休眠ビットコインは誰のものか「380万枚の放棄訴訟」にBPIが参戦

休眠ビットコインは誰のものか「380万枚の放棄訴訟」にBPIが参戦

この記事の要点

  • BPIが休眠BTC約380万枚の所有権訴訟に被告参加を申し立て
  • 争点は休眠だけで「放棄」とみなせるか、自己管理の長期保有者全体に影響も
目次

休眠BTC「放棄」訴訟、BPIが被告参加を申請

米シンクタンク「ビットコイン政策研究所(BPI)」は2026年7月10日、ニューヨーク州最高裁で審理中の休眠ビットコイン(BTC)アドレスの所有権を巡る訴訟について、被告として参加するよう申し立てました。

訴えは匿名の原告「Noah Doe(ノア・ドウ)」とワイオミング州の2法人が起こしたもので、5年以上移動のない39,069件のアドレス(約380万BTC)について、州の遺失物法(動産法第7-B条)に基づく所有権の確認を求めています。

BPIは2026年第2四半期(Q2)報告書で、自社保有分を含む長期保有者全体の財産権を守るために介入したと説明しています。

裁判では、長期間移動がないという理由だけでビットコインを「放棄された財産」とみなせるかが最大の争点となっており、原告側の主張とBPIの反論が正面から対立しています。

5年休眠は放棄か、原告主張とBPI15抗弁の対立

原告主張「休眠ウォレットは放棄された財産」

訴状によると、匿名の原告「Noah Doe(ノア・ドウ)」とワイオミング州の2法人は、独自のアルゴリズムを使って5年以上動きのないウォレットを抽出しています。

2024年12月から2025年4月にかけてアドレス一覧を記録したUSBドライブをニューヨーク市警(NYPD)の第17分署へ届け出るなど、所有権の確認を求める手続きを進めたとしています。

その後、2025年6月末から7月にかけては、ブロックチェーン上のOP_RETURN機能(取引に短いメッセージを記録できる仕組み)を使って各アドレスへ通知を送りましたが、90日以内に応答がなかったウォレットを「放棄された財産」とみなし、州の遺失物法に基づく所有権の確認を求めています。

Galaxy Digital(ギャラクシー・デジタル)は5月、訴訟の対象となったアドレスに含まれるビットコインの価値を約2,930億ドル(約47.5兆円)と試算しており、集計にはサトシ・ナカモト氏の初期採掘関連とされる21,923件や、Mt.Gox(マウントゴックス)ハッキング関連のアドレスも含まれています。

「匿名保有者に管轄権なし」BPI反論

これに対しBPIは、介入申立てとあわせて訴状の主要な主張を否認する答弁書案を提出し、15項目にわたる抗弁を示すとともに、正式な答弁に先立つ棄却申立ての許可も裁判所に求めています。

答弁書案では、ビットコインアドレスはニューヨーク州の動産法上の「財産」に当たらず、匿名で世界中に分散する保有者へ裁判所の管轄権は及ばないと主張しています。

また、公開アドレスの一覧を警察へ提出しただけでは法的な「発見者」の要件も満たさないとして、原告側の請求に反論しました。

「ダミー取引」強制の恐れ、BPIが警鐘

BPIのマネージング・ディレクターであるコナー・ブラウン氏は宣誓供述書で、同団体がセルフカストディ(自己管理)する長期保有分のビットコインも、訴状が示す「放棄されたウォレット」と同じ条件に当てはまると説明しています。

そのうえで、原告側の主張が認められれば、自団体だけでなくセルフカストディを選択する長期保有者全体へ影響が及ぶとの見方を示しました。

原告側の理論が認められれば、長期保有者はセルフカストディを維持するために定期的な「ダミー取引」を行うか、第三者のカストディサービスへ資産を移さざるを得なくなる可能性があるとして、BPIは休眠状態だけで放棄と判断する考え方に反対しています。

52アドレスから4,020億円相当が移動

一方、原告側が「放棄された財産」と位置付けたアドレスの一部では提訴後も資金移動が確認されており、休眠状態だけで放棄と判断する考え方に疑問を投げかける結果となっています。

Galaxy Digitalのリサーチ責任者アレックス・ソーン氏は、提訴後に52件のアドレスから34,335BTC(22億ドル/3,570億円相当)が移動したと報告しており、このうち29件では通知を受けたあとにも12,302BTCが移動したとしています。

業界団体や保有者も異議、口頭弁論で審理へ

この訴訟にはBPI以外からも異議が相次いでおり、業界団体のDigital Chamber(デジタルチェンバー)は7月9日に出廷届を提出したほか、弁護士イアン・コーエン氏もアミカス・キュリエ(法廷助言者)としての参加を申請し、X(旧Twitter)上でも原告側と争う姿勢を示しています。

対象アドレスの保有者を名乗る「ジョン・ドウ33」も棄却申立てを提出しており、訴訟そのものの棄却を求める初めての当事者側の反論として伝えられました。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=162.10 円)

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Source:BPI Q2 2026四半期報告書 / NY州最高裁記録
サムネイル:AIによる生成画像

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BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

仮想通貨ニュースメディア「BITTIMES(ビットタイムズ)」編集長。2016年にBITTIMESを創業し、暗号資産・ブロックチェーン・Web3領域の取材・執筆を10年近く継続。ビットコイン・イーサリアムをはじめとする主要銘柄の動向から、国内外の規制・税制・DeFi・NFTまで幅広くカバー。

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