ビットコインをカルダノDeFiで活用可能にする「Cardinal」登場|Ordinalにも対応

ビットコインをカルダノDeFiで活用可能にする「Cardinal」登場|Ordinalにも対応(New Protocol 'Cardinal' Brings Bitcoin to Cardano DeFi — with Ordinal NFT Support)
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ビットコインDeFiプロトコル「Cardinal」発表

カルダノ(Cardano/ADA)の創設者であるチャールズ・ホスキンソン氏は2025年6月10日に、ビットコインを分散型金融(DeFi)で安全かつ柔軟に活用できるようにするビットコインDeFiプロトコル「Cardinal(カーディナル)」を発表しました。

ビットコイン(BTC)は最も価値の高い暗号資産である一方で、その設計上、スマートコントラクト機能が限定的であるため、DeFi領域では積極的に活用されにくいという課題がありましたが、Cardinalはこの課題を解決する新たなアプローチとして登場し、特にカルダノを起点として、ビットコイン資産を安全かつ柔軟にDeFi運用できる道を切り拓こうとしています。

ホスキンソン氏は、カルダノ開発企業「Input Output」のCTOであるRomain Pellerin氏の投稿を引用する形で「Cardinal」を紹介しており、Romain Pellerin氏の投稿ではGitHubのリンクも含めて、Cardinalに関する詳しい説明がなされています。

カルダノ向けに開発された初のビットコインDeFiプロトコルへようこそ

Cardinal(カーディナル)とは?

Cardinal(カーディナル)は、ビットコインを分散型金融(DeFi)で安全かつ柔軟に活用するための新たなプロトコルであり、BTCのUTXO(未使用トランザクション出力)を他のブロックチェーン上にラップし、DeFi利回りの獲得やNFT(Ordinal)運用などを実現するものとなっています。

このプロトコルは「ビットコイン関連の暗号資産をカルダノ上のDeFiで活用できるようにするプロトコル」として注目を集めていますが、Romain Pellerin氏は「Cardinalは特定のチェーンに依存しないため、Ethereum、Solana、Avalancheなどへの拡張も可能」と説明しています。

従来のWrapped BTCは中央集権的な管理者や複数組織の共同管理に依存しなければならない点が大きな課題となっていましたが、Cardinalは「MuSig2」という次世代マルチシグ署名と「BitVMX」によるオフチェーン検証を活用し、1-of-nモデル(n人中1人が誠実であれば成立)という信頼最小化構造を実現しているため、特定の管理者を信用する必要がない、より分散化された形でのビットコインDeFi活用を可能にしています。

Cardinalの具体的な仕組み

  1. ビットコインのUTXOをロック
    MuSig2によってビットコインをマルチシグで安全にロック。
  2. カルダノ上でWrapped UTXOを発行
    このロックに対応するラップトークンをカルダノ上に生成。
  3. ラップトークンをDeFiで活用
    生成されたWrapped UTXO(NFTやトークン)は、カルダノ上のDeFiプロトコルでステーキング・レンディング・ファーミングなどに利用可能。
  4. ペグアウト(引き出し)も可能
    証明済みの処理(フラウドプルーフ)を通じて、いつでも元のBTCを引き出すことができる。

Ordinal(NFT)のDeFi活用も可能

注目すべきポイントは「CardinalはOrdinal(ビットコイン上のNFT)にも対応している」という点で、CardinalによってラップされたOrdinalは、以下のような用途で活用できるようになっています。

  • 複数チェーン間でのオークション取引
  • 出所を保持したままでの貸し出し
  • 担保としての利用
  • NFTマーケットでのトレード

これによって、Ordinal関連の暗号資産にも新たな活用機会が開かれるため、ビットコインとカルダノ両方のエコシステムが活性化・成長していく可能性があると期待されています。

Cardinalで可能になることの具体例

Cardinalを活用してビットコイン関連の暗号資産(トークンやNFT)をラップすれば、それらのラップトークンを他チェーン上のDeFiプロトコルで運用できるようになります(ステーキング・レンディング・ファーミングなど)。

Romain Pellerin氏の報告では、Cardinalで作成されたラップトークンの具体的な活用例として以下のようなものが挙げられています。

  • Indigo Protocol(ステーキング)
  • Liqwid Finance(レンディング)
  • Lenfi/FluidTokens(ローン)
  • Minswap/SundaeSwap(利回りファーミング)
  • JPG Store(OrdinalのNFTトレード)

また、先述したようにCardinalは“チェーン非依存(チェーンアグノスティック)”を掲げており、Ethereum、Solana、Avalancheなど他のL1ブロックチェーンにも拡張できることが報告されているため、他チェーンへの拡張が進めばビットコイン関連資産の活用機会がさらに広がると期待されます。

最初にカルダノが選ばれた理由

Cardinalの初期対応チェーンとしてカルダノ(Cardano/ADA)が選ばれた理由としては以下のようなものが挙げられています。

  • eUTXOモデル:ビットコインと同様のトランザクション構造で相性が良い
  • スマートコントラクトの強力な制御機能
  • 低コスト・高効率なDeFi環境
  • ネイティブNFT機能:ERC721のようなラッパーが不要

なお、Romain Pellerin氏の報告では、今後の展開として「ZK(ゼロ知識証明)ベースのバーンプルーフ自動生成、ライトクライアントの強化、ステート証明の再帰的処理、代替可能資産向けの流動性提供システム構築、Lace Walletとの統合によるシームレスなユーザー体験」なども挙げられています。

BTC資産のDeFi活用は長年の課題でしたが、Cardinalの登場によって「真に分散化されたBTCラップ」の時代が幕を開けようとしています。他チェーンへの展開やユーザビリティ改善がなされれば、DeFi市場全体の構造に大きな変化をもたらす可能性もあるため、今後も「Cardinal」の動向に注目です。

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source:Romain Pellerin氏の報告
サムネイル:Freepikのライセンス許諾により使用

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