仮想通貨投資商品への資金流入が過去最高水準、イーサリアムに注目集まる|CoinSharesレポート

仮想通貨投資商品の資金流入が過去最高水準、イーサリアムに注目集まる|CoinSharesレポート(Record-high inflows into crypto investment products, Ethereum in the spotlight – CoinShares report)
目次

イーサリアム主導で19億ドルの資金流入

デジタル資産運用会社CoinShares(コインシェアーズ)は2025年7月28日、最新の週次レポートを公開し、21日から27日にかけて仮想通貨投資商品への資金流入が合計19億ドル(約2,800億円)に達したとことを明らかにしました。

今回の資金流入は、15週連続で増加傾向が続く中で過去最高水準を記録しました。7月の月間流入額は累計112億ドル(約1.7兆円)に達し、2024年12月の米大統領選後に記録した月間最高額76億ドル(約1.1兆円)を大幅に上回っています。

同レポートによると、特にイーサリアム(ETH)関連商品の資金流入が顕著で、先週だけで15億9,000万ドル(約2,360億円)が流入しました。

これはイーサリアムにとって過去2番目に大きい週間流入額であり、2025年の年初来累計流入額は77億9,000万ドル(約1.1兆円)に達し、すでに前年1年間の合計を上回っています。

一方、ビットコイン(BTC)投資商品からは先週1億7,500万ドル(約260億円)の資金が流出しました。この対照的な動きは、ビットコインからアルトコインへの資金シフトを示唆するものであり、CoinSharesはアルトコインシーズン到来の可能性について市場で議論が高まっていると分析しています。

ただし、同社は今回のアルトコインへの資金流入について、市場全体の強気相場ではなく、米国での仮想通貨ETF、特にイーサリアムETFの承認期待が背景にあるとの見解を示しています。また、資金は一部の主要アルトコインに集中している状況であることも強調しました。

15週連続で資金流入、仮想通貨市場の関心再燃

世界的な投資需要が仮想通貨市場を後押し

今回の資金流入は、デジタル資産投資商品の15週連続の流入記録の一環であり、月間ベースでは、7月の月初から先週までの累計流入額が112億ドル(約1.7兆円)に達しています。

年初来の総流入額は270億ドル(約4.1兆円)を超えており、仮想通貨市場への投資関心が再燃しています。地域別では、米国からの流入が約20億ドルと最も多く、世界的な動向を主導しています。

一方で、ドイツからは約7,000万ドル(約104億円)の資金が流入しましたが、ブラジル、カナダ、香港からは資金が流出しました。

イーサリアムに機関資金が殺到

先週のイーサリアム関連商品の資金流入額は15.9億ドル(約2,360億円)に達し、これは直前週の21.2億ドルに次ぐ過去2番目の規模となりました。

この結果、2025年のイーサリアム関連商品の累計流入額は77.9億ドル(約1兆1,570億円)に達し、前年通年の合計である約62億ドルをすでに上回っています。

CoinSharesは、こうした資金流入の動きについて、機関投資家を中心にイーサリアムへの関心が急速に高まっていると分析しています。背景には、ETF承認への期待があると指摘しています。

ビットコインからアルトへの資金シフト

対照的に、ビットコイン投資商品では先週1.75億ドルの資金が流出しました。前週まで流入が続いていたことから、CoinSharesはこの変化を資金配分の転換点と分析しています。

CoinSharesのリサーチ責任者ジェームズ・バターフィル氏は、今回の変化がアルトコインシーズン到来の兆候といえるかについては明言を避けつつも、市場構造の変化として注視すべき動向であるとの認識を示しました。

ソラナ(SOL)には約3億ドル(約446億円)、エックスアールピー(XRP)には約2億ドル(約297億円)の資金が流入しており、新興銘柄であるスイ(SUI)にも800万ドル(約12億円)が流入しています。

