米財務省:暗号資産ミキシングサービス「Tornado Cash」に制裁措置
米国財務省外国資産管理局(OFAC)は2022年8月8日に、暗号資産のミキシングサービスである「Tornado Cash(トルネードキャッシュ)」を制裁対象リストに追加し、Tornado Cashに関連する「38のETHアドレス」と「6つのUSDCアドレス」を制裁リストに加えたことを発表しました。
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「Tornado Cash」を制裁対象リストに追加
米国財務省外国資産管理局(OFAC)は2022年8月8日に、暗号資産のミキシングサービスである「Tornado Cash(トルネードキャッシュ)」を制裁対象リストに追加し、Tornado Cashに関連する「38のETHアドレス」と「6つのUSDCアドレス」を制裁リストに加えたことを発表しました。
Tornado Cash(トルネードキャッシュ)は、イーサリアムのブロックチェーン上で動作するミキシングサービスであり、複数の暗号資産取引データを混ぜ合わせることによって、ユーザーのプライバシーや匿名性を守ることができるサービスとなっています。
仮想通貨のミキシングサービスは「ユーザーのプライバシー保護」などをメリットとして提供されていますが、ミキシングサービスを利用すると暗号資産の送金元・送金先などの解読が困難になるため「不正に入手した暗号資産の追跡を困難にするためのツール」としても悪用されていました。
米国財務省外国資産管理局は今回の発表の中で『Tornado Cashは2019年の創設以来、70億ドル以上の価値のある仮想通貨の資金洗浄に悪用されている』と指摘しており、北朝鮮の国家支援ハッキンググループ「Lazarus Group」が盗んだ4億5,500万ドル超の仮想通貨を洗浄するためや、「Harmonyブリッジ」や「Nomadブリッジ」から流出した資産の資金洗浄にも使用されていたと説明しています。
今回の措置によって「米国内にある、または米国人が所有・管理しているTornado Cashの全ての財産は凍結され、OFACに報告されることになる」とのことで、さらに「1人以上の資産凍結された自分が直接または間接的に50%以上所有している事業体も制裁対象になる。制裁対象となった人物の財産に関わる全ての取引はOFACが許可しない限り禁止される」とも説明されています。
企業の対応も進む一方では抗議の声も
今回の制裁措置を受けて「Circle」や「Github」なども制裁対象者への対応を開始しており、Circle社が制裁リストにあるアドレスをブラックリスト化したことや、GithubがRoman Semenov氏やAlexey Pertsev氏などといったTornado Cash開発者のアカウントを削除したことなども報告されています。
「Tornado Cash」は暗号資産利用者のプライバシー保護を目的としたツールであるため、今回の制裁措置に対しては『これは良くも悪くも使うことができる中立的なツールに対する制裁であり、人物に対する制裁ではなく"技術の禁止"になってしまう』と抗議する意見も出ています。
しかし、米財務省のテロ・金融インテリジェンス担当財務次官であるブライアン・ネルソン氏は公式発表の中で『Tornado Cashはサイバー犯罪社の資金洗浄を阻止するために必要な措置や対策を行ってこなかった』と述べており、『財務省は犯罪者の仮想通貨を洗浄するミキサーやそれを支援する者に対して今後も積極的に行動を起こしていくだろう』と語っています。
なお、米国財務省外国資産管理局は2022年5月6日に、暗号資産ミキシングサービスである「Blender.io」にも制裁措置を発動しています。