UAE政府系ファンド、BTC ETF保有を6%拡大
アブダビの政府系ファンド「ムバダラ・インベストメント・カンパニー」が、ブラックロックのビットコインETF「IBIT(iShares Bitcoin Trust)」を8,726,972株(評価額:約4億850万ドル/約590億円相当)保有していることが明らかになりました。
SEC(米国証券取引委員会)に2025年5月15日付けで提出された四半期報告書(Form 13F)によると、この保有株数は2024年末時点の8,235,533株(約4億3,600万ドル相当)から6%増加しています。
アブダビ政府系ファンドの投資戦略
ムバダラはこれまで不動産など伝統的な資産を中心に投資を行っていましたが、近年では市場環境の変化を背景に、仮想通貨(暗号資産)分野への投資を積極的に進めています。
2021年には同社CEOのハルドゥーン・アル・ムバラク氏が「仮想通貨は現実の資産だ」と述べ、仮想通貨に対して前向きな姿勢を示しました。また、ブロックチェーン技術など仮想通貨エコシステム全体への投資にも積極的に取り組んでいることを明らかにしています。
こうした背景から、規制が明確に整備されている米国のETFを通じて仮想通貨へ間接的に投資するという戦略は、UAE(アラブ首長国連邦)の国家戦略である「ブロックチェーンハブ構想」に沿ったものと指摘しています。
アブダビ当局はすでに先進的な仮想通貨規制フレームワークを整備し、グローバル企業が進出しやすい投資環境を構築しています。
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政府系ファンド・機関投資家がBTC投資を加速
ムバダラの積極的な投資拡大は、世界中の政府系ファンドや大手機関投資家が仮想通貨ETFへの投資加速の流れを反映しています。
ゴールドマン・サックスなどウォール街の大手金融機関も仮想通貨ETFへの投資を積極的に拡大しており、2024年末時点でゴールドマン・サックスはIBITを約12億ドル(約1,740億円)相当を保有していたことが確認されています。
国や機関によって仮想通貨へのスタンスは様々ですが、仮想通貨ETFは世界的な機関投資マネーの重要な受け皿として急速に存在感を高めています。
ゴールドマンサックスもBTC_ETFを保有
政府系マネーがビットコイン市場を後押し
アブダビの巨大政府系ファンド「ムバダラ・インベストメント・カンパニー」によるブラックロックのビットコインETF(IBIT)への継続的な投資拡大は、世界の政府系機関投資家による仮想通貨市場への本格参入の流れを明確に示しています。
今後、各国の主要政府系ファンドや年金基金などの大手機関投資家が同様の投資行動を加速させれば、ビットコイン(BTC)をはじめとする主要仮想通貨市場の流動性や価格安定性の向上が期待されます。
一方で、各国の規制動向や急変する市場環境に対応した適切なリスク管理が不可欠であり、機関投資家による慎重かつ戦略的な資産配分が今後さらに重要になると見られています。
仮想通貨市場を取り巻く国際的な投資環境が急速に変化する中、ムバダラをはじめとする世界各国の政府系ファンドの投資戦略が今後どのように発展し、グローバル仮想通貨市場にどのような影響を与えていくのか、市場関係者の注目を集めています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=145.12円)
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Source:SEC提出書類
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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