海外DEX・予測市場が国会で初議題に、片山大臣「継続検討」と先送り姿勢

海外DEX・予測市場が国会で初議題に、片山大臣「継続検討」と先送り姿勢

この記事の要点

  • 原田議員が4月21日、海外DEX・予測市場を国会で初議題化
  • 金融庁「海外DEXの取引実態を把握していない」と答弁
  • 片山財務相は「各国動向を注視し継続検討」と方針
  • 規制方針未定で市場・制度設計への影響が顕在化
目次

国会で「海外DEX・予測市場」が初の議題に

国民民主党の原田秀一参議院議員(香川選挙区)は2026年4月21日の参議院財政金融委員会で、海外のDEX(分散型取引所)ハイパーリキッドや予測市場ポリマーケットの日本での取り扱いを取り上げました

質疑には片山さつき財務大臣と金融庁の井上俊剛企画市場局長が答弁に立ち、オフショアDEXや予測市場が国会で本格的に議題となったのは今回が初めてとなりました。

金融庁は質疑の中で、ハイパーリキッド(Hyperliquid)のような海外DEXで日本人が行う取引の実態について、法令上の報告徴求権限を有しておらず把握していないと明らかにしました。

DEXそのものの規制方針も未確定で、片山財務相は「各国の運用動向を注視しながら継続して検討する」と述べるにとどめています。

予測市場については井上局長が「賭けの対象になるような予測市場については現在金融庁の所管する規制法はない」としたうえで、賭博との類似性を理由に極めて慎重な姿勢を示しました。

原田議員の質疑3本柱、実態把握・継続検討・予測市場

金融庁、ハイパーリキッドの取引実態を「把握せず」と答弁

原田議員は質疑で、ハイパーリキッドのようなオフショア型DEXで取引コストの低さと無期限先物(パーペチュアル)により取引量が巨大化し、米国ではすでに規制の在り方をめぐる議論が進んでいる状況を指摘しました。

2026年4月16日の米下院農業委員会では、共和党のオースティン・スコット議員が、オフショア無期限先物市場を米国内の正規取引所と同様に規制する方法を検討すべきだと提言しています。

CFTC(米商品先物取引委員会)委員長もこうした取引の規制を米国内の監督下に戻す必要性に言及するなど、規制強化の流れが強まりつつあります。

こうした国際的な動きを踏まえ、原田議員は日本においてDEXを規制対象とするのか、あるいは利用自体に制約を設けるのかについて質問しました。

これに対し金融庁総合政策局長は、現時点で暗号資産交換業者として登録を受けた事業者の中に、ハイパーリキッドおよび類似の分散型取引所を取り扱う事業者は存在しないと回答しています。

また同局長は、オフショアDEXにおける日本人の取引実態について「金融庁は法令上の報告徴求権限を有しておらず、取引量や利用者数も把握できていない」と説明しました。

片山財務相、DEXは「個別判断で継続検討」と方針

原田議員は、4月7日の米イラン停戦発表直前にシカゴ・マーカンタイル取引所で約9億5,000万ドル(約1,500億円)規模の原油先物売り注文が出ていた問題にも言及しました。

こうした市場イベントを例に、情報優位性を利用した取引がオフショアDEXでも起こり得るのではないかという点を踏まえ、日本人が同様の取引を行った場合の監視・規制の可否について質問しています。

金融庁はこの質問に対し「監督対象事業者でないオフショアDEXには報告徴求権限が及ばず、日本人の取引実態を直接把握する手段を持たない」と答えました。

こうした実態把握の難しさを前提に、片山財務相はDEXの定義にも言及し、中央集権的管理者が存在しないか特定しがたい一方で実態として中央集権的な性質を持つ場合もあるとの指摘を紹介しました。

そのうえで、DEXが資金決済法上の暗号資産交換業に該当するかどうかは個別の実態に応じて判断すべきであるとの考えを示しています。

また、こうした制度設計の前提となる議論は、2025年12月の金融審議会ワーキンググループ報告書ですでに整理されています。

同報告書では、プログラムの脆弱性によるサイバー攻撃リスクやマネーロンダリングへの悪用リスクが指摘される一方で、国際的に統一的な規制枠組みが確立していない現状も示されています。

片山財務相は、暗号資産交換業とは異なる技術的特性を踏まえた規制のあり方について、各国の制度運用を注視しながら継続的に検討する方針を示しました。

予測市場、金融庁が「極めて慎重」姿勢を明言

原田議員は予測市場について、ユーザー同士が直接取引する構造で胴元が存在せず期待値がゼロサムに近い点や、ブロックチェーン上で取引履歴が公開され不正操作が困難である点を挙げました。

そのうえで、経済予測や災害リスクヘッジ、価格形成機能としての活用可能性について質問しています。

井上局長は、賭けの対象となる予測市場については現時点で金融庁が所管する明確な規制法は存在しないとしたうえで、賭博との類似性が指摘されていることを踏まえれば極めて慎重な対応が必要との認識を示しました。

また、こうした仕組みが情報インフラとして機能する可能性についても言及しつつ、自律的な取引環境において第三者による検証がどの程度担保されているかは不明確であると指摘しています。

さらに報道ベースの情報として、最近の地政学リスク事象に関連し、こうしたプラットフォームを通じたインサイダー取引の可能性が指摘されている点にも触れました。

海外は規制強化、日本はまたもや先送り

HIP-3建玉3,800億円、米NY州は34億ドル提訴

ハイパーリキッドは直近30日で約1,910億ドル(約30兆円)規模の無期限先物取引量を記録しており、株式・商品先物を扱うHIP-3市場の建玉は約24億ドル(約3,800億円)に達しています。

予測市場の分野でも資金流入が続いており、大手ポリマーケットは企業価値約150億ドル、カルシは220億ドル評価額で資金調達を進めるなどオンチェーン取引の規模は日本の監視枠外で急速に拡大しています。

米国ではニューヨーク州司法長官が4月21日、コインベースとジェミニの予測市場を州法に抵触する違法ギャンブルとして提訴し、総額34億ドル規模の賠償請求に踏み切りました。

連邦と州の規制権限の対立が再燃する中で、国際的な制度設計への圧力は日本にも波及しています。

玉木代表「レバレッジ10倍」提言、金融庁は先送り

一方、日本国内では国民民主党の玉木雄一郎代表が4月8日の「TEAMZ SUMMIT 2026」で、月商150億円規模のハイパーリキッドを例に金融のオンチェーン化について言及しました。

同氏は暗号資産の20%申告分離課税の早期導入やレバレッジ規制の見直しにも触れており、21日の質疑後にはX上で投資家保護と予測市場の公益性を両立させるルール整備に取り組む考えを表明しています。

金融庁は「継続検討」の姿勢を維持する一方で、DEXの具体的な規制設計については2025年12月の金融審議会ワーキンググループ報告書以降、たたき台の提示が先送りされたままとなっています。

次回ワーキンググループでオフショアDEXおよびインサイダー取引監視が正式議題に加われば、国内でもDEX規制の具体案づくりが本格化する可能性があります。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.30 円)

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Source:参議院財政金融委員会
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

仮想通貨ニュースメディア「BITTIMES(ビットタイムズ)」編集長。2016年にBITTIMESを創業し、暗号資産・ブロックチェーン・Web3領域の取材・執筆を10年近く継続。ビットコイン・イーサリアムをはじめとする主要銘柄の動向から、国内外の規制・税制・DeFi・NFTまで幅広くカバー。

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