なるネットワーク間の連携が難しい」という点です。

現在の各L1ブロックチェーンは相互にデータ共有ができず孤立しており、異なるチェーン間(クロスチェーン)でのデータ保持には、高コストなオンチェーン記録か、取引順序を決める中央集権的なセクエンサー(順序決定者)に頼る必要があります。

こうした問題に対し、複数チェーンにまたがるDA(データ可用性)ソリューションの必要性が指摘されていました。

ヤコヴェンコ氏の提案するメタブロックチェーンは新たな独立チェーンを構築するものではなく、既存チェーンのデータを集約し、一つの時系列に並べ替える「データ集約層」として機能するのが特徴です。

メタブロックチェーンの構造とメリット

メタブロックチェーンの仕組みは、各ブロックチェーンの最新データの識別情報(ブロックヘッダー)をお互いに参照し、あらかじめ決められた共通ルールに従って取引の順序を決定します。

この手法により、ユーザーやアプリケーションは特定のブロックチェーンに縛られることなく、その時点で最も手数料の安いチェーンを自由に選べるようになります。

例えばソラナ上に記録されるメタトランザクション(メタTX)には、イーサリアムやセレスティアなど他のチェーンの最新状態を示す情報(ブロックヘッダー)が含まれます。

これにより、そのMetaTXはイーサリアム・セレスティア両チェーン上の取引より後に順序付けされることが保証され、結果として全チェーンで一貫した取引履歴が形成されます。

また、ヤコヴェンコ氏は「外部のセクエンサーに頼る方法もありますが、全チェーンのデータを直接参照するルールを導入すれば、ユーザーは自由に希望するチェーンに取引を送信できるようになる」と述べ、将来的には各ロールアップが用いる中央集権的セクエンサーを排除できる可能性にも言及しています。

複雑化する運用とメタブロックチェーン構想の課題

一方、このメタブロックチェーン構想には課題も指摘されています。

モジュラー型ブロックチェーン「セレスティア」の共同創設者でCOOのニック・ホワイト氏は、ヤコヴェンコ氏が提唱するような複数のチェーンをまたぐデータ統合手法(DA多重化)は「理論的には可能でも実際には運用が非常に複雑になる」と指摘しています。

特に、複数チェーン間でフォーク(データの分岐)が発生した時の選択ルール(フォークチョイス規則)を調整する技術的負荷が大きく、投入する労力の割に得られる効果は限定的だと指摘しています。

こうした懐疑的な見方もあるものの、ヤコヴェンコ氏は「データ可用性を安価にすれば、他のあらゆるコストも安くできる。結局ボトルネックとなるのは帯域幅だ」と強調しており、データ記録コスト削減こそが仮想通貨ブロックチェーンのスケーリング(拡張)の鍵との信念を示しています。

ソラナ仮想通貨DEX取引量が過去最高を記録

ミームコイン人気でオンチェーン活動が活発化

ヤコヴェンコ氏が提案した背景には、2025年前半におけるソラナエコシステムの急速な拡大があるものと見られています。特にミームコイン取引のブームがソラナ上で起こり、オンチェーン活動が活発化しました。

2025年1月には、ドナルド・トランプ米大統領夫妻がソラナ上でミームコインを発行したことも相まって、ソラナの分散型取引所(DEX)取引量は当月に主要12チェーン全体の約52%を占めるまでに急増しました。その後ブームが落ち着くと取引量も減少し、3月にはソラナのDEXシェアは約23%まで低下しています。

また2025年4月には、ソラナ上で120万種類以上もの新規トークン(SPLトークン)が発行され、その多くがミームコインだったことが報告されています。初心者でも簡単にトークンの発行・売買ができる「Pump.fun」などのプラットフォームが普及し、この動きを後押ししました。

ソラナ系DEX最大手のRaydiumは2025年4月16日、Pump.funに対抗する独自のミームコイン発行基盤「LaunchLab」を開始しており、ミームコイン需要を巡るエコシステム競争も進んでいます。

爆発的な取引量と手数料収入の増加

オンチェーン取引量の爆発的増加によって、ソラナネットワークは記録的な手数料収入を得ています。

Token Terminalのデータによると、2025年初から4月末までのソラナネットワークの累計手数料収入は約4億1,400万ドル(約609億円)に達し、そのうちミームコイン発行プラットフォーム「Pump.fun」だけでも約2億9,600万ドル(約435.6億円)の収入をもたらしています。

また、大手資産運用会社VanEck(ヴァンエック)は「ミームコイン人気による取引手数料がインフラコストを賄い、ソラナは大規模な分散型取引を処理し得る卓越した能力を実証した」と分析しており、ソラナが次世代の大規模オンチェーントレーディングアプリの有力な受け皿になる可能性を指摘しています。

2025年初の市場ラリーではソラナの取引量と収益が他チェーンを上回る伸びを見せ、イーサリアムの市場シェア低下と対照的な躍進を遂げました。こうした技術面・利用面での成功により、ソラナは再び主要アルトコインとして存在感を高めています。

ソラナの金融市場進出と先物取引の開始

さらに金融制度面でもソラナの地位向上が見られます。

米大手デリバティブ取引所CMEグループは、ソラナ先物を2025年3月17日にローンチしました。上場されたのは1契約あたり「500 SOL」と、個人投資家向けの小口版「25 SOL」の2種類で、規制当局の承認を前提に取引が開始されています。

CMEグループの仮想通貨担当責任者であるジョバンニ・ヴィチョーソ氏は「規制された仮想通貨商品への需要拡大に応えるものです」と述べています。この先物上場により、ソラナを対象としたETF(上場投資信託)の承認への道が開かれるとの期待も高まっています。

SEC(米国証券取引委員会)にはソラナに連動した現物ETFの申請が相次いでおり、2024年6月にはVanEckと21Shares、直近では2025年2月にフランクリン・テンプルトンが申請を行っています。

SECは新たな先物市場で数か月間の価格形成を確認した後、現物ETFを承認する方針と伝えられています。ソラナ先物の上場決定は、ソラナエコシステムの拡大に向けた重要なポイントとなるのかもしれません。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.13円)

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Source:アナトリー・ヤコヴェンコ氏X投稿
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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