ロシア連邦中央銀行(ロシア銀行)の総裁であるElvira Nabiullina(エリヴィラ・ナビウリナ)氏が先日開かれた記者会見の中で「中央銀行デジタル通貨(CBDC)デジタルルーブルは経済に有望である」との考えを語り、『2021年末までにはテストを実施することが可能である』と語ったことが地元メディア「TASS」の報道で明らかになりました。
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デジタルルーブル「2021年末までにはテスト可能」
ロシアの中央銀行である「ロシア連邦中央銀行(ロシア銀行)」のElvira Nabiullina(エリヴィラ・ナビウリナ)総裁は、先日開かれた記者会見の中で『デジタルルーブルの公開はどれくらい現実的か?』という質問を受けた際に『非常に現実的だ』と回答し、2021年末までにはテストを実施できると考えていることを明かしたと報告されています。
調査報告書についての話し合いを行った後に、年末までにフィードバックを収集して処理します。デジタルルーブル公開が実現可能だと決定が下された場合には本格的なコンセプトを準備します。私たちの見解では、限られた数のパイロットフェーズ(テスト段階)があるはずです。ユーザーが全て問題なくCBDCを利用できるようにするために、それがどのように機能するかを理解します。そのようなパイロットプロジェクトは2021年末までのどこかのタイミングで可能になると考えています。
ロシア銀行は先日公開した「デジタルルーブルの協議書」の中で『デジタルルーブルは現金に置き換わるものではなく、現金などの支払い手段に”追加”される1つのものである』ということを強調していましたが、ナビウリナ総裁も今回の記者会見の中で『デジタルルーブルは紙幣を追い出すものではない』ということを強調しており、現金・非現金に加えた”第3形態のお金”になると説明しています。
匿名性ではなく「プライバシー」を重要視
デジタルルーブルには紙幣と同じような固有のデジタルコードが付与されるため、取引の透明性が高まり中央銀行は取引データを追跡が可能になるものの、ナビウリナ総裁はデジタルルーブルを導入するための重要な条件の1つは「プライバシー」であると述べており、『匿名性とプライバシーを混同してはならない』と語っています。
ナビウリナ総裁は『デジタルルーブルで現金と同じような匿名性を付与することはできないものの、プライバシー保護の機能は強化される見込み』だと説明しています。ただし「記録されたデジタルルーブルの取引記録をどのような機関が閲覧できるか」に関しては、デジタルルーブルのシステムが正式に承認されるまではわからないとされています。
「どのようなプライバシーが保護されるか」に関する詳細は現時点では不明となっているものの、ナビウリナ総裁は『デジタルルーブルは最大限の信頼のもとで提供されるべきであるため、最大限の機密性(プライバシー)を実現することがデジタルルーブル導入時の主要な任務である』と強調しています。
またナビウリナ総裁は『デジタル・ルーブルの普及はスムーズに進み、国民や企業は目を離せないほどになるだろう』とも語っており、中央銀行デジタル通貨の発行に向けて本格的に取り組んでいく姿勢を示しています。