中国重慶市にある渝中区食品薬品監督管理局は、食品や医薬品の品質管理を強化するためにブロックチェーン技術を活用することを予定していると伝えられています。同国の政府は仮想通貨に対する厳格な姿勢を維持しているものの、Blockchain技術に関する取り組みは現在も積極的に行われています。
こちらから読む:食品・医薬品の品質管理に役立つ「ブロックチェーン技術」とは?
中国国家食品薬品監督管理局とは
中国国家食品薬品監督管理局(China Food and Drug Administration/CFDA)とは、
・健康食品・食品添加物などの食品
・漢方薬・民族医薬品などの薬品
・医療機器
・化粧品
などといった様々な商品の安全性や品質を保つための「管理・監督業務」や、それに関する法律や規制の「計画・作成」などといった幅広い分野にまたがる業務を行なっている機関です。
様々な種類の食品や医薬品の安全管理を担っている「食品薬品監督管理局」は、対象商品のリスクを軽減するためのモニタリングや、不良品の回収・処分なども行なっており、中国大陸における各地域でこれらの商品の管理監督業務を統括しています。
食品・医薬品の「監督能力」を強化
中国重慶市にある渝中区食品薬品監督管理局は、製品のトレーサビリティと偽造防止対策をとり、食品や医薬品の品質保証や監督を強化するために政府機関主導のもとでブロックチェーン技術を適用することを予定しています。
適用されるブロックチェーン技術を開発した「PrimeNumber Chain Technology Chengdu Co.Ltd」のCEOであるDeng Ke氏は『このシステムは政府の規制措置を改善するのに役立つだけでなく、監督する際の効率を高めることもできるだろう』と語っています。
このシステムを用いることによって、企業はトレーサビリティ情報の一元管理を行うことができるようになり、一般の人々にそれらの情報を公開したり、それらの製品に関する情報の詳細を確認することができると伝えられています。また、一般の人々も製品に関する詳しいデータを確認できるようになるため、食品や医薬品の安全性を確認することができます。
ブロックチェーン「規制強化」の動きも
中国ではブロックチェーン関連のプロジェクトや規制強化のための取り組みが続けられており、最近では中国のサイバースペース管理局(CAC)が国内で事業を展開しているブロックチェーン企業に対して「匿名性を排除するための新しい規制」を導入したことを発表しています。
また今月初めには、同国の自主規制銀行組織である「中国銀行規制委員会」が部門全体の効率を向上させるためのブロックチェーン・プラットフォームを立ち上げたことが報告されています。「中国貿易金融銀行間取引ブロックチェーンプラットフォーム」と呼ばれるこのプラットフォームは、貿易金融、取引、その他の金融サービスの効率化を目的としています。
中国政府は仮想通貨に対して厳しい取り締まりを続けているものの、一部の専門家からは「最近のブロックチェーン関連の取り組みは結果的に仮想通貨の普及を促すことになる可能性がある」といった意見も出ています。
アルコールなどの規制に関する歴史の中でも、極端に禁止する法律を定めたことによって「逆に商品の需要が高まってしまった」という事例は報告されているため、仮想通貨に関してもこのような現象が起こる可能性があるとも考えられます。
実際に中国では依然として「仮想通貨投資に関心を抱いている人の数が多い」ということも報告されており、仮想通貨決済に対応したホテルがオープンしていることなども報告されています。