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仮想通貨取引を「監視可能」に|南アフリカ中央銀行が規制提案


南アフリカ準備銀行(SARB)は2019年1月16日、仮想通貨関連の問題や懸念に対処し、投資家を保護するために『早急に明確な規制を定める必要がある』との見解を示す文章を公開しました。これにより同国では暗号資産に関わる全ての取引を監視できるようにするための対策などが年内にも取られる可能性があると伝えられています。

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暗号資産に関する政策提案

南アフリカの中央銀行である南アフリカ準備銀行(SARB)は、2019年1月16日に「Consultation paper on policy proposals for crypto assets(暗号資産に関する政策提案の相談用紙)」を公開しました。

この提案用紙は、SARBや財務省の職員で構成された仮想通貨規制の考案団体である「Crypto Assets Regulatory Working Group(暗号資産規制ワーキンググループ)」によって作成されており、仮想通貨の需要が高まる一方で犯罪行為などの問題が起きている現状を踏まえた上で、それらの問題点や懸念点などに対処するための政策をとるべきであるとの見解が記されています。

提案の中では、仮想通貨は新しいサービスやビジネスモデルを創出し、金融業界に大きな影響を与えるものではあるものの、現在の規制枠組みでは仮想通貨に関連する様々な問題に対処できないと指摘されており、明確な仮想通貨規制を早急に定める必要があるといった内容が記されています。

明確な「仮想通貨規制」の必要性

仮想通貨の利点としては「仮想通貨の購入者は特定の国のリスクとは無関係な投資ポートフォリオを作成できる」といった点が挙げられており、実際に金融機関や個人の仮想通貨に対する関心が高まっていることも語られていますが、適切な規制環境が構築されていなければ仮想通貨が犯罪の温床になる危険性があると懸念されています。

また一般的に仮想通貨の利点として挙げられる「取引の速度」や「手数料の安さ」などに関しては『実際のユースケースでは実証されていない』と書かれており、詐欺ハッキングの被害が増加していることやビットコイン(BTC)のような仮想通貨がマネーロンダリング(資金洗浄)などの不正行為の手助けとなる可能性があることなどが問題点として強調されています。

「暗号資産規制ワーキンググループ」は、このような複数の懸念があることから、これ以上仮想通貨規制を遅らせるべきではなく、明確な規制が必要だと説明しています。

仮想通貨取引の「監視体制」を強化

南アフリカの規制当局は、2019年の第1四半期までにガイダンスノートやポジションペーパーなどを作成し、今後の政策を明確化する方針だと伝えられています。

対策としては、仮想通貨取引の監視などが提案されており、本人確認(KYC)やアンチマネーロンダリング(AML)などに重点を置き、仮想通貨取引所やウォレットなどの保管サービス、仮想通貨ATMなどを扱う事業者を南アフリカの金融証券法に準拠させることなどが挙げられています。

仮想通貨関連のサービスを扱う企業は、事業者として登録を終えた上で各種規制に基づいた運営を行う必要があります。またテロ資金供与などに関連する疑いのある多額の送金などに関しては特に監視を強化することが必要とされており、これらの監視を怠った場合には制裁を受ける可能性もあるとされています。

南アフリカは仮想通貨が特に広く普及していることでも知られているものの、それに伴い犯罪行為が増加していることも報告されています。昨年報告された「仮想通貨投資詐欺」の事件では28,000人以上に総額約88億円以上もの損失がもたらされたと伝えられており、この他にも複数の誘拐事件で身代金として数百万円相当の仮想通貨を支払ったというケースも報告されています。

このようなことを踏まえると仮想通貨に対する規制や政策が重要であると考えられますが、一部では厳しすぎる規制を懸念する意見も見られています。