リップルの採用が進むまでブロックチェーンは使わない|TransferWise CEO
Ripple(リップル)社が提供しているクロスボーダー決済ソリューションは世界中で導入され続けていますが、イギリスの大手P2P送金サービス会社「TransferWise(トランスファーワイズ)」の会長兼共同設立者であるTaavet Hinrikus(ターベット・ヒンリクス)氏は、Ripple社を含めた様々なブロックチェーン技術にはまだ実用的だと言えるほどの機能は備わっていないと語っています。
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TransferWise(トランスファーワイズ)とは
TransferWise(トランスファーワイズ)は、イギリス・ロンドンに本社を構えるP2P送金サービスです。
2011年にロンドンで設立された「TransferWise」は、ニューヨーク、シンガポール、エストニア、シドニー、タリンなど合計8箇所に事務所を構えており、国際送金サービスを70カ国以上で展開しています。サービスの利用者数が100万人を超えると言われる同社は、毎月8億ポンド(約1,150億円)以上の送金を処理しています。
すでに非常に多くのユーザーに利用されている「TransferWise」は、ブロックチェーンなどの新しい技術を活用するための調査も実施していると報告されていますが、現時点ではそれらの技術を実際に活用するという決定にはいないようです。
同社の会長兼共同設立者であるTaavet Hinrikus(ターベット・ヒンリクス)氏は最近、Ripple社の国際送金技術やブロックチェーン技術を用いたその他の送金システムが世界中で注目されてはいるものの、実際にそれらの技術を実用化するためには、未だに多くの課題が残されていると語っています。
ブロックチェーン技術は「SWIFT」に劣る
ヒリンカス氏は、ブロックチェーン技術を活用するために具体的な取り組みを行なってきたものの、実際に良い結果を出すことができる技術はなかったと説明しています。
私たちは分散型台帳技術に関する夢を様々な人々から何度も聞いたことがあります。これらの技術は理論上では素晴らしいものに見えますが、詳しく掘り下げてみると実際にそれらの技術を利用することは非常に難しいことがわかります。私たちは様々なブロックチェーン技術を検討してきましたが、安値で高速に送金を行うことができるものはありませんでした。
同氏はブロックチェーン技術のメリット自体は認めているものの、現在一般的に利用されているSWIFTのような送金システムよりも安値かつ迅速に送金を処理することは難しいと結論づけており、これらの技術がSWIFTの替わりとなることはないと述べています。
またヒリンクス氏は、フィンテック企業が高価なSWIFTネットワークの使用を避けるための方法を見つけたことによって、ブロックチェーン製品の競争力は低下しているとも指摘しており、ブロックチェーンフレームワークの実装を検討しているフィンテック企業はSWIFTをもっと良いものにするための方法も考える必要があると述べています。
Rippleサービスは「採用水準」が低い
ヒリンカス氏は「TransferWise」がRipple社の送金ネットワークである「RippleNet」の調査も行っていることを明かしています。しかしながら同氏は、世界中で採用が進むRipple社のサービスでも未だに"採用水準が低い"ことなどから、実際にそれらのサービスを採用するに至るほどの「魅力的な理由」は見つかっていないと説明しています。
もし世界中の全ての銀行がRippleのネットワークを使用すれば、素晴らしい結果をもたらすことができるでしょう。しかし実際にそれらの技術を使用している銀行はどれくらいいるか?というと、非常に少ないのが今の現状です。
私たちはRippleやその他の製品を支持しているため、もしその中のどれかが十分に採用されて実際に送金を迅速かつ低コストに処理することができるのであれば使用したいと思っていますが、今のところそのような製品は見つかっていません。
Ripple社のソリューションが不十分だという見解を示している企業は「TransferWise」だけではありません。全世界の約200カ国で送金サービスを提供している「Western Union(ウエスタン・ユニオン)」のCEO Hikmet Ersek(ヒクメット・エアセック)氏は、仮想通貨「XRP」を実際に使用するテストを行なった後に「既存のシステムを新しいものへと移行する考えはない」との考えを表明しています。
エアセック氏は、このテストの結果を考慮した上で国際送金サービスに「XRP」を使用するだけの実質的なコスト削減は見られなかったと説明しています。Ripple社のサービスを利用することによって、「圧倒的なコスト削減」を達成したという事例はすでに数多く報告されていますが、すでに大規模な国際送金を処理しているいくつかの企業は現時点のRippleNetには参加する意思はないようです。
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