この記事の要点
- ヘイズ氏、BTCが2028年に100万ドル達成と予測
- 米国債務悪化と資本流出がBTC価格上昇の要因に
- 米金融緩和再開でビットコイン需要急増を予想
- 2025年5月、BTC価格10万ドル突破で好調維持
ビットコイン100万ドル予測「米債務と資本回帰」
仮想通貨取引所BitMEX(ビットメックス)の創設者アーサー・ヘイズ氏が2025年5月15日、「ビットコイン(BTC)価格が2028年までに100万ドル(約1億4,500万円)に達する可能性がある」との見解を示しました。
ヘイズ氏は自身のブログで、ビットコインが今後数年間で100万ドルに到達する可能性がある2つの要因として「外国資本の本国回帰(海外投資マネーの米国からの流出)」と「米国債務の価値切り下げ(ドル価値の下落)」を挙げています。
同氏は、これらの要因が重なることで、今後数年間ビットコインには強力な追い風が生まれ、7桁(100万ドル)到達が十分可能だと説明しています。
ヘイズ氏が2028年という期限を設定した背景には「2028年の米国大統領選挙結果によって金融情勢が大きく変わる可能性がある」という見立てがあります。
仮に仮想通貨(暗号資産)に否定的な政権へ交代した場合、市場全体の規制が強まり、ビットコインの取引や保有環境が悪化する恐れがあります。そのため、逆説的に、それまでの数年間がビットコインにとって最大の価格上昇のチャンスになるとヘイズ氏は指摘しています。
「仮想通貨市場に急騰の兆し」
米経済危機で「BTCは唯一の避難先に」ヘイズ氏の見解
ヘイズ氏のブログ「Fatty Fatty Boom Boom」では、この「ビットコイン100万ドル予測」を支えるマクロ経済的な根拠が詳細に語られています。
米国財政悪化がビットコイン需要促進
米財政赤字とドル崩壊の懸念
米国では財政赤字が拡大の一途を辿っており、その累積債務の膨張がドルと米国債の価値下落につながるとしています。
2024年度の米国財政赤字は約1兆8,330億ドル(約266兆円)と過去最大級に達し、連邦債務の利払い費も初めて1兆ドル(約145兆円)を超えました。
巨額の国債を抱える米国から海外投資家が資金を引き上げれば(外国資本の本国回帰)、米国債の需要が低下して金利が上昇し、財政の持続可能性が危うくなります。
ドル増刷がBTC需要を加速する可能性
その結果、FRB(連邦準備制度理事会)は資本流出で生じる穴埋めのために紙幣を増刷するほかなくなるとヘイズ氏は指摘しています。
「海外からドルが供給されなくなれば、政府は紙幣印刷に頼るしかない」という同氏の表現通り、事実上の財政ファイナンス(国債の貨幣化)が行われると、発行上限が決まっている希少なビットコインの価値が大幅に上昇するという論理です。
さらにヘイズ氏は、西側諸国が自国からの資本流出を防ぐため資本規制に踏み切る可能性にも言及しています。
資本規制によって海外への資産移動が制限される状況では、インターネット環境さえあれば法定通貨をビットコインに交換できるため、ビットコインが資産を守るための「唯一の救命ボート」になると述べています。
「金とビットコインが新たな準備資産に」
米金融緩和政策がもたらすBTC価格上昇効果
高金利政策の限界と金融緩和への転換
ヘイズ氏はまた、現在はインフレ抑制のため高水準にある政策金利も「長期的には低下に向かう」と予想しています。
膨張した債務に対し高金利を維持することは困難であり、景気後退局面などではFRBは再び金融緩和(利下げと資金供給)に転じざるを得ないという見立てです。
実際、2020~2022年にかけてFRBが約4兆ドル(約580兆円)もの資金供給策(いわゆる量的緩和)を実施した際、ビットコイン価格はコロナ禍の最安値から2021年の最高値までおよそ24倍に急騰しました。
金融緩和がもたらすビットコイン急騰シナリオ
ヘイズ氏は、ビットコインの時価総額が当時より大きく膨らんだ現在でも「新たに3.24兆ドル(約470兆円)の資金供給があれば10倍の価格上昇が期待できる」と試算しています。
この計算に基づけば、次の米政権下でビットコインが現在の10倍となる100万ドルに達するシナリオは十分に現実的だと述べています。
同氏は、将来の金融緩和政策によって引き起こされるドル安と市場への資金供給が、ビットコイン価格を大幅に上昇させるきっかけになると説明しています。
100万ドル到達は可能?
