この記事の要点
- 豪高裁、仮想通貨利回り商品を7対0の全員一致で違法認定
- 利回り型の仮想通貨商品、金融サービスライセンスの取得対象に
豪高裁が全員一致で利回り商品を違法判断
オーストラリアの高等裁判所は2026年6月17日、フィンテック企業Block Earner(ブロック・アーナー)が金融サービスライセンスなしに提供した仮想通貨の利回り商品「Earner」を違法とする判決を下しました。
高裁はEarnerを金融サービスライセンスの対象となる金融商品と認定し、7対0の全員一致で2025年に連邦裁判所全法廷が示した判決を覆しています。
今回の判断により、豪州で利回りを提供する仮想通貨関連商品は金融サービスライセンスの取得対象となることが改めて示され、同様の商品を扱う事業者に対する金融規制の適用範囲が明確になりました。
一方で今回の判決は制裁金の支払い義務そのものまでは対象としておらず、Block Earnerへのペナルティを巡る審理は連邦裁判所全法廷へ持ち越されます。
ステーブルコイン実用化が加速
二転三転のBlock Earner訴訟が最終局面
連邦裁から高裁へ、訴訟の全経過
ASIC(オーストラリア証券投資委員会)は2022年11月23日、Block Earnerが無許可の金融サービスを提供し、無登録の管理投資スキームを運営したと主張して、連邦裁判所に民事制裁金の手続きを申し立てました。
連邦裁判所は2024年2月9日、2022年3月から11月にかけてのEarner提供について、Block Earnerが無許可の金融サービス行為に従事したと認定しており、その後の2024年6月4日にはEarner提供に関する制裁金の支払いがいったん免除されたため、ASICはこの判断を不服として連邦裁判所全法廷へ上訴しました。
これを受けて連邦裁判所全法廷は2025年4月22日、Block Earnerの反訴を認め、ASICの上訴を退けるとともに費用負担も命じる判断を示しました。
その後ASICは2025年5月21日に高等裁判所への特別上訴を申請し、高裁は同年9月4日にこれを正式に許可しています。
「外形でなく実質」高裁の判断根拠
高裁はEarnerを金融商品と判断した根拠として、投資家の資金が投資家と発行体の双方の利益のために利用されていた点を挙げ、外形上の販売方法ではなく契約の実質を重視しました。
あわせて高裁は、投資家への返還額がデジタル資産の価格や為替レートの変動に連動していた点を踏まえ、Earnerがデリバティブ(派生商品)にも当たるとのASICの主張を認めています。
ASIC、ライセンス取得の重要性を強調
今回の判断を受けて、ASIC議長のサラ・コート氏は判決を歓迎し「リターンを提供する商品がいつ既存の金融サービス規制の対象となるかが明確になった」と述べました。
そのうえでコート氏は、消費者にリターンを提供する商品や資産の転換を伴う商品を扱う企業に対し、その商品が金融商品に当たるかを慎重に検討、そして販売前にライセンスを取得するよう求めています。
ただし今回の判決は制裁金の免除そのものを覆しておらず、Block Earnerへのペナルティをめぐる手続きは連邦裁判所全法廷で改めて審理される見通しです。
豪初のビットコイン担保住宅ローン
豪州、既存法と新法の両輪で仮想通貨規制強化
豪州では2026年4月1日に「デジタル資産フレームワーク法」が可決され、仮想通貨分野を対象とした法制度の整備が段階的に進められています。
ただし今回の判決は、新たな立法を待たずとも現行の会社法が既存のデジタル資産商品を広くカバーできることを示しており、ライセンス取得の要否について既存法でも判断できるとの司法解釈が示されました。
ASICは2026年4月に法改正の実装ロードマップを公表しており、2027年4月の制度施行に向けて基準やライセンス要件の整備を進めています。
こうしたなか、当のBlock Earnerは2025年の連邦裁判所判決で勝訴したのち、ビットコイン(BTC)を担保とする同国初の住宅ローンを開始しました。
今回の高裁判決を受け、Block Earnerへの制裁金をめぐる連邦裁判所全法廷での手続きと、2027年4月に予定されるデジタル資産フレームワーク法の施行に向けた準備が並行して進められています。
関連の注目記事はこちら
Source:ASIC発表
サムネイル:AIによる生成画像


























