
マスターカード、1.5億以上の加盟店で「ビットコイン決済」が可能に|クラーケンと提携
Mastercard、欧州でBTC決済サービス開始へ
決済大手マスターカード(Mastercard)は2025年4月8日に、仮想通貨取引所大手クラーケン(Kraken)と提携し、欧州と英国における仮想通貨決済サービスを導入することを発表しました。
この提携により、クラーケン利用者はビットコイン(BTC)などの仮想通貨を、世界中の1.5億以上のMastercard加盟店で支払いに使えるようになります。
Mastercardの世界的な決済ネットワークを活用することで、日常的な仮想通貨決済を広く普及させ、仮想通貨(暗号資産)と従来の金融システムの連携を強化する狙いです。
クラーケンは世界に約1,500万人のユーザーを持つ大手取引所であり、今回の提携はビットコインをはじめとする仮想通貨の実利用を推進する上で大きな一歩と位置付けられています。
ウォレット内の仮想通貨が使えるデビットカード
Mastercard × Kraken Payが切り開く仮想通貨決済
今回の提携は、クラーケンが昨年開始した決済サービス「Kraken Pay」の成功を基盤としています。
Kraken Payは300種類以上の仮想通貨や法定通貨を使って、即座に国境を越えた送金ができるサービスです。サービス開始からわずか3ヶ月で20万人以上が専用ID「Kraktag」を登録し、メッセージを送る感覚で簡単に送金できるようになっています。
Mastercardとの提携により、クラーケンは数週間以内に欧州と英国で、実物のカードとスマホ向けバーチャルカードの両方を発行開始する計画も明らかにしました。
これにより、利用者は自分の持つ仮想通貨やステーブルコインで日常の買い物を手軽に支払えるようになり、仮想通貨の世界と実際の消費活動とのギャップ解消が図られます。
クラーケンの共同CEOであるデビッド・リプリー氏は次のようにコメントしています。
当社の顧客は仮想通貨やステーブルコインで実世界の財やサービスを容易に支払いたいと望んでおり、本提携はそのビジョン実現への重要な一歩です。
Mastercardとの協力によって、仮想通貨の日常的な利用をさらに身近なものにしていきたいと考えています。
Mastercard側も「今回の提携はデジタル決済の可能性を広げる取り組みの一つであり、仮想通貨の使いやすさと安全性を高めるという共通目標に向けてKrakenと協力できることを嬉しく思います」と述べ、仮想通貨の実用化推進に前向きな姿勢を示しました。
Binanceも決済対応を拡大
マスターカードの仮想通貨戦略
今回の提携は、大手企業による仮想通貨活用の動きが加速する中で発表されました。
Mastercardは近年、Binance(バイナンス)やGemini(ジェミニ)など複数の仮想通貨企業と提携し独自のカードを展開してきました。しかし、規制強化の影響を受け、2023年には一部地域でBinanceとの提携カードを終了しています。
それでもMastercardは仮想通貨分野への取り組みを続けており、今回のクラーケンとの提携は「安全で使いやすい仮想通貨サービスを提供する」という同社の方針を具体化したものといえます。
また、欧州では仮想通貨に関する包括的な規制枠組み「MiCA(暗号資産市場規制法)」が2024年に施行され、業界の法整備が進んでいます。
こうした環境の変化を背景に、世界最大の資産運用会社ブラックロックが欧州で初のビットコイン上場投資商品(ETP)を販売するなど、従来の金融機関も仮想通貨市場に本格参入しています。
今回のMastercardとクラーケンの提携は、規制整備の進む欧州において仮想通貨を日常決済に組み込む先駆的事例となり、業界全体にも大きな影響を与えると見られています。
今後は他の金融機関や決済サービス会社も同じような取り組みを始める可能性が高く、業界の動きに注目が集まっています。
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Source:Mastercard公式発表
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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