この記事の要点
- ストラテジーが2022年末以来3年半ぶりに32BTCを売却、SECに開示
- 開示後にビットコイン急落、1時間で約148億円の先物ポジションが清算
ストラテジー、3年半ぶりBTC売却で急落
2026年6月2日、SEC(米証券取引委員会)への8-K開示書類の公表により、ビットコイン(BTC)の最大保有上場企業ストラテジーが、2022年末以来初めてBTCを売却していたことが明らかになりました。
同社は5月26日から31日にかけて32 BTCを平均77,135ドル(約1,210万円)で処分し、合計250万ドル(約4億円)を調達したと報告しています。
開示後のビットコインは70,000ドルまで下落し、1時間以内に9,300万ドル(約148億円)超の先物ポジションが清算されるなど、短時間でロングポジションの巻き戻しが進行しました。
最大のビットコイン保有企業として知られる同社の売却は規模としては限定的だったものの、保有方針を巡る警戒感を呼び込み、相場全体の下押し圧力として作用しています。
ビットコイン81万枚に到達
ストラテジー売却の経緯と市場に広がった衝撃
STRC配当のために32BTCを売却
ストラテジーは今回の売却について、優先株への配当支払いに充てる資金を確保するための対応だったことを8-K開示で明らかにしています。
この配当の対象となる変動金利型永続優先株「STRC」は、100ドルの額面価格付近での取引安定を同社が設計目標とした高利回り優先株で、Q1決算資料でも額面付近での価格安定が明記されています。
同社がBTCを売却したのは、2022年12月に704 BTCを1枚あたり約16,776ドルで売却した事例以来のことで、当時はその2日後に810 BTCを買い戻した税務上の損失確定取引として処理されていました。
同社は今回の売却について、税務処理ではなく配当原資の確保を主眼とした取引であり、2022年の損失確定売却とは位置付けが異なると説明しています。
STRC配当という資金需要を前提に、マイケル・セイラー会長はQ1決算説明会で、ビットコインが年率2.3%上昇するだけでSTRC配当を永続的に賄えると投資家に説明し、「1枚売るごとに10〜20枚買い戻す」という方針も示しました。
保有84万BTC、評価損は約4,630億円
5月31日時点の保有BTCは843,706枚で、時価約610億ドル(約9.7兆円)相当と報告されており、企業によるビットコイン保有量としては世界最大規模を維持しています。
平均購入価格は1枚あたり75,699ドル(約1,230万円)で、費用を含む総投資額は約639億ドル(約10兆円)となっており、記事執筆時点の相場では約29億ドル(約4,630億円)の評価損を抱えているとみられています。
それでも資金調達は継続しており、ATM(市場内株式売出し)プログラムを通じて5月末までに約1億2,830万ドル(約205億円)を調達し、ATM枠の残高は約261億ドル(約4.2兆円)が残っています。
5月31日時点の現金準備は9億ドル(約1,436億円)で、同社は2029年満期の転換社債15億ドル(約2,395億円)を8%ディスカウントで約13億8,000万ドル(約2,205億円)を支払い償還した後の残高だとしています。
売り材料が重なり下落幅を拡大
ストラテジーの開示以外にも売り材料が重なっていたことが、下落幅を拡大させる一因となりました。
米国の現物ビットコインETF(上場投資信託)は5月15日から29日にかけて10営業日連続で資金流出を記録し、累計流出額は29億7,000万ドル(約4,740億円)と過去最大規模に達しており、開示が伝わった時点では、すでに相場全体に売り圧力が蓄積していました。
さらに金融市場では、ブレント原油が米国とイランの停戦交渉の停滞を受けて1バレル93ドル超に上昇し、リスク回避の動きが幅広い資産へ波及しました。
米国株の先物3指数がそろって上昇を示すなか、ビットコインのみが急落したことから、仮想通貨が株式市場とは異なる要因で売られる局面に入っていたことが示されています。
「BTCはポンジ」セイラー氏が定義で反撃
戦略不変か転換か、見方が分かれる相場
ストラテジーによる売却は規模こそ限定的だったものの、長年続いてきた買い増し戦略に変化が生じるのではないかとの見方も広がり、ビットコイン相場の先行きを巡る評価が改めて分かれる展開となりました。
一方で同社は、今回の売却についてSTRC配当の原資確保を目的とした一時的な対応であり長期的なBTC取得方針に変更はないとの立場を維持しており、セイラー氏も将来的には売却量を大きく上回る買い戻しを継続する考えを示しています。
ビットコインをめぐっては、大底を2026年後半と予測する声がある一方で、ストラテジーによる売却を例外的な資金対応とみる向きもあり、今回の急落を弱気相場入りの兆候と捉えるか、一時的な調整と捉えるかで市場関係者の見解は分かれています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.71 円)
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Source:SEC 8-K開示
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