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オランダ捜査機関「Tornado Cash」関与の疑いで29歳の開発者を逮捕


金融犯罪の調査を担当するオランダ政府の捜査機関「Fiscal Information and Investigation Service(FIOD)」は2022年8月12日に、暗号資産のミキシングサービスである「Tornado Cash(トルネードキャッシュ)」に関与した開発者を逮捕したことを発表しました。

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「犯罪資金の資金洗浄促進に関与した疑い」と説明

金融犯罪の調査を担当するオランダ政府の捜査機関「Fiscal Information and Investigation Service(FIOD)」は2022年8月12日に、暗号資産のミキシングサービスである「Tornado Cash(トルネードキャッシュ)」に関与した開発者を逮捕したことを発表しました。

Tornado Cash(トルネードキャッシュ)は、複数の暗号資産取引データを混ぜ合わせることによってユーザーのプライバシーや匿名性を保護する”ミキシング”と呼ばれるサービスであり、「不正に入手した暗号資産の追跡を困難にするためのツール」としても悪用されていたため、今月8日には米国財務省外国資産管理局(OFAC)から『Tornado Cashを制裁対象リストに追加したこと』が発表されていました。

今回逮捕された人物はソフトウェアエンジニアの29歳の男性で、FIODは『Tornado Cashを通じた暗号資産のミキシングによって、犯罪資金の流れを隠蔽し、マネーロンダリングを促進することに関与した疑いが持たれている』と説明しています。

公式発表によると、オランダ金融庁の金融先端サイバーチーム(FACT)は2022年6月に「Tornado Cash」に関連する犯罪調査を開始したとのことで、『FACTはTornado Cashがハッキング詐欺で盗まれた暗号資産を含む大規模な犯罪資金の流れを隠すために使用されてきたと疑っている』と説明されています。

今回逮捕したと報告されている人物は1名のみとなっているものの、FIODは公式発表の中で『複数の逮捕者が出る可能性も否定できない』と述べているため、今後は新たな逮捕者が出る可能性もあると予想されます。

制裁措置・関係者逮捕などには抗議・批判の声も

FIODの公式発表では逮捕者の名前は明かされていないものの、複数のメディアでは「容疑者の妻が夫の逮捕を認めた」として逮捕されたとみられるソフトウェアエンジニアの実名も報道されています。ただし、夫の逮捕を認めたとされる女性は『夫は違法なことは何もしていない』と訴えているとのことで、現在は弁護士に相談しているとも報告されています。

米財務省がTornado Cashを制裁対象リストに追加したことなどを受けて、現在は様々な暗号資産関連サービスで「Tornado Cashに関与したとみられる仮想通貨ウォレットのブロック」などが行われていますが、そのようなブロックや今回の逮捕に対しては抗議の声も多数出ています。

政府機関などは『Tornado Cashなどのミキシングサービスは基本的に”匿名性を高めるため”に利用されているため、犯罪資金の資金洗浄促進につながっている』と判断していますが、その一方では『ミキシングサービスはプライバシー保護を目的とした中立的なツールであり、今回の逮捕者もエンジニアとしてコードを書いただけの可能性がある』と指摘する意見が出ています。

Tornado Cashが犯罪資金の資金洗浄に悪用されていることは複数報告されていますが、プライバシー保護ツールの開発者が当たり前に逮捕されるようになった場合には、将来的にプライバシー保護技術や暗号技術を開発しているその他の開発者が逮捕されるようになる可能性もあるため、ここ最近で報告されているTornado Cash関連の制裁措置や逮捕に関しては様々な議論が交わされています。

>>「FIOD」の公式発表はこちら