一方で、ライトコイン(LTC)からは120万ドル(約18億円)、ビットコインキャッシュ(BCH)からは66万ドル(約10億円)の資金が流出しており、すべてのアルトコインが資金流入の恩恵を受けているわけではないことが示されています。

アルトコイン流入はETF承認への期待が要因か

CoinSharesは、今回のアルトコインへの資金流入を広範な強気相場への転換ではなく、特定のETF承認への期待、特にイーサリアムETFに関連した一時的な資金集中との見解を示しました。

現時点で全面的なアルトコインブームに突入したとは断定されていませんが、投資家が規制環境の変化を見越してポートフォリオを再構築する動きが見られています。

アルトコインシーズン指数にも注目が集まる

市場指標として注目されている「アルトコインシーズン指数(ASI)」は、7月に一時「51」を記録し、中立ラインである「50」を超えました

一般的にASIが「75」を超えると本格的なアルトコインシーズンと定義されており、今回の50超えは複数のアルトコインがビットコインを上回る上昇率を示した結果とされています。

現時点では臨界水準には達していないものの、アルトコイン市場の勢いが徐々に強まりつつあり、投資家の関心を集める要因となっています。

イーサリアムの投資需要と価格動向

ブラックロックのETHAが100億ドル突破

世界最大の資産運用会社ブラックロックが運用するイーサリアム現物ETF「iShares Ethereum Trust(ETHA)」の運用資産残高が7月24日、100億ドル(約1兆4,700億円)を突破したことが明らかになりました。

ETHAは2024年の設定からわずか251日で100億ドルに達しており、この達成スピードはETF業界32年の歴史で3番目の速さとされています。最速記録はブラックロックのビットコインETFの34日間です。

米ブルームバーグのETFアナリストであるエリック・バルチュナス氏は、ETHAが直近10日間で50億ドルから100億ドルに倍増した点について「ETF資産の世界におけるゴッドキャンドル」と表現し、異例の急成長であるとコメントしています。

この急増は、イーサリアム投資商品に対する機関投資家の需要が急拡大していることを示しており、ETF市場における存在感を急速に高めています。

トム・リー氏「イーサリアムは年内15,000ドルに」

米調査会社Fundstratの共同創業者トム・リー氏は、7月20日のインタビューで「イーサリアム価格は年末までに15,000ドル(約220万円)に達する可能性がある」との見解を示しました。

リー氏はその根拠として、法定通貨に連動するステーブルコイン市場の成長がイーサリアムのネットワーク需要を押し上げていることを挙げています。

現在発行されている全ステーブルコインのうち、約50%(約1,225億ドル相当)がイーサリアム上で運用されており、この状況がイーサリアムのネットワーク価値を裏付ける要因とされています。

こうした状況から、リー氏はウォール街を含む伝統的金融機関からの本格的な資金流入が今後さらに強まるとの強気な見方を示しました。

ピーター・ティール氏、ETH関連企業に大型出資

PayPal(ペイパル)創業者として知られる米著名投資家ピーター・ティール氏も、イーサリアム関連企業に対して大型の出資を行ったことが明らかになりました。

SECへの提出資料によると、ティール氏はイーサリアムを財務戦略の中核に据える企業「BitMine Immersion Technologies」の株式約9.1%(約509万4,000株)を取得しました。

この出資により、ティール氏は同社の筆頭株主となりました。出資発表後にはBitMine社の株価が一時15%以上急騰し、市場への影響の大きさが示されました。

イーサリアム市場全体でも、こうした機関投資家の参入が相次ぐ中でETH価格の上昇基調が続いており、過去3ヶ月で価格が約2倍となるなど成長トレンドが鮮明になっています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=148.62 円)

>>最新の仮想通貨ニュースはこちら

Source:CoinShares週次レポート
サムネイル:AIによる生成画像

  • URLをコピーしました!

Written by

BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

仮想通貨ニュース|新着

仮想通貨入門 - 基礎知識

市場分析・価格予想

目次