ドル弱体化によるビットコインの安全資産化
こうしたヘイズ氏の強気予測は、最近の金融政策動向にも裏付けられています。
米国では膨らんだ財政赤字に市場が敏感に反応しており、小幅な政策金利の引き上げでも政府の利払い負担が急激に増加する状況になっています。
一部の市場関係者からは「米国が新興国のように振る舞い始めた」との指摘も出ており、利上げ局面の限界が意識されています。
ヘイズ氏は「外国人投資家の米国離れとドル資産への信頼低下が進むことで、発行上限が2,100万枚と決まっているビットコインが、世界の投資家にとって新たな安全資産(セーフヘイブン)として定着する」と強調しました。
「アジア富裕層の米ドル離れ」
ビットコイン市場「10万ドル台復帰で好調維持」
10万ドル台復帰で勢いを増す相場
ビットコイン市場は、ヘイズ氏の予測通り価格が急伸するなど好調で、強気予測の実現性を裏付けています。
5月16日時点では約104,000ドル(約1,495万円)に達し、時価総額は約2.04兆ドル(約296兆円)に拡大しています。米大手企業Amazonを抜いて世界第5位の資産規模に躍進したことも明らかになっています。
これはビットコインがリスク資産から「デジタルゴールド」としての性質を強め、世界の投資資金の避難先として認知されている証拠とも言えます。
著名投資家マイク・ノボグラッツ氏は「ビットコインや金は、金融政策や経済運営に対する投資家の信頼度を測るバロメーターのようなものだ」と述べています。
機関投資家マネー流入とマクロ経済指標の影響
現在、ビットコインへの機関投資家マネー流入も顕著となっています。米国で相次いで承認されたビットコイン現物ETF(上場投資信託)には、4月下旬だけで約45億ドル(約6,530億円)の資金が純流入しています。
ビットコイン先物の建玉(オープンポジション)も増加傾向にあり、レバレッジの有無を問わず機関投資家の参入が続いていることを示しています。
一方で米国のマクロ経済指標を見ると、インフレ率はピーク時より低下したものの依然としてFRBの目標を上回っており、政策金利は高水準に維持されています。
しかし、巨額債務下での高金利維持には限界があるため、市場では2025年後半にもFRBが利下げに転じる可能性が取り沙汰されています。
2025年2月には米アトランタ連銀のボスティック総裁が「インフレ鎮静化次第では利下げも視野に入る」と発言し、これを受けてビットコイン価格が一時的に上昇する場面もありました。
このように米金融政策の一挙手一投足がビットコイン相場に影響を与える構図が続いており、投資家も雇用統計やインフレ率などの経済指標を注視しています。
「仮想通貨市場は信じられないほど割安」
キヨサキ氏ら著名投資家の長期ビットコイン価格予測
ヘイズ氏の超強気予測に対し、他の著名投資家や識者からも長期的な強気見通しが相次いでいます。
『金持ち父さん貧乏父さん』の著者ロバート・キヨサキ氏は2025年4月、自身のX(旧Twitter)の投稿で「2035年までにビットコイン価格は1BTC=100万ドルを超える」との予測を示しました。
キヨサキ氏は「2025年時点でクレジットカード負債は1.3兆ドルを超え、米国債務も35兆ドルと過去最大に膨れ上がっており、このままでは米国は『かつてない大恐慌』に向かう可能性が高い」と警告しています。
またTwitter共同創設者ジャック・ドーシー氏も2024年に「2030年までにビットコインが100万ドルに達する」と予測し、当時大きな話題となりました。
これらの予測に共通するのは「米ドル基軸の現行金融システムへの不信感」と「代替資産としてのビットコインの希少性や安全性への強い信頼」です。
ただし、ビットコインが100万ドル(7桁)の水準に達するためには、ハイパーインフレや金融危機などの極端な状況が必要との指摘もあり、専門家の意見は分かれています。
投資家にとって重要なのは、ビットコインが短期的には価格変動を繰り返しながらも、長期的なマクロ経済の潮流の中で着実に存在感を高めている点です。2028年に100万ドル到達となるのか、ヘイズ氏の予測に注目が集まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=145.12円)
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Source:アーサー・ヘイズ氏ブログ
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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