この記事の要点
- 米Crypto In Americaが2026年4月20日に報道
- CLARITY法案の審議が5月以降に延期の可能性
- 銀行ロビー強化で法案調整が最終段階で停滞
- 規制整備の遅れで仮想通貨市場の不透明感拡大
仮想通貨規制法案、5月持ち越し観測浮上
2026年4月20日、米国の仮想通貨市場構造法案「CLARITY(クラリティ)法案」のマークアップ(修正審議)日程が、銀行業界からの圧力により5月にずれ込む可能性が出てきたことが明らかになりました。
銀行業界は最終局面でロビー活動を強めており、先月下旬にまとまった妥協案にも揺らぎが生じ始めています。
上院銀行委員会が4月27日の週にマークアップを実施するには、24日(金)までに委員会への正式通知が必要であり、間に合わなければ、審議は上院休会明けとなる5月第2週以降へと持ち越される見通しです。
争点はステーブルコインへの利回り付与制限の範囲で、共和党のトム・ティリス上院議員の事務所には銀行業界からの電話攻勢が連日続いていると報じられています。
同議員は2カ月半以上にわたり両業界の交渉を仲介してきた調整役であり、その中心人物へ銀行側が最終盤で揺さぶりをかけているといいます。
「CLARITY協議から退け」異例の要求
「強欲か無知」ウィット氏、銀行ロビーに異例批判
電話ロビー、ノースカロライナ銀行協会が主導
Crypto In Americaの報道によると、ティリス議員事務所への圧力キャンペーンを主導しているのはノースカロライナ銀行協会(North Carolina Bankers Association)だといいます。
同協会は加盟銀行に対して議員事務所への電話を呼びかけ、ステーブルコイン利回り制限の範囲への不満を直接伝えるよう要請しているといいます。
銀行側の圧力は、両業界が2カ月半以上の交渉を経て先月下旬にようやく妥協案に漕ぎ着けた直後に始まりました。
妥協案は公開されず、業界代表者の一部にのみ共有された段階にとどまっています。仮想通貨業界側が公然と反対する姿勢を控える一方、銀行側は土俵際で異議を強めています。
委員会全体に銀行ロビー拡大、根底に主張の溝
こうした動きは一地方の業界団体だけにとどまりません。Punchbowl Newsによれば、業界団体はティリス議員とアルソブルックス議員(民主・メリーランド州)以外の銀行委員会メンバーにも働きかけを行っているとされ、銀行ロビーの射程は委員会全体へ及び始めています。
根底にあるのは、利回り付与を広く禁じたい銀行側と、アクティビティ連動型の報酬プログラムを事業の柱に据えてきたコインベースなど仮想通貨側との主張の溝です。表向きまとまった合意の裏で、両者の温度差が最後の詰めで再び顔をのぞかせています。
CEA試算「融資影響0.02%」、銀行主張を覆す
こうした銀行側の動きに対し、ホワイトハウス経済諮問委員会(CEA)は4月8日、銀行融資への影響を検証したレポートを公表しています。CEAはステーブルコインへの利回り付与禁止が銀行融資に与える影響をモデル化しました。
同レポートでは、ベースライン試算で銀行融資の増加額は21億ドル(約3,150億円)、融資全体のわずか0.02%にとどまると算定されています。
コミュニティバンクの追加融資額も5億ドル(約750億円)、既存融資額の0.026%にすぎないとの結果で、銀行業界がかねて強調してきた「大規模な預金流出」論は公式試算で事実上覆されました。
このレポートを後ろ盾に、ホワイトハウス仮想通貨評議会のパトリック・ウィット事務局長はX(Twitter)上で、ティリス議員とアルソブルックス議員がまとめた妥協案はすでに預金流出への懸念に正面から対応していると指摘しています。
そのうえで銀行による追加ロビー活動について「強欲または無知以外の動機では説明が難しい」との見解を示しています。
政権の仮想通貨政策トップがここまで直截に銀行ロビーを批判するのは極めて異例であり、ホワイトハウスが法案成立を最終盤でどれだけ急いでいるかを物語る発言として業界関係者の間でも重く受け止められました。
「数週でマークアップ組める」ティリス議員は楽観
交渉の停滞が続くなか、議員レベルでも打開に向けた動きが出ています。交渉の中心にいるティリス議員は先週、銀行・仮想通貨双方の専門家と上院議員がスタッフを介さずに直接協議する会合「クリプト・パルーザ」の開催を提案したと報じられています。
事務方同士の調整が何週間も続いたことへの不満を、議員レベルのテーブルへ引き上げて打開する狙いとみられています。
ティリス議員本人は「いくつか未解決の論点があり、さらに交渉が必要かもしれないが、今後数週間でマークアップを日程に組み込めると楽観している」と述べ、慎重ながらも前進に手応えをのぞかせました。
こうした発言の裏には、この数週間で決着しなければ法案が年内成立から外れかねないという危機感が漂っています。採決前の調整対象には利回り規定だけではなく、倫理規定やDeFi(分散型金融)関連条項も残されています。
銀行業界が妥協案を受け入れるか、追加のロビーで立法プロセスをさらに引き延ばすかで、米国の仮想通貨規制の枠組みが固まる時期は数週間から数カ月単位で動く情勢です。
CLARITY「5月末」がデッドライン
「5月本会議採決視野」、業界トップが直訴
銀行ロビーの反攻が強まるなか、仮想通貨業界も表舞台で立法化への訴えを強めています。
4月15日、Ripple(リップル)のブラッド・ガーリングハウスCEOはワシントンD.C.入りし、上院銀行委員会の主要議員5人とウィット氏と直接面会してCLARITY法成立への行動を呼びかけました。
翌4月16日には、米国最大級の仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)でCPOを務めるファリアル・シルザド氏が米FOXビジネスに出演し、5月中の上院本会議採決が視野に入るとの見方を示しました。
業界首脳が相次いで楽観的なシグナルを発する背景には、今のタイミングを逃せば2026年中の法案成立が難しくなるとの共通認識があるとみられます。
ただし、マークアップ日程の再延期観測も浮上しており、4月24日の通知期限に向け、ホワイトハウス、銀行業界、仮想通貨業界の駆け引きは大詰めを迎えています。
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Source:Crypto In America報道
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