中国の中央銀行である「中国人民銀行」が同国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)にあたる「デジタル人民元」のテストを2020年5月から開始することが地元メディア「科創板日報」の報道で明らかになりました。
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政府職員の交通費を「デジタル人民元」で配布
中国人民銀行が発行する「デジタル人民元」は、中国のCBDCプロジェクトで重要実験都市として指定されている”蘇州市”の地方政府職員の給与の一部として配布される予定となっており、交通費の50%がデジタル人民元で支払われると伝えられています。
デジタル人民元は交通費として支払われるため、今回のテストは”交通機関での利用”に限定したものになると予想されています。
「科創板日報」の報道によると、今月中には政府機関などから”デジタル通貨配布”に関する契約の署名を得た上で全ての職員にデジタルウォレットを配布し、5月には実際に交通費の50%をデジタル通貨で配布し始める予定だとされています。
デジタル人民元のテストには「中国銀行・中国建設銀行・中国工商銀行・中国農業銀行」という同国の4大銀行が協力しているため、これらの銀行が職員の口座宛てにデジタル通貨を送金するとのことです。
「一般的なキャッシュレスアプリ」でも利用可能に?
今回の報道ではデジタル人民元のプロジェクトに中国の大手決済アプリ「Alipay(アリペイ)」が関わっていることも報告されており、アリペイが2月に出願した特許の中に『中央銀行デジタル通貨の二次発行に参加する可能性が高い』と書かれていたことなどから、将来的には既に普及しているキャッシュレスアプリでもデジタル人民元が利用される可能性があるとも考えられています。
デジタル人民元に関する情報はここ最近で増えてきており、先日15日には中国農業銀行がデジタル人民元に対応したアプリのテスト版をリリースしたことも報告されています。
中央銀行デジタル通貨は、現在世界中で特に注目されている話題の一つであるため、デジタル人民元のテストからどのような結果が報告されるかには注目が集まります。