BINANCE(バイナンス)の創設者であるチャンポン・ジャオ/趙長鵬(CZ)氏は2023年11月22日に「自身がバイナンスのCEOを辞任したこと」を発表しました。
バイナンスの新しいCEOにはリチャード・テン氏が就任したことが報告されていますが、現在は「CZに課せられる刑・保釈の可能性・今後の活動や投資予定」などにも注目が集まっています。
こちらの記事もあわせてどうぞ
米政府機関との和解について
チャンポン・ジャオ氏の辞任は「米国におけるBINANCEの資金洗浄規制違反」に関連するもので、米政府機関との和解によって、バイナンスは総額43億ドルの罰金を支払い、CZ氏も個人的に5,000万ドルを支払うことになると報告されています。
これまでに報告されている内容によると、和解金の支払い以外にも複数の条件が課せられていると報告されており、具体的には「3年間はバイナンスの運営に関与しない・BINANCEの取引所に対して独立したコンプライアンス監視者を5年間任命・公の場での発言は禁止」などの条件が課せられていると伝えられています。
なお、CZ氏の判決は2024年2月23日に言い渡される予定で、現時点での報道では「1年以上の懲役刑が課せられる可能性が高い」とも報じられています。
CZ氏の保釈について
11月22日時点の報告では「裁判官はCZ氏が2024年2月23日の判決を待つまでの間、アラブ首長国連邦(UAE)の自宅に戻ることを許可する決定を下した」ということが報告されています。
保釈には「判決の2週間前に米国に帰国すること、1億7,500万ドルの保釈金を支払うこと」などの条件がつけられており、「出廷しなかった場合には25万ドルの罰金と最高10年の懲役が科せられる」とも報告されていましたが、CZ氏はこの内容に同意しています。
ただし、CZ氏の保釈は最終決定されたわけではなく、米国政府はCZ氏の保釈命令を検討すると見られています。裁判官が命令の見直しを拒否した場合、命令は現地時間2023年11月27日午後5時に発効するとされています。
続報:帰国許可は保留に
米検察当局は「米国に留まるべき」と主張
保釈が認められた場合、CZ氏はUAEの自宅に戻る予定でしたが、米検察当局は水曜日の提出書類で『CZ氏が逃亡する可能性を考慮して、2024年2月23日の判決まではUAEの自宅に戻ることを許可すべきではない』と述べています。
検察側は「CZが米国外に巨額の資産を有していること、米国との関係が最小限であること、米国との犯罪人引渡条約がない国に居住していること」などを理由に”逃亡の危険性がある”として『判決が下されるまでは米国本土に留まるべきだ』と主張しています。
ただし、検察側は「CZ氏を判決が下されるまで投獄すべき」と要求しているわけではなく、あくまでも「判決が下されるまでは米国本土に留まるべきだ」と述べています。
続報:2024年2月の判決までは米国に滞在
(追記:2023年12月8日)
シアトル地方裁判所のリチャード・ジョーンズ判事が2023年12月7日に、CZ氏に対して「2024年2月23日の判決日まで米国に滞在するように」と命じたことが明らかになりました。
今回の命令は、CZ氏の逃亡リスクを主張していた連邦検察側の主張に同意するもので、「CZ氏のUAE帰国を許したとしても逃亡する可能性は低い」という点について、裁判所に説得力のある証拠が提示されていないことが指摘されています。
これによって、CZ氏は2024年2月23日の判決まで米国本土に留まることになりますが、以前から報告されているように「CZ氏の米国内移動」や「家族がCZ氏のもとを訪れること」は許可されているとのことで、”CZ氏の自由に対する負担はほとんどない”とも伝えられています。
Binance USの取締役会会長を退任
(追記:2023年11月29日)
BINANCEの米国向けサービスである「Binance US」は2023年11月29日に、CZ氏がバイナンスUSの取締役会会長を退任することを発表しました。
Binance USの発表によると、今回の退任はCZ氏が決断したとのことで、今後同氏はバイナンスUSのガバナンスに関与しなくなると伝えられています。
なお、Binance USは今後もノーマン・リード氏と既存の経営チームが率いていくと説明されています。
CZ氏の今後の活動・投資予定は?
仮想通貨コミュニティでは、長期的な目線で見たCZ氏の今後の活動にも関心が集まっていますが、今後の予定については22日にXで投稿された「辞任報告」の中でCZ氏自身から説明がなされています。
バイナンスとの関わりについて
CZ氏やBINANCEの報告によると、CZ氏は今後も米政府との合意に基づいた形でBINANCEチームと協力し続けるとのことで、BINANCEの事業の歴史的な分野に詳しい相談役として協力する予定であることが報告されています。
直近の予定では最初に休暇を
直近の予定としては、最初に休暇をとるとのことで『電話を切って本当の意味での休息を取ったことは、過去6年半で一度もない』とも説明されています。
再びスタートアップのCEOになる予定はなし
CZ氏は『一度きりの幸運な起業家になれたことに満足している』と述べており、『再びスタートアップを率いるCEOになるとは思えない』とも述べているため、同氏が今後新たな企業を設立することはないと予想されます。
小規模チームのメンターになる可能性はある?
しかし『希望者がいる場合には小規模な起業家のコーチ/メンターになることを個人的に受け入れるかもしれない』とも語っているため、将来的には小規模プロジェクトにメンターとして協力する可能性はあると考えられます。
複数の分野でパッシブ投資を予定
投資関連については『おそらくいくつかの分野でパッシブ投資を行い、ブロックチェーン・Web3・DeFi・AI・バイオテクノロジー分野のスタートアップの少数トークン/株主になるだろうと考えている』とコメントされているため、Web3関連の個人的な投資は継続されるとみられます。
同氏は投稿の中で『分散型金融(DeFi)に目を向ける時間が増えることを嬉しく思う』と述べているため、DeFi関連の報告にも注目です。
続報:懲役4ヶ月の実刑判決
(2024年5月1日:追記)
ワシントン州西地区連邦地方裁判所の判事は2024年4月30日に、バイナンスの創業者・前CEOであるジャオ・チャンポン(CZ)氏に対して「懲役4ヶ月」の判決を下しました。
CZ氏は2024年5月1日のX投稿で、CZ氏に対して応援メッセージを送っていたコミュニティに対する感謝のコメントも投稿しており、今度は人生の次の章である「教育」に集中して取り組んでいくと語っています。
また、仮想通貨に関しては「今後も積極的な投資家・保有者であり続ける」と説明されていて、「仮想通貨業界は新しい段階に突入した。コンプライアンスは非常に重要だ」ともコメントされています。