FRBのドル供給がビットコインを押上げか
仮想通貨取引所BitMEX(ビットメックス)の創設者アーサー・ヘイズ氏が2025年6月23日、FRB(米連邦準備制度理事会)がドル発行に踏み切ることで、ビットコイン(BTC)価格が上昇する可能性があるとの見解を示しました。
ヘイズ氏は、FRBが近く大規模な流動性供給(ドルの発行)に踏み切ると予想し、それによって通貨価値の希薄化を警戒した投資家の資金がビットコインに流入すると分析しています。
ビットコイン価格は23日に一時98,000ドル(約1,430万円)台まで下落したものの、記事執筆時点では105,000ドル(約1,530万円)付近まで回復しました。
この動きについてヘイズ氏は、一時的な調整に過ぎないと捉え「今回の弱含みは過渡的なもので、今後ビットコインは安全資産としての地位を改めて示すだろう」との見方を示しています。
Do you hear that? … it’s the sound of the money printers revving up to do their patriotic duty. This weakness shall pass and $BTC will leave no doubt as to its safe haven status. pic.twitter.com/PTfZaAXFp7
— Arthur Hayes (@CryptoHayes) June 22, 2025
聞こえますか…?それは、お金の印刷機が愛国的な使命を果たすべく、動き出す音です。
この一時的な弱さもいずれ過ぎ去り、ビットコインが「安全な避難先」であることを誰の目にも明らかにするでしょう。
「ビットコインは唯一の救命ボート」
「相場は流動性で決まる」ヘイズ氏見解
ヘイズ氏は以前から市場の「流動性」に着目しており、ビットコイン相場のサイクルは一般的に信じられている4年周期ではなく、各国の金融政策によって左右されるとの考えを示しています。
直近のインタビューでも「今後の強気・弱気相場は主に市場の流動性次第で決まる」との見解を述べました。
同氏は「市場に供給される法定通貨の量、すなわち流動性の見通しこそがカギであり、ビットコインの次のサイクルも各国通貨の金融緩和予測にますます依存する」と指摘しています。
FRBの金融政策転換でBTC年末25万ドルの可能性
同氏は4月に公開した自身のブログ記事で「FRBが量的引き締め(QT)から量的緩和(QE)へと政策を転換すれば、ビットコイン価格は年末までに25万ドル(約3,640万円)に達する可能性がある」との大胆な予想も発表しました。
さらにヘイズ氏は「自身の分析どおりFRBが大型緩和に踏み切れば、3月に記録した76,500ドル(約1,110万円)が直近の底値となり、そこから年末にかけて25万ドルまで上昇するだろう」と予測しています。
FRB政策転換がビットコイン価格に影響か
また、FRBが事実上の「財務省QE(国債買い入れによる市場介入)」に踏み切った場合、ビットコイン価格は政策発表に反応して急騰するとの見解も示しました。
これらの発言からも、ヘイズ氏が各国中央銀行の金融緩和(マネープリンター(紙幣印刷機)の再稼働)こそがビットコイン価格の急騰を導く主な要因になると考えていることがうかがえます。
なお同氏は、2028年までにビットコイン価格が100万ドル(約1億4,500万円)に達するとする長期的な価格予測も示しており、ビットコインの将来性について極めて強気なスタンスを維持しています。
ビットコイン「次の波は東京から」
中東情勢の緊迫化とビットコイン相場の推移
2025年6月に入ってからは、中東情勢の緊迫化がビットコイン相場にも影響を及ぼしています。
イラン核施設攻撃とビットコインの急落
6月13日、イスラエル軍によるイラン核施設への大規模空爆が報じられると、ビットコイン価格は24時間高値の約108,500ドル(約1,560万円)から一時103,000ドル(約1,490万円)付近まで急落しました。
この軍事衝突により中東地域における地政学的リスクが急激に高まったことを受け、安全資産への資金シフトが加速しました。
こういった背景から原油価格は一時9%近く急騰し、国際金価格も1%超上昇しました。一方、米株式市場の主要指数は軒並み1%以上下落し、投資家のリスク回避姿勢が強まったことで、安全資産への資金移動が世界市場で加速する展開となっています。
地政学リスク下で再評価されたビットコイン
仮想通貨市場でも同様にリスク回避の売り圧力が強まり、ビットコインは一時的に約4%下落しました。
しかし、その後価格は急速に持ち直し、13日夜には105,000ドル(約1,520万円)近辺まで回復しました。これにより、ビットコインは紛争勃発前とほぼ同水準まで戻り、市場の底堅さを示す展開となっています。
このような回復の動きに対して、米大手メディアのブルームバーグは「ビットコインが約2%上昇しており、安全資産として再評価されつつある」と報じています。
“デジタルゴールド”とも呼ばれるビットコインについては、地政学的リスク下で見直される動きが広がっており、安全資産需要の高まりが価格を支える一因になったとみられています。
一時停戦がもたらす相場見通し
日本時間6月24日、米国の仲介によりイスラエルとイランの間で12時間の全面停戦が合意されると、原油価格は前日比で2%以上急落し、金相場も下落に転じるなど、市場のリスクオフ姿勢はやや後退しました。
市場関係者からは「中東の紛争がさらに拡大しない限り、ビットコインの下落影響も一時的なものにとどまる可能性がある」との見解が示されています。
一方で、紛争が長期化・拡大した場合、各国当局による追加の金融緩和策が必要になるとの指摘も出ています。
こうした対応が法定通貨の価値を押し下げることで、安全資産需要の一段の高まりにつながり、結果としてビットコインにとって追い風となる可能性があると分析されています。
中東情勢はビットコイン市場に大きな影響を与える地政学的リスクの一つであり、投資家はその動向と各国の金融政策の両面に注目しています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=145.51 円)
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Source:アーサー・ヘイズ氏X投稿
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用





























