この記事の要点
- 米SECのアトキンズ委員長が2026年4月20日にACT戦略を表明
- 前体制下の「執行による規制」から脱却する大転換
- 仮想通貨企業の米国回帰とIPO活性化への影響
アトキンズ氏「ACT戦略」始動、訴訟戦略から大転換
米SEC(証券取引委員会)のポール・アトキンズ委員長は2026年4月20日、米CNBCの番組に出演し、ゲンスラー前体制下の「執行による規制」から脱却し、新たな「ACT戦略」への転換を進めていると明らかにしました。
ACT戦略は、Advance(前進)・Clarify(明確化)・Transform(変革)の3本柱で構成されています。市場の実態に合わせた規則の近代化、SECとCFTC(米商品先物取引委員会)の管轄整理、IPO市場活性化に向けた制度改革を政策の柱に据えるとしています。
同氏は就任から約1年の取り組みを振り返り、前体制からの転換について「仮想通貨に関する取り組みが最優先課題だった」と述べ、海外へ拠点を移していた仮想通貨事業者の米国回帰を促す方針を強調しました。
具体的な成果として、アトキンズ委員長はSECとCFTCが3月17日に発出した共同解釈リリースを挙げました。同リリースでは仮想通貨を5分類する初の統一基準として、デジタルコモディティ・デジタルコレクティブル・デジタルツール・ステーブルコイン・デジタルセキュリティが整理されています。
法的グレーゾーンに初の統一基準
ACT戦略「Advance・Clarify・Transform」の柱
Advance|海外流出組の米国回帰を後押し
ACT戦略の第1の柱「Advance(前進)」は、SECのアプローチを近代化する方針を示しています。アトキンズ委員長は「新しい革新的なテクノロジーを排除するのではなく受け入れ、海外に逃げた人々が米国に戻って製品開発を行えるようにする」と述べました。
米国の規制不透明性を理由に、シンガポール・スイス・UAEなどへ拠点を移してきた仮想通貨関連企業にとっては、米国での事業展開を再び現実的な選択肢として検討する局面に入りました。
SECは大手仮想通貨取引所・トークン発行体・ステーブルコイン発行体が米国で法的登録を行い、事業運営を再開できる環境整備を進める方針を強調しています。
Clarify|証券か商品か、共同解釈で初の線引き
第2の柱「Clarify」の中核は、SECとCFTCの共同解釈リリースにあります。トークン化された証券とデジタル資産商品を区分する基準が示され、開発者・発行体が事業設計の段階で参照できる枠組みが整備されました。
アトキンズ委員長は番組内で、従来のSECが「事前に明確な基準を示さず、個別案件ごとに判断する」曖昧な姿勢をとってきたと指摘し、今回の区分明確化はその反省に基づくものだと説明しています。
共同解釈の発表により、米国の発行体・取引所は、自社のトークンが証券か商品かを設計段階で判断できるようになっています。
Transform|公開企業半減、SECがIPO制度刷新
第3の柱「Transform」は、SECのルール体系を実態に即した形へ再構築し、IPO市場の再活性化を狙うものです。アトキンズ委員長は、過去30年で米国の公開企業数が半減した点を問題として指摘しました。
公開企業の減少要因として、開示制度の複雑さや訴訟リスク、株主アクティビズムによる経営介入の3点を挙げ、これらの障壁を取り除くことで企業の上場意欲を取り戻す方針を強調しています。
SpaceXやOpenAIなどの大型テック企業のIPO観測も浮上しており、2026年は大型IPOが集中する年になるとの見方を示しました。
大統領SNS連動の不審取引、SECが調査開始
ACT戦略の説明に続き、番組では市場の公正性に関する論点も取り上げられました。
大統領のSNS投稿前後で市場が大きく変動する事例について問われると、アトキンズ委員長は個別案件への言及は避けつつ「投資家保護と市場操作の阻止はSECのDNAだ」と述べています。
また予測市場については、SECの管轄はバイナリーオプションに類する契約(企業の四半期決算など)に限定されるとの認識を示し、スポーツベッティングの可否についてはCFTCおよび司法判断に委ねる立場を示しました。
DEX運営に「登録免除」の道
EU・香港が規制先行、米国もACTとCLARITYで追走
世界の規制動向を見ると、EUでは2024年12月にステーブルコインを含む包括規制「MiCA」が全面施行され、香港はVASPライセンス制度、ブラジルは中央銀行主導の枠組み、UAEはVARAによる認可制度など、主要地域で制度整備が先行してきました。
こうした各国の動きと比べ、米国は規制整備で後追いする立場でしたが、今回のSECによるACT戦略への転換と、SEC・CFTC共同解釈リリースの発出により、行政レベルでの明確化が進み始めています。
立法面でも米上院では仮想通貨市場構造法案「CLARITY法案」の審議が進んでおり、SECとCFTCの管轄を法的に整理する動きが並行しています。
行政(ACT戦略)と立法(CLARITY法案)が同時に動き出した米国が、仮想通貨・デジタル資産の主要拠点として存在感を取り戻せるか、今後の規則化プロセスに関心が集まっています。
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Source:CNBC番組
サムネイル:AIによる生成画像




























