
仮想通貨のトラベルルールとは?送金時に必要な情報やよくある質問まとめ
仮想通貨のトラベルルールは、暗号資産取引所間での送金時に、利用者の情報を共有することを義務付ける国際的な規制です。この規制により、日本国内の暗号資産取引所では、外部への仮想通貨送金の際に、受取人の詳細情報の提出が求められています。
トラベルルールの主な目的は、マネーロンダリングやテロ資金供与などの不正利用を防止し、仮想通貨取引の追跡を可能にすることです。金融庁の要請に基づき、多くの国内取引所が2022年3月末頃からこのルールに対応しています。
送金時に必要となる情報には、受取人の氏名、フリガナ、住所、郵便番号、法人名、国や地域、送金者との関係性、送金目的などが含まれます。これらの情報は、暗号資産の移転元と移転先の取引所間で共有されます。
トラベルルールの導入により、仮想通貨の匿名性が一部制限されることになりますが、これは資金洗浄やその他の違法行為を防ぐための必要な措置とされています。ただし、自己管理型ウォレットへの送金は依然として可能であり、ユーザーは必要な情報を提供すれば、MetaMaskやハードウォレットなどにも暗号資産を送ることができます。
海外の暗号資産取引所への送金に関しては、現時点では多くの取引所で可能ですが、今後の法改正によっては制限される可能性もあります。そのような場合、ユーザーは国内取引所からウォレットを経由して海外取引所に送金する方法を取ることになるでしょう。
トラベルルールは仮想通貨業界全体のコンプライアンス向上と、暗号資産の健全な発展を目指す重要な施策です。ユーザーは、この規制に関する最新の情報を常に把握し、適切に対応することが求められます。
この記事では、トラベルルールの概要や目的を説明すると共に、仮想通貨送金時に必要になる情報やよくある質問についてわかりやすくまとめています。
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トラベルルールとは?
トラベルルールとは、仮想通貨の送金時に送金者と受取人の情報を共有することを義務付ける国際的な規制です。この規則は、マネーロンダリングやテロ資金供与などの不正利用を防ぐことを目的としています。
具体的には、暗号資産交換業者が利用者の依頼を受けて仮想通貨の出金を行う際、出金依頼人と受取人に関する一定の情報を、出金先の暗号資産交換業者に通知することが求められます。これにより、仮想通貨取引の追跡可能性が向上し、不正利用のリスクを軽減することができます。
トラベルルールは、資金洗浄対策における国際協調を推進するために設立された政府間機関「マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)」が策定した規制です。仮想通貨の匿名性を悪用した違法取引や資金洗浄を防止し、問題が発生した場合に送金者を特定できるようにすることが主な目的です。
日本では、金融庁が2021年3月に「暗号資産の移転に際しての移転元・移転先情報の通知等(トラベルルール)について」を要請しました。これを受けて、多くの国内暗号資産取引所が2022年3月末頃からトラベルルールへの対応を開始しました。現在、日本の仮想通貨取引所では、仮想通貨送金時に受取人情報などの提出が必要となっています。
トラベルルールの導入により、仮想通貨の送金時には従来よりも多くの情報が必要となりましたが、これは仮想通貨の健全な発展と安全な利用環境の整備につながる重要な取り組みと言えます。暗号資産ユーザーは、この新しい規制に対応しつつ、適切に仮想通貨を利用することが求められています。
金融庁がトラベルルール導入要請
仮想通貨送金時に必要になる情報
仮想通貨のトラベルルール関連の規制では、以下のような情報の収集が求められています。日本国内の暗号資産取引所から外部に仮想通貨を送金したいユーザーは、送金時にこれらの情報を取引所側に提出しなければならない仕組みとなっています。
- 受取人の氏名とフリガナ/法人名
- 受取人のアルファベット氏名/法人名
- 送付先名(取引所の名称等)
- 送付先の国地域(取引所の名称等)
- 送付先の郵便番号
- 受取人との関係性
- 送付目的
暗号資産取引所に提出しなければならない情報は「受取人が誰であるか」や「受取先は取引所かウォレットか」などによって変わる仕組みです。受取人が自分自身の場合は「送付先の取引所名や国地域」などの指定が必要となり、受取人が本人以外の場合は「受取人の氏名や関係性」なども指定する必要があります。
