グレースケール「BTC下落は想定内の調整」
米資産運用大手Grayscale Investments(グレースケール)は最新レポートで、ビットコイン(BTC)の最近の約30%の価格急落は「典型的な調整」にすぎず、長期的な低迷局面入りを示唆するものではないとの見解を示しました。
同社は、今回の下落を現在の強気相場における9回目の大幅調整と位置付け、「過去と同様に一時的な調整に留まる可能性が高い」と分析しています。
また、根強い「4年周期」仮説についても否定し、グレースケールは2026年にビットコインが再び史上最高値を更新すると予測しています。
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グレースケールが示すBTC調整相場と2026年の展望
ビットコイン急落は強気相場中の自然な動き
ビットコイン価格は10月上旬に過去最高値となる約12万5,000ドル(約1,950万円)に達した後、11月末までに約8万4,000ドル(約1,300万円)まで急落しました。
グレースケールは、この下落幅(約32%)が歴史的平均の約30%とほぼ一致すると指摘しています。
ビットコインは2010年以降に10%超の急落を約50回経験しており、同社は「強気相場の途上でも数ヶ月おきに20〜30%規模の調整が発生することは珍しくない」といいます。
4年周期神話の否定と新たな相場観
グレースケールによれば、ビットコインの大幅下落には性質の異なる2種類のパターンが存在します。
一つは約4年ごとに訪れる2〜3年規模の「サイクル的な下落(弱気相場)」で、もう一つは強気相場の最中に年に複数回生じる2〜3ヶ月程度の急落(強気相場中の調整)です。
後者の調整では下落率は平均25%前後に留まり、今回の急落もこのパターンに該当するとみられます。
また「3年上昇すれば次は1年下降する」という4年周期説も存在し、2026年に弱気相場へ移行するのではないかという懸念がありました。
しかしグレースケールは今回のレポートでこのシナリオを退け、「2026年に弱気相場は訪れない」との強気な見解を示しています。
同社は現在のサイクルが過去と異なる理由として以下の3点を挙げています。
- 過去の強気相場終盤に見られた投機的なパラボリック急騰が起きておらず価格過熱が抑制されている
- 資金流入が個人ではなくビットコインETFや企業の仮想通貨トレジャリーなど機関投資家経由になっている
- マクロ経済環境が仮想通貨市場に追い風となっている
市場構造の変化が示す強気サイクルの持続
具体的な好材料として、FRB(米連邦準備制度理事会)の追加利下げ観測や仮想通貨市場の法整備に向けた動きが挙げられています。
2025年は規制の明確化により機関投資家の参入が進む一方、市場の主要指数は年初来で約8%下落しており、基礎的条件と価格には乖離が生じているとグレースケールは指摘しました。
中長期的にはこの乖離も解消され、強化された基礎的条件が価格に反映されるとの楽観的な見通しを示しています。
「恐怖の時こそ真の富が生まれる」
相場回復と政策期待が交錯するビットコイン市場
FOMC控えたビットコイン相場の回復基調
11月中旬にビットコインは一時8万3,000ドル(約1,260万円)を下回りましたが、続く12月第1週には9万2,000ドル(約1,440万円)台まで回復しました。
現在は米追加利下げ観測が強まっており、12月10日のFOMC(米連邦公開市場委員会)を前に投資家心理は改善基調にあります。
米金利の低下はドル安を通じてビットコインや金など代替資産への追い風となるため、金融緩和への期待感が相場を支える展開となっています。
強気予測と懐疑的見方が混在する市場の声
市場関係者の間でも意見は分かれており、強気予測と慎重な見方が混在しています。
米投資会社パトリアーク・オーガニゼーションCEOのエリック・シファー氏は「すべて短期的な動きに過ぎない」と述べ、2026年にはFRBの金融緩和を追い風にビットコインが反発すると予想しています。
一方で慎重な見方も根強く、”ビッグショート”で知られる著名投資家マイケル・バリー氏は、ビットコインが10万ドルに達した現象を「17世紀のチューリップバブルの再来」と酷評し、価値はないとも述べています。
ビットコインの将来に対する見解は分かれていますが、グレースケールの分析や市場の回復基調が示すように、ビットコイン市場は構造的な強さを維持しており、2026年の新たな高値更新に向けて機関投資家や政策動向も引き続き注目されます。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.67 円)
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Source:Grayscaleレポート
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