ナイジェリア中央銀行が2021年2月5日に、同国すべての金融機関に対して『暗号資産取引関連の銀行口座サービス提供は禁止されている』と通告したことが明らかになりました。ナイジェリア中央銀行は現地の金融機関に『仮想通貨取引所で取引を行なっている個人・事業体を特定して、直ちにそれらの銀行口座を閉鎖するように』と指示しています。
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「暗号資産関連の銀行サービス提供は禁止」と通告
ナイジェリア中央銀行は2021年2月5日に、同国すべての金融機関に対して『暗号資産取引関連の銀行口座サービス提供は禁止されている』と通告する内容の回覧文書を公開しました。
同銀行はこの文書の中で『この件に関する以前の規制当局の命令に加えて、当行は”暗号資産取引や暗号資産取引所での支払いを促進する行為は禁止されている”ということを規制対象となる機関に注意喚起したいと考えている』と説明しています。
さらにナイジェリア中央銀行は同国全ての金融機関に対して『暗号資産取引所で取引・運用している全ての個人・事業者を特定して、それらの銀行口座を直ちに閉鎖する必要がある』と警告しており、『この指令に違反した場合には厳しい規制措置を受けることになる』と説明しています。
ナイジェリアは”暗号資産取引が特に活発な国”としても知られており、ブロックチェーン分析会社「Chainalysis」が2020年9月に公開した『世界154ヶ国を対象とした仮想通貨利用状況レポート』では、ナイジェリアが”世界8位”に位置付けられていました。
しかし、2020年10月に同国の警察特殊部隊(SARS)による過度な暴力に対する抗議運動「EndSARS」が行われた際には、ナイジェリア中央銀行が抗議運動支持者の銀行口座停止を命じたことによって「ビットコインを用いた寄付」が増加することとなっていたため、仮想通貨業界では『今回の動きはこのような動きにも関連している可能性がある』と予想する意見も出ています。
なお、中央銀行が仮想通貨関連の銀行口座を閉鎖しようとする動きはその他の国でも行われており、2018年にはインドやイスラエルなどでも「銀行が仮想通貨関連企業などへの銀行サービス提供を停止する」といった問題が発生していましたが、このような禁止命令はその後の裁判によって覆されています。
証券取引委員会は「仮想通貨規制計画」を保留
(追記:2021年2月14日)
ナイジェリア中央銀行が『暗号資産取引関連の銀行口座閉鎖』を支持したことを受けて、ナイジェリア証券取引委員会が暗号資産を規制する計画を保留にしたことが明らかになりました。
ナイジェリア証券取引委員会は2020年9月にデジタル資産を基本的に証券とみなした上で規制整備に取り組んでいたため、業界では『ナイジェリア中央銀行の禁止令は証券取引委員会の政策と矛盾するのではないか?』という疑問の声が上がっていたため、このような疑問に応えるために規制案が一時保留されたと報告されています。
ナイジェリア中央銀行の禁止令は同国の暗号資産関連企業にも影響を与えており、暗号資産取引プラットフォーム「Luno」が同国の法定通貨「ナイラ」の預金を一時的に停止した他、「Piggyvest、Risevest、Agropartnership、Monnify」などの企業も事業体制の一部に変更を加えています。
(参照:guardian.ng)