日本国内の暗号資産取引所では「事前に送金先のウォレットアドレスを登録しておいて、送金時にそのウォレットを選ぶ」という方法が一般的となっています。これにより、受取人の情報などはアドレス登録時に入力するだけで済む形となっています。
仮想通貨の送金時に必要な情報は、マネーロンダリングやテロ資金供与などの不正利用を防ぐために重要です。FATF(金融活動作業部会)の指針に基づき、各国の規制当局が仮想通貨取引の透明性を高めるために導入した措置です。
仮想通貨の匿名性を完全に排除することはできませんが、トラベルルールによって仮想通貨取引の追跡可能性が向上し、不正利用のリスクを軽減することができます。同時に、正当な仮想通貨ユーザーにとっては、送金時に追加の手続きが必要となるため、利便性の面では一定の影響があることも事実です。
暗号資産業界では、トラベルルールへの対応を進めながら、ユーザーのプライバシー保護と規制遵守のバランスを取ることが求められています。今後、ブロックチェーン技術の進化に伴い、より効率的で安全な情報共有の仕組みが開発される可能性もあります。
国内取引所間で送金できないケースも
トラベルルールに関するよくある質問
仮想通貨のトラベルルールに関しては、多くの利用者から様々な疑問が寄せられています。ここでは、トラベルルールに関する代表的な質問とその回答をまとめて解説します。
トラベルルールの導入により、仮想通貨の送金時には従来よりも多くの情報提供が求められるようになりました。これは、マネーロンダリングやテロ資金供与などの不正利用を防ぐための重要な措置です。しかし、この新しい規制に戸惑う利用者も少なくありません。
例えば「自己管理型ウォレットへの送金は可能か」「海外の暗号資産取引所への送金は可能か」といった質問が多く寄せられています。また、「受取人の住所には何を入力すればよいのか」「対象となる仮想通貨は何か」といった具体的な疑問も多いようです。
さらに、プライバシーを重視する利用者からは「情報収集を回避する方法はあるか」という質問も出ています。これらの疑問に対する回答は、仮想通貨の利用者が適切に取引を行う上で重要な情報となります。
トラベルルールへの対応は、暗号資産取引所によって若干の違いがある場合があります。そのため、利用している取引所の具体的な手続きや必要情報については、各取引所の公式情報を確認することをおすすめします。
なお、トラベルルールは今後も変更や追加が行われる可能性があります。仮想通貨の利用者は、最新の規制動向に注意を払い、適切に対応することが求められます。
自己管理型ウォレットへの送金は可能?
仮想通貨のトラベルルールへの対応により、現在は暗号資産取引所から仮想通貨を送金する際に「受取先の各種情報入力」が必要となっています。しかし、受取先がMetaMask(メタマスク)やハードウォレットなどの自己管理型ウォレットであっても、仮想通貨を送金することは可能です。
暗号資産取引所で送金先ウォレットアドレスを登録する際には、通常「取引所のウォレットか」「プライベートウォレットか」などの選択が求められます。この時に「プライベートウォレット」を選択し、受取人の情報などを入力すれば、自己管理型ウォレットにも仮想通貨を送金できます。
トラベルルールの導入により、仮想通貨の送金手続きは以前よりも複雑になりましたが、自己管理型ウォレットへの送金自体は引き続き可能です。ただし、送金の際には受取人の情報や送金目的などの詳細な情報を提供する必要があります。
仮想通貨取引において、自己管理型ウォレットは重要な役割を果たしています。これらのウォレットを使用することで、ユーザーは自身の仮想通貨を完全に管理し、セキュリティを強化できます。トラベルルールの導入後も、暗号資産取引所から自己管理型ウォレットへの送金は可能であり、ユーザーは引き続きこの選択肢を活用できます。
ただし、自己管理型ウォレットを使用する際は、セキュリティに十分注意を払う必要があります。秘密鍵の管理や、フィッシング詐欺などのセキュリティリスクに注意を払うことが重要です。また、仮想通貨の保管や移動に関しては、常に最新の規制や法律を確認し、コンプライアンスを遵守することが求められます。
トラベルルールの導入は、仮想通貨取引の透明性を高め、マネーロンダリングやテロ資金供与のリスクを軽減することを目的としています。自己管理型ウォレットへの送金も、この枠組みの中で適切に管理されることで、仮想通貨エコシステム全体の健全性と信頼性の向上に寄与することが期待されています。
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海外の暗号資産取引所への送金は可能?
トラベルルールに関しては「海外の暗号資産取引所には送金できなくなる?」といった声も出ていますが、2023年4月1日時点における暗号資産取引所ビットバンクではウォレットアドレスを登録する際に「暗号資産取引所一覧」の中から「BINANCE」や「Bybit」などを含めた海外取引所も選択することができるようになっています。仮想通貨の送金先として海外の暗号資産取引所を指定することは、現時点では可能となっています。
ビットバンクの送金先アドレス登録画面(画像:bitbank)
なお、犯罪による収益の移転防止に関する法律などの改正は2023年6月9日までに行われる予定で、現在は各種取引所で「仮想通貨の直接送金が可能な取引所」について随時追加発表が行われています。トラベルルールの適用により、暗号資産の国際送金に関する規制が強化される可能性があります。
今後の変更によっては「国内取引所から海外取引所への送金」ができなくなる可能性もありますが、そのような場合は「国内取引所→ウォレット→海外取引所」といった経路で送金が行われるようになると予想されます。
仮想通貨ユーザーは、トラベルルールの動向に注意を払い、送金方法の変更に備える必要があるでしょう。暗号資産取引所ビットバンクについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
暗号資産取引所ビットバンクとは?
受取人の住所には何を入力すればいいのか?
送金先ウォレットアドレスを登録する際、仮想通貨のトラベルルールに基づき「受取人の住所」の入力が求められる場合があります。この項目は、送金先の暗号資産取引所の住所ではなく、受取人の方の実際の居住地住所を入力する必要があります。これはマネーロンダリング防止やテロ資金供与対策の一環として、仮想通貨送金の追跡可能性を確保するためです。
暗号資産を送金する際、受取人の住所が不明な場合は、自分で受取人に直接確認する必要があります。これは金融庁の要請に基づく措置であり、資金洗浄のリスクを軽減するために重要です。ビットコインやイーサリアムなどの主要な仮想通貨でも、この規則は適用されます。
自己管理型ウォレットへの送金時も同様に、受取人(自分自身)の住所情報が必要になります。ハードウェアウォレットやMetaMaskなどのソフトウェアウォレットを使用する場合も、この情報提供は避けられません。
なお、この住所情報は暗号資産交換業者によって適切に管理され、不正利用の防止や犯罪捜査への協力などの目的以外では使用されません。FATF(金融活動作業部会)の指針に沿ったこの措置は、仮想通貨取引の透明性向上と健全な市場発展を目指しています。
対象となる仮想通貨は?
トラベルルールの対象となる仮想通貨は、「全ての仮想通貨」となります。ビットコインやイーサリアムなどの主要な仮想通貨はもちろん、アルトコインやステーブルコインなどの種類を問わず、日本国内の暗号資産取引所に上場している全ての仮想通貨が対象です。
つまり、どのような仮想通貨であっても、日本国内の暗号資産取引所から外部に送金する際には、指定された各種情報を入力する必要があります。これは、マネーロンダリングやテロ資金供与のリスクを軽減し、仮想通貨取引の透明性を高めるためです。
トラベルルールは、FATF(金融活動作業部会)の勧告に基づいて導入されており、仮想通貨の送金時に送金者と受取人の情報を確認することで、不正な資金移動を防ぐことを目的としています。
そのため、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの主要仮想通貨だけでなく、新興のアルトコインやステーブルコインも含めて、全ての仮想通貨がこのルールの対象となります。
情報収集を回避する方法は?
トラベルルールに関する話題では、仮想通貨送金時の情報収集を回避する方法を探す人もいますが、日本国内の法律に準拠した暗号資産取引所で仮想通貨を外部送金する際には、各種情報の提出が必須となります。
仮想通貨を自己管理型ウォレットなどに送金すれば、そのウォレットからの送金時に情報を提出する必要はありませんが、ウォレットに仮想通貨を送金した時点で、そのウォレットの所有者情報が暗号資産交換業者に記録されます。
そのため、ウォレットアドレスの送金履歴を辿れば、最終的にはその人がウォレットへの送金後にどのアドレスに仮想通貨を送金したかなどが判明する可能性があります。
トラベルルールは、仮想通貨が違法行為やマネーロンダリングに使用されることを防止し、不正利用があった場合に追跡・特定できるようにすることを目的としています。
このルールは、FATFが作成した国際的な規制であり、日本でも金融庁が2021年3月に要請を行っています。暗号資産取引所は、このルールに基づき、送金者や受取人の情報を収集・共有する義務があります。
仮想通貨の匿名性を利用して、違法取引や脱税などのために情報収集を回避しようとすることは、法律違反となる可能性が高いです。そのような違法行為自体をやめることが強く推奨されます。仮想通貨取引に関しては、適切に確定申告を行い、納税義務を果たすことが重要です。
暗号資産取引所から自己管理型ウォレットへの送金は可能ですが、その際も受取人情報の入力が必要となります。また、海外の暗号資産取引所への送金に関しては、各取引所の方針や法規制の変更により制限される可能性があるため、最新の情報を確認することが大切です。
トラベルルールは、仮想通貨市場の健全性と透明性を高めるための重要な施策です。ユーザーは、この規制を理解し、適切に対応することで、安全かつ合法的に仮想通貨を利用することができます。
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執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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