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匿名ブラウザ「Tor」仮想通貨9銘柄による寄付を受入れ|多くのユーザーが要望


匿名ブラウザ「Tor(トーア)」を開発していることで知られる非営利団体「Tor Project」は、仮想通貨による寄付を直接受け入れるようになりました。支援者の人々から寄せられた多くの要望に答える形で今回の決定を下した同プロジェクトは、主流な仮想通貨を含めた合計9種類の暗号資産を受け入れています。

こちらから読む:仮想通貨の利点を活かした活用方法「寄付」関連ニュース

Tor Project(トーア・プロジェクト)とは?

Tor Project(トーア・プロジェクト)とは、匿名性を重視したブラウザ「Tor(トーア)」を開発していることで知られる非営利団体です。「Tor」には、1995年に米海軍研究試験所(NRL)が諜報活動や機密性の高い情報をネットワーク上でやりとりするために開発した「Onion Routing(オニオン・ルーティング)」と呼ばれる技術が採用されています。

この技術はインターネット上でWebサイトにアクセスする際に、世界各国に点在する複数のパソコンを経由してアクセスすることによって「元のユーザーが誰であるのか?」をわかりづらくすることができるようになっているため、「Tor」のブラウザを使用したユーザーの情報は特定することが困難です。

このような特性を備えている「Tor」は、仮想通貨業界でも広く知られるようになった「ダークウェブ(闇サイト)」にアクセスするためのブラウザとしても広く利用されているため、仮想通貨との関わりが深い存在でもあります。

独自のサイバー空間がネットワーク上に構築されている「Tor」は、サイバー攻撃や薬物の売買などにも利用されているため、批判する意見も多く見られていますが、仮想通貨業界との関わりが深いブラウザでもあるため、海外を中心とした仮想通貨業界では今回の決定に注目が集まっています。

仮想通貨による「直接的な寄付」が可能に

Torの資金調達責任者であるSarah Stevenson(サラ・スティーブンソン)氏は、仮想通貨メディア「Coindesk」に対して、同社が何年もの間に渡ってビットコイン(BTC)による寄付をBitPay(ビットペイ)のサービスを通じて受け入れていたと語っています。

しかし現在は「仮想通貨を直接Torに送って寄付を行うことができる」と説明されており、Torはそれらの仮想通貨を仮想通貨取引所Kraken(クラーケン)を通じて換金すると報じられています。

スティーブンソン氏は「寄付者から直接送金できるウォレットアドレスを求める声があったこと」や「より多くの仮想通貨を受け入れて欲しいとの要望があったこと」が今回の決定の主な理由であると語っています。

私たちは寄付を行って下さる多くの方々からの要望に答えてこれらの仮想通貨を受け入れることにしました。

「Tor Project」と「仮想通貨コミュニティ」はどちらもプライバシーを重視しているため、これは理にかなっています。

BTC・ETHなどを含む「9銘柄」に対応

「Tor Project」の寄付ページでは、
ビットコイン(Bitcoin/BTC)
イーサリアム(Ethereum/ETH)
ライトコイン(Litecoin/LTC)
ダッシュ(Dash/DASH)
モネロ(Monero/XMR)
ステラ(Stellar/XLM)
ジーキャッシュ(Zcash/ZEC)
オーガー(Augur/REP)
ビットコインキャッシュ(BitcoinCash/BCH)
という合計9種類の仮想通貨が受け入れられており、寄付を行う人は送った資金の100%を「Tor」に寄付するか、感謝の印としての金額に応じたギフトを受け取ることができるようになっています。ギフトの種類としては「Torのステッカー」や「限定版のTorTシャツ」「Torのトレーナー・ジップパーカー」などが用意されています。

報道によると、「Tor Project」は米国政府の資金提供機関、NGO(非政府組織)、民間財団、研究機関、民間企業、そして2万人以上の個人からの寄付によって支えられているとされています。

仮想通貨を利用すれば、世界中から気軽に寄付を受け入れることができるため、現在は様々な団体が「寄付」や「慈善活動」で仮想通貨を役立てています。仮想通貨の利点を特に活かすことができるこのような活用方法は今後も様々な機関で積極的に採用されて行くことになるでしょう。