暗号資産取引所「BINANCE(バイナンス)」は2021年6月30日に、暗号資産の移転元・移転先に関する情報を共有することを求める規則である「トラベルルール」に準拠するのを支援するために作成された資金洗浄対策ツール「Traveler」を導入したことを発表しました。
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コンプライアンス体制強化に向け「Traveler」導入
BINANCE(バイナンス)は2021年6月30日に、コンプライアンス体制の強化に向けた継続的な取り組みの一環として、ブロックチェーン分析企業「CipherTrace」によって作成された「Traveler」と呼ばれる資金洗浄対策ツールを導入したことを発表しました。
「Traveler」は、資金洗浄対策における国際協調を推進するために設立された政府間機関「マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)」が作成した”暗号資産の移転元・移転先に関する情報を共有することを求める規則”である「トラベルルール」に準拠するのを支援するために2021年3月にリリースされた商用製品であり、具体的な機能としては以下のようなものが挙げられています。
- 暗号資産取引に関連付けられたアドレスをスキャンすることによって、仮想通貨サービスプロバイダー(VASP)間の送受信を自動識別
- 送信側VASPと受信側VASPの両方を安全な形で検証
- 機密性の高い取引の承認はトラベルルールを遵守する機関とのみ共有されるようにして、データ漏洩を防ぎ、機密性を保持する
- 新たなVASPや情報共有規則を展開していない地域のVASPのオンボーディングと検証を自動化
仮想通貨は国際送金などでメリットを有している一方で「資金洗浄やテロ資金供与などに悪用される可能性がある」と懸念されていますが、暗号資産取引所などがトラベルルールに準拠するようになれば、暗号資産を送受信した顧客の情報を取引所間などで共有できるようになるため、暗号資産を悪用した人物をスムーズに特定して取り締まることが可能になると期待されています。
BINANCEは公式発表の中で『仮想通貨業界ではハッキングや詐欺の件数が増加している』と指摘した上で『Travelerの導入は、”悪意のある人物を検出してBINANCEプラットフォームの使用を阻止する”というBINANCEのコンプライアンスへの取り組みをサポートする』と説明、さらに『BINANCEはTravelerを導入した最初の取引所の1つだ』と述べています。
BINANCE・CipherTrace代表者のコメント
「BINANCE」の最高コンプライアンス責任者であるSamuel Lim氏と、「CipherTrace」のCEOであるDave Jevans氏は公式発表の中で次のようにコメントしています。
【BINANCE:Samuel Lim氏】
私たちは基準をさらに強化するために、コンプライアンスプログラムとテクノロジーへの投資を継続して行っています。「CipherTrace」と提携してコンプライアンスソリューション「Traveler」を導入できることを誇りに思います。当社はこれまで通り、安全かつ分散型でグローバルなコンプライアンス基準を満たした優れた製品をユーザーの皆様に提供することをお約束します。
【CipherTrace:Dave Jevans氏】
世界中の管轄地域でVASPに対する規制が強化されているため、TravelerはBINANCEがグローバルな資金洗浄防止コンプライアンスの最高基準を満たし続けることを支援できると確信しています。当社の製品はVASPがセキュリティや運用の継続性を損なうことなく資金洗浄対策のコンプライアンスを達成することができるソリューションです。BINANCEと緊密に連携して、BINANCEのビジネスとグローバルコンプライアンスへの取り組みをサポートできることを楽しみにしています。
BINANCEはここ最近で日本を含めた複数の国の規制当局から警告を受けており、先月26日には『カナダ・オンタリオ州居住者向けのサービス提供を停止すること』なども発表されていたため、今回の「Traveler」導入は規制コンプライアンスへの懸念を払拭する狙いもあると考えられています。