知っておきたい6月から開始された仮想通貨規制

by BITTIMES   

今月は複数の仮想通貨規制が実際に適用されます。日本在住の仮想通貨投資家であれば知っておくべき新たなルールも適用されているため、覚えておく必要があります。

国際送金に伴う新たなルール

日本では今月から仮想通貨を使った国際送金に新たなルールが適用されています。

財務省は、将来的に国境を越えたモノやサービスの取引を決済するために仮想通貨がさらに利用されることを踏まえて、主要国に先行してわかりやすいルールを整備する方針を今年の4月に発表しました。

今月から適用されるこのルールは「海外に仮想通貨を3,000万円以上送金する場合には、超過分を当局に報告することを義務付ける」というものです。

財務省からの発表

財務省からの公式発表は以下のとおりです。

仮想通貨に関する外国為替及び外国貿易法に基づく報告について周知します

外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号。以下「外為法」という。)では、日本と外国との間又は居住者と非居住者との間で3,000万円相当額を超える支払又は支払の受領をした場合には、財務大臣への報告が必要となります。

当該支払又は支払の受領には、日本円や米国ドル等の法定通貨を用いたものだけでなく、仮想通貨を用いて行った場合も含みますので、仮想通貨に関する外為法に基づく報告について周知します。

(連絡・問い合わせ先)
財務省国際局調査課外国為替室
03-3581-4111(内線2861、2868)

報告が必要な具体例

具体的には、実際に支払いを行なった日の仮想通貨交換事業者の相場をもとに、現金の価値に換算して財務省に報告する必要があるか否かを判断することになります。

例えば、1ビットコインあたり80万円前後で取引されている時に、その日の内に40ビットコインを支払った場合には、3,000万円を超えることとなるため、財務省に報告する義務が発生します。

またこのルールは、ビットコイン(BTC)などの主要通貨だけでなく、全てのアルトコインに対しても適用されます。
参考になる相場がないような知名度の低い仮想通貨で支払った場合には、仮想通貨間で取引できるビットコインなどの主な仮想通貨の相場を参考に3,000万円を超えるか否かを判断することも認められています。

法令改正の目的

今回導入されたこのルールは、海外取引の実態を把握し、マネーロンダリング(資金洗浄)に仮想通貨が使われるリスクを低減することなどを目的としています。

財務省によると、仮想通貨が法律上の「支払い手段」として位置付けられる2017年より前から外為法に基づく報告が同省にはあったとのことで、2016年半ばから報告が入り始め、今年の4月までの報告は1,000件を超えるとされています。

しかしこのような自主的な報告はプロの事業者の一部である可能性が高く、今後さらに仮想通貨を使用する法人や個人が増えることも予想されるため、今月からはよりルールを明確化されることとなっています。

3,000万円を取引するユーザーは限られてくるとは思いますが、仮想通貨の世界では突然『億り人』になることもあり得るため、報告が必要になっていることは忘れないようにしておく必要があるでしょう。

Googleは仮想通貨広告を禁止

Google(グーグル)は、今年の3月に発表した仮想通貨広告の禁止を6月1日から開始しています。

具体的な規制の内容としては、仮想通貨やイニシャル・コイン・オファリング(ICO)、仮想通貨交換、仮想通貨ウォレット、および仮想通貨取引アドバイスなどといった関連コンテンツも含まれており、これだけに限定されないとも発表されています。

これらのサービスを提供する広告主がAdWordsで宣伝を行うためには、事前にGoogleの認定を受ける必要があります。認定は特定の国でのみ利用可能です。

Google認定資格を取得するには、広告主が次のことを行う必要があります。

  • ターゲットとする国または地域の関連する金融サービス当局のライセンスを受ける
  • 広告とリンク先ページがすべてのAdWordsポリシーに準拠していることを確認する
  • 複雑な投機的金融商品に関連するものを含む関連する法的要件を遵守する

投資家からの批判

しかし企業や投資家は今回のGoogleの措置を厳しく非難していると複数のメディアで報じられています。

7000万ポンド(約103億円)の資金を運用している英国の投資会社であるBlackmore Group(ブラックモア・グループ)でCEOを務めているPhillip Nunn(フィリップ・ナン)氏は6月4日、INDEPENDENT紙に次のように語っています。

「FacebookとGoogleが、ユーザーが目にするコンテンツを規制する必要に迫られていることは理解できるが、彼らはまだギャンブル関連のウェブサイトや他の非倫理的なビジネスを未だに広告している」

独自の仮想通貨を計画?

さらにナン氏は、GoogleがFacebookと同様に中央集権型の独自仮想通貨の発行に向けた準備を進めているのかもしれないとの考えも語っています。

「今回の仮想通貨広告の禁止は、近い将来に独自の仮想通貨を市場に投入するという計画に合わせて導入されたと私は考えています。他の仮想通貨の広告を排除することで、グーグルは思い通りに進めることができる」

Googleはこれらの件についてコメントすることを拒否していますが、先月にはイーサリアム(ETH)の共同創始者であるVitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏が、自身のTwitter上でGoogleの採用担当者と見られる人物から仕事のオファーを受けたことを明らかにしています。

イーサリアム開発者に届いたメールの内容とは?

またこの他にも、英国でデジタルバンキングサービスを提供しているリボリュート(Revolut)は「グーグルの仮想通貨広告禁止措置では合法企業と悪徳企業の区別ができない」と警告しています。

リボリュートでモバイル部門を率いているエド・クーパー氏は次のようにコメントしています。

「今回の禁止は残念ながら全面禁止だ。ユーザーに価値あるサービスを提供する正当な仮想通貨ビジネスが不公平に厄介事に巻き込まれるだろう」

リボリュートは、4月に2億5,000万ドル(約275億3,304万円)の資金調達を完了し、時価総額は17億ドル(約1,872億)に達しています。

規制適用後の価格の変化

これらの規制は仮想通貨の価格には大きな影響は与えていないようです。 実際に新たなルールが適用されてからすでに6日が経過していますが、仮想通貨は全体的に回復傾向にあります。

2018年5〜6月のビットコインのチャート2018年5〜6月のビットコインのチャート(coingecko.comから)

ビットコインは5月29日に77万円台まで下がったのちに少しづつ回復しており、現在は85万円前後で取引されています。

なお6月13日には、米証券取引委員会(SEC)が仮想通貨やフィンテック(Fintach)などについて議論するタウンホールミーティングを開催する予定となっており、このミーティングではSECの規制方針について言及される可能性があるため、世界の投資家などからも注目が集まっています。

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