サトシ・ナカモトがビットコインキャッシュの商標を出願?|著作権侵害を主張
Satoshi Nakamoto(サトシ・ナカモト)の名を語る人物が、5月18日にBitcoin Cash(ビットコインキャッシュ)というフレーズの商標を出願していたことが明らかになりました。自分自身を"仮想通貨の生みの親である"と語るハワイ出身の男性が一部で話題となっています。
"Satoshi Nakamoto"が出願した商標
ビットコインキャッシュ(BCH)のコミュニティは、米国特許商標庁(USPTO)に過去1年間で2件出願された『Bitcoin Cash』というフレーズの商標の中の1つに奇妙な名前が関連づけられていることを発見しました。
USPTOが公開している2つの商標出願書類は、コンピュータソフトウェアのライセンス供与やオンラインリアルタイム通貨取引に関連する商品として"Bitcoin Cash"という名前を請求していますが、2018年5月18日に提出された商標の所有者の名前には"Satoshi Nakamoto"の名前が記されていることが判明しました。
発見された最新のファイルは、コンピューターソフトウェアのライセンスに適用されており、ハワイ出身の『ロナルド・ケアラ・クア・マリア(Ronald Keala Kua Maria)氏』によって出願されています。
提出された書類の所有者の欄には『Maria,Ronald Keala Kua』という名前の後に『AKA Satoshi Nakamoto』と記されており、クア・マリア氏がサトシ・ナカモトであるということが示されています。
(引用:the USPTO TESS)
このクア・マリア氏についてより詳細に調べたビットコインキャッシュコミュニティは、彼がその他の場所でも自分自身がサトシ・ナカモトであると主張していることを発見しています。
仮想通貨関連のウェブドメインと商標権表示
(引用:rkm.world)
『@btcfork』というTwitterハンドルによって発見された『Satoshinakamoto.ws』というウェブサイトでは、これらの商標に関する情報がより詳しく記載されています。
ウェブサイトで彼は、「自分自身がビットコイン(BTC)とブロックチェーン技術の発明者である"サトシ・ナカモト"である」ということをはっきりと断言しており、「ピア・ツー・ピア(P2P)の電子決算システムは、すべて自分の著作権である」と主張しています。
ビットコインとブロックチェーン技術の発明者である『サトシ・ナカモト』としても知られる、私『ロナルド・ケアラ・クア・マリア(Ronald Keala Kua Maria)』は、株式に基づく電子貯蓄通貨を含むピア・ツー・ピア(P2P)の電子決算システムは、すべて私の著作権であると断言します。
このウェブサイトには、BTCブロックチェーンから解読された文書のコピーを示す元のホワイト・ペーパーのコピーが掲載されており、クア・マリア氏は「The Coin of All Coins(すべてのコインのコイン)」という論文のタイトルをつけています。
さらに彼は、
・thesatoshinakamoto.com
・bitcoincopyrights.com
・bitcoincashcopyright.com
・bchcopyright.com
などのような、数多くのBCH関連のウェブサイトドメインの所有権も主張しています。
これらのサイト訪問者は、クア・マリア氏のURLである『rkm.world』にリダイレクトされます。このサイトには「無料の基本的な収入計画」などのような複数のサービスや写真ギャラリーが掲載されており、これらのサービスは『Satoshinakamoto.ws』のウェブサイトに再びリダイレクトされるようになっています。
『私は唯一本物のサトシ・ナカモトです』
(引用:Satoshinakamoto.ws)
またクア・マリア氏のウェブサイト上には、「私は著作権法上、秘密鍵、ブロックチェーン、アルトコイン、ビットコインをすべて所有している」と記載されているだけでなく、「私の著作権の法的譲受人またはライセンシーは存在しません。譲渡や移転は許可されておらず、不正である可能性があります」とも記載されており、2005年には自身の自宅が連邦政府と州当局の共同タスクフォースに襲われ、複数の所有物が押収されたとも記述されています。
私は譲受人またはライセンシーの許可はしていません。
私はTXu002037698の仕事の一部を2011年8月17日以前に公表しませんでした。
私の自宅は、2005年9月20日に連邦政府と州当局の共同タスクフォースに襲われ、私のコンピュータ、ラップトップ、ファイル、発明、著作権などが押収されました。
さらにクア・マリア氏は「私は唯一本物のサトシ・ナカモトだ」と強調し、著作権法のもとで秘密鍵、ブロックチェーン、アルトコイン、ビットコインをすべて所有しており、それらの使用や取り扱いについても厳しく指摘したのちに、著作権侵害の対象となっている著作物のすべての使用を中止するように求めています。
私は唯一本物のサトシ・ナカモトです。私は著作権法のもとで秘密鍵、ブロックチェーン、アルトコイン、ビットコインをすべて所有しています。私が死亡、無能力、昏睡、誘拐、抑留、または監禁された場合、著作権で保護された作品および関連するすべての作品は、いかなる時や理由があろうと他人が使用することはできず、Ronald Keala Kua Mariaによってのみ、いつでもどこでも予告なく変更されることがあります。私は、著作権侵害の対象となっている著作物のすべての使用を中止することを、著作権で保護された著作物のすべての利用者に通知します。
ロナルド・ケアラ・クア・マリアの過去
ロナルド・ケアラ・クア・マリア氏は、実際に自分こそが「本物のサトシ・ナカモトである」と主張していますが、過去にホノルル地域に住む複数の住民から数百万ドルものお金を騙し取ったとされるハワイ出身の詐欺師である可能性があるとも言われています。
2001年にhonoluluadvertiser.comで投稿された記事では、クア・マリア氏と彼の母親は『複数回に渡る盗難』や『ハワイの住民に対して詐欺行為を行い何百万ドルを騙し取った』疑いで起訴されていると報じられています。
このようなこともあり、ロナルド・ケアラ・クア・マリア氏がサトシ・ナカモト本人である可能性は低いと考えている人が多いようです。その真相がどうなのかを判断するのは難しいですが、詐欺行為などの前科があることを考えると安易な気持ちでそれらのサイトやサービスにアクセスするのは避けておく方がいいでしょう。
サトシ・ナカモトの正体については、かなり前から様々な議論が交わされてきました。すでに本人である可能性が高いとされる人物も数名存在するため、彼が提出した商標やウェブサイト上での主張が、今後実際にどのような評価を受けることになるのかには注目が集